今昔
2012年02月10日

都心の住宅街。
マンションや住宅が建ち並ぶ中、隙間にぽつんと、
小さな神社やお地蔵さんを見かけることがあります。
いかにも古めかしいその造りや佇まいに、
思わず足を止めてしまうことが、よくあります。
いくつの時代を超えて、ここに建っているんだろう。
今までどれくらいの人が、ここで足を止めたのか。
そしてどんな祈りを捧げたんだろうか。
勝手に、黄色に赤の格子柄の着物を着た町娘が
いそいそと走ってきてそっと手を合わせるのを
想像したりして、にやけたりしています。
日本史もまったく詳しくないですし、
その場所の歴史を知りもしないのに、
ふっとその場の空気が自分の周りでくるっと巡って、
昔の息遣いさえ感じたような気分になってしまうから、不思議です。

そんな不思議な感覚を具現化してくれるのが、
現代美術家の山口晃さんの作品です。


ご存知ですか?いろいろお描きになりますが、中でも
昔の絵巻に描かれた鳥瞰図や合戦図をモチーフに、
現在と過去が交錯するようなユニークな画風が有名です。
現代の東京の風景に江戸時代の建物や人が混ざっていたり、
合戦で武士たちが乗っている馬がバイクだったり。
私はブリューゲルやボッス、また「ウォーリーを探せ!」といった
ごちゃごちゃした絵が好きなんですが、
そんなごちゃごちゃフェチの心を奪う、細部へのこだわりがたまらないんです。
ぜひ検索してみてください。(笑)

こんな町が現実にあり得るわけはないんですが、
小さな神社のように、思わず過去に思いをはせてしまうような昔の建造物が
ぽこぽこと残っている町っていいなと思うんですよねぇ。
調和なんてなくっていいや、と思ってしまう。

東京スカイツリー開業まで100日。
高まる地元の期待を、昨日番組でお伝えしましたが、
スカイツリー周辺も、いまと昔が対話する、
そんな場所であり続けてほしいなと、
無責任な傍観者ながら感じる次第です。

Beirut “East Harlem”

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