元文学少女のつぶやき
2014年05月02日

ひとたび足を踏み入れると、
すっかり囚われ抜け出す隙を奪われる、
そんな空間は私にとっては
CD屋さんだったり大好きな雑貨屋さんだったり
DVDショップだったりするんですが、
ここもそういう場所の一つ。

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中学生のころ一時、小説家に憧れていたことがあります。
武者小路実篤や山本有三をお気に入りの作家として挙げる、
なかなか渋い文学少女だったんです。

当時ほどではないにしても本屋さんはいまも魅力的な場所で、
ふらりと訪れることが多いんですが、
最近の書店の本の見せ方に、どうにかならないものかなぁと思っていることがあります。

それは、本の帯。
「映画化決定!」「大ヒットドラマ原作!」
ここまではいいんです。
お、どれどれ?と、手を伸ばしたくなります。
でもそこに、キャストの俳優さんたちの写真も一緒に
載っていたりすると、
うーん・・・と、私は伸ばした手を止めてしまうんです。

もちろん、本にとっても映像化作品にとっても
大いに販促効果があるのもとてもわかるんです。
そしてそのキャスティングに異議があるわけでもありません。
でも、本を買ってページをめくった時って、
ある種、いま手の中にある作品の演出家であり
監督であるような気分に浸れる気がするのです。
文字から浮かび上がった登場人物が、
自分好みの味つけで自由に脳内を駆け回る感じ。
つまり、想像を膨らませて遊ぶのが、
本を読むときの一つの醍醐味なのではないかなぁと思うんですよね。

私の本を読んだ時の想像力といえば、
それはもう破壊力がありすぎるようで、
大学生の頃、村上春樹さんの「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を
電車でつり革につかまりながら読んでいた時、
作品の中に入り込みすぎて
ちょっと過激な描写のある山場のシーンで
瞬間的に失神したこともあるんです。
さすがに自分で自分に引きましたが、
本の愉しみを改めて教えてもらったように感じて、
あの時は村上春樹さんに感謝しました。
あとしなだれかかった私を助け起こしてくれた、隣に立っていたおじさんにも。

そんな想像力の入り口でもある表紙にかかる帯に
ひとつの映像化の形が載っていると、私はどうしても
そのキャストでしか、想像できなくなってしまうんです。
それってちょっともったいない気がしてしまって。

やっぱり自分色に染めたい。
読書ってそうやって楽しむものだって私は思っているんですが、
皆さんはどうでしょうか?

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