都心の住宅街。
マンションや住宅が建ち並ぶ中、隙間にぽつんと、
小さな神社やお地蔵さんを見かけることがあります。
いかにも古めかしいその造りや佇まいに、
思わず足を止めてしまうことが、よくあります。
いくつの時代を超えて、ここに建っているんだろう。
今までどれくらいの人が、ここで足を止めたのか。
そしてどんな祈りを捧げたんだろうか。
勝手に、黄色に赤の格子柄の着物を着た町娘が
いそいそと走ってきてそっと手を合わせるのを
想像したりして、にやけたりしています。
日本史もまったく詳しくないですし、
その場所の歴史を知りもしないのに、
ふっとその場の空気が自分の周りでくるっと巡って、
昔の息遣いさえ感じたような気分になってしまうから、不思議です。
そんな不思議な感覚を具現化してくれるのが、
現代美術家の山口晃さんの作品です。
ご存知ですか?いろいろお描きになりますが、中でも
昔の絵巻に描かれた鳥瞰図や合戦図をモチーフに、
現在と過去が交錯するようなユニークな画風が有名です。
現代の東京の風景に江戸時代の建物や人が混ざっていたり、
合戦で武士たちが乗っている馬がバイクだったり。
私はブリューゲルやボッス、また「ウォーリーを探せ!」といった
ごちゃごちゃした絵が好きなんですが、
そんなごちゃごちゃフェチの心を奪う、細部へのこだわりがたまらないんです。
ぜひ検索してみてください。(笑)
こんな町が現実にあり得るわけはないんですが、
小さな神社のように、思わず過去に思いをはせてしまうような昔の建造物が
ぽこぽこと残っている町っていいなと思うんですよねぇ。
調和なんてなくっていいや、と思ってしまう。
東京スカイツリー開業まで100日。
高まる地元の期待を、昨日番組でお伝えしましたが、
スカイツリー周辺も、いまと昔が対話する、
そんな場所であり続けてほしいなと、
無責任な傍観者ながら感じる次第です。
Beirut “East Harlem”