5月20日(木)、第54回テレビ塾を開催しました今回のテーマは
「プロデューサーのお仕事~失敗しない番組作りの原点~」
テレビ朝日では多くの「女性プロデューサー」が様々な分野で活躍しています今回は、その中でも『ドクターX』などの数多くのヒットドラマを手掛けてきた内山聖子プロデューサーと、今年10月に開催される「世界体操2021・世界新体操2021」を担当する小林麻衣子プロデューサーが講師を務めました
「数々のアイデアはどうやって浮かんできたの?」など、具体的なエピソードや秘蔵VTRも交えて、敏腕“女性プロデューサー”の番組制作の舞台裏に迫りました
今回のテレビ塾も昨年に続きオンラインでの開催
参加者の皆さんにはZOOMウェビナーを使用して頂き、東京・六本木の会場から遠隔講義を実施
約200名の応募があり、首都圏だけでなく全国各地からご参加頂きました
司会は、大下容子アナウンサーが務めました
◆ プロデューサーになったきっかけ |
◆内山P、テレビ局は記念受験
まずは内山講師がプロデューサーになったきっかけを話してくれました
もともとは学校の先生になりたかったという内山講師。高校で英語を教えたかったそうで、地元の福岡で教育実習もしていたそう
なんと、テレビ局は就職活動の中の記念受験だったとのことテレビ朝日には「受かったので入社した」そう。現場の仕事が出来ると思っていたそうですが、テレビ朝日に入社後の配属先は「秘書課」。秘書課では社会人のイロハを習得しながら、いつか現場で「物語」を作りたいと考えていたそうです
その後ドラマ制作に異動し、プロデューサー歴は四半世紀。
当時のドラマ制作の現場では女性は少なく、男性の多い中でポツンとしていた記憶も。
元々ドラマを見るのが好きだったことから、制作の仕事に就いた時はとても嬉しかった一方で、はじめは「失敗ばかり」だった、と語りました
◆陸上部で活躍していた小林P
一方小林講師は、学生時代陸上部に所属し、スポーツ漬けの毎日で、就職活動でも「スポーツに携わりたい」という気持ちが大きかったそうです
テレビ朝日に入社後は「スポーツ局」に配属になり、その後異動はなく現在までスポーツ一筋スポーツの現場は当時から大勢の女性が活躍していて、AD(アシスタントディレクター)、D(ディレクター)、CD(チーフディレクター)を経て現在はプロデューサーの立場から「スポーツ」をどう見せ、どう伝えていくかを考えているとのこと
これまでスポーツの中でも色んなジャンルに携わり、常に新しい発見があり飽きがこないと話す小林講師
「アスリートの感動の一瞬に立ち会える、それを伝えられるというこの仕事はやりがいしかありません」と語りました
◆ 「プロデューサーの仕事」って? |
◆「ドクターX」の舞台裏
そもそもテレビ局の「プロデューサー」が具体的に制作現場で何をしているのか、ぴんと来ない方も多いかと思います。
実際にどういった形で制作現場に携わって、番組作りに参加しているのか、『ドクターX』のケースを例にとって、ドラマプロデューサーの具体的な役割について、内山講師が紹介しました
ドラマのプロデューサーの仕事は「ゼロから物語を作り上げる」こと
企画から放送後までの流れを映像を交えながら、詳しく教えてくれました。
例えば、米倉涼子さんで医療ドラマを作りたい、という所からスタート企画作りでは、妄想を膨らませ登場人物を作り上げ、キャスティング。クランクイン後、収録現場で撮影に立ち会う場面では、監督との映像確認だけでなく、キャストとのコミュニケーションなど現場の雰囲気作りもプロデューサーの大切な仕事のひとつです
1話につき平均10日~15日の撮影時間だそうで、大御所の多い撮影現場では苦労も多いそう
西田敏行さんや米倉涼子さんの現場での裏話も教えてくれました
「一番の魅力は、自分が最初に才能を見ることができること。作家の先生が書いた物語を最初に読めるし、それを演じる役者さんの芝居を近くで見られる。仕上がっていくプロセスを最初に見て、誰よりも先に感動を目にすることができます。その感動をテレビを見ている皆さんにお届けすることができる、それが最大の魅力です」
◆「スポーツ」をいかに見せていくのか
スポーツ番組のプロデューサーの仕事とは、具体的にどういったものなのか、その役割について小林講師から話してもらいました
「スポーツ番組」は大きく分けると「中継」「ニュース」「企画番組」の3つに分類できます。今小林講師が手掛けているのが、即時性・瞬発力が必要な「中継」の中の「世界体操2021・世界新体操2021」。
この「世界体操・世界新体操」は、テレビ朝日のスポーツ局だけでなく、全社をあげて色々なセクションが携わりひとつの番組を作り上げています
全社の各部署と、このビッグイベントを作り上げるために、何ができるのか・何が必要なのかを毎日向かい合い、話し合うのがプロデューサーの大きな役割です
さらに今回は、福岡県・北九州市での開催テレビ朝日社内だけでなく、さらに広く力を合わせています
まずは「競技団体」です。アスリートやアスリートの関係者といかに信頼関係を築き上げ、選手のパフォーマンスを最大に伝えられるかが一番のゴール。
プロデューサーとして常に競技団体の方と密にコミュニケーションをとっています
次に「自治体」。現在、福岡県や北九州市とどういう大会にするのか、週に何日もミーティングをしています。距離はありますが「リモート」での打ち合わせが広まったこともあり、遠隔(作業)でも密に打ち合わせができています。
そして視聴者の皆さんにアスリートの一瞬をお届けするのは、番組の出演者ですその為に大事なのが、出演者といかに同じ目線でいられるかです。中でも松岡修造さんとは、出演者を超えて仲間として本気で番組を作っているんです入社以来、松岡修造さんと仕事をしてきた小林講師、選手の取材前には松岡さんと綿密に打ち合わせをし準備をしているそうです
「プロデューサーになり、よりパートナー・仲間が増えています。同じ船に乗る心強い仲間がいて、10月に向かっています。スポーツは結果が予測できません。ありとあらゆることを想定し、選手の力を借りて感動の一瞬をお届けします。さらにスポーツの枠を超えて、北九州市という街がひとつになること、街を元気にする力がスポーツにはある、そんなことを伝えていきたいと思っています!そして、子どもたちへ、子育てをする親御さんに向けて、“体操”を通して、本物の自信、“できる!”を伝えていきたいと思っています」
◆ 質問タイム! |
今回もオンライン講座の為、参加者の皆さんからZOOMのQ&A機能を使って質問を頂きました
.これからどんな新しい仕事をしてみたいですか?将来の展望は?
A.(小林)今は秋の「世界体操・世界新体操」の事で頭がいっぱいですが、将来は、スポーツの枠を超えて何かしていきたいなと思っています。松岡修造さんと、アスリートの周りの方(一般の皆様)の「できる!できた!」をお届けすることを大事にしています。スポーツの周りで起こる日常の些細なこと、その事を伝えていきたいと思っています。自分にも娘がいますが、未来の子供達に何かきっかけを作れるようなスポーツの伝え方を考えています。
(内山)今年春に『エアガール』というドラマを作りました。このドラマは、日本航空の一期生のスタートアップする人たちのお話でした。今後また、最初に何かを立ち上げた人、スタートしようとする人達のドラマを作りたいなあと思っています。
.テレビ業界は深夜まで働いたり、生活リズムが一般の人と違うイメージがありますが、実際はどうですか?
A.(内山)昔はそんな事もありました。今は「しっかり働き、しっかり休む」という環境です。現場には女性も多く、子育てをしながら大変な仕事をしています。お互いの仕事を補いあえるようなシステムが出来ていて、今は助け合って仕事ができる環境が整っています。
.他局で参考にするシーンや場面はある?
A.(小林)他局は全部チェックします。表現の仕方、言葉選び、どれひとつ取っても参考にしています。例えばひとつの情報でも、同じシーンを使う時もあれば、私達のシーンの前後を使用して放送しいることもあります。勉強にもなるし励みにもなり、もっとより良いものを届けたいと思っていて、他局はライバルであり仲間であると思っています。
(内山)ドラマ好きなので、全部見ます。『逃げ恥』も見ました。テクニックの勉強にもなりますが、純粋に面白い、面白くないと見ています。
.「昔はできたのに、今はできないこと」、「昔はできなかったのに、今はできること」はありますか?
A.(小林)SNSが発展してきたことが大きいなと感じています。今は選手の発信力が大きくなってきていて、選手は競技力だけでなく発信力も求められているのではないかと思います。その中でテレビには何ができるのか、考えています。
(内山)YouTubeを含めSNSの拡大により、強くなったこと、弱くなったことがドラマにもあるなと思います。配信により、沢山のドラマがあふれ競争相手が増えました。海外の面白いドラマが見られるようになり、勉強しなければと思う所も多いです。海外のドラマに負けないというよりも、違う角度で日本のドラマを楽しく作る課題があります。出来ること出来ない事と言うよりも、ものすごく変わったことは確かです。
.他のメディアにない、テレビの強みは何ですか?
A.(小林)スポーツは何十台というカメラ、最新の技術を集約してお伝えしています。テレビの「テクノロジー」は強みだと思います。
(内山)ひとつのドラマは半年くらいかけて練って制作しています。日数をかけ、色々な人の知恵を重ねていることは圧倒的な信頼感を得られているのではないかと感じ、テレビの強みのひとつだと思っています。
.アイデアはどうやって生まれるのですか?
A.(内山)日常から生まれることが多いです。例えば今日のこの講義からも。身のまわりを観察して、登場人物に映し出します。何がヒットするか分からないですが、「毎週会いたくなる」そんな登場人物を作ることがポイントかなと思います。
◆ この仕事の魅力・やりがい |
●内山講師●
「スポーツやドキュメンタリーなど、本当に起こっていることは非常にドラマチックだなと改めて感じています。一方で、私が作っているフィクション、物語というのは、日々の生活の中で辛かったり理不尽なことがあった時に一番必要な分野だと感じています。現実から一滴のウソで、何か全然違う世界に行けたり、ちょっとだけ勇気を貰えたりすると思うんです。そういう物語を作って、少しでも見ている人の勇気になれたらいいなと思います。そういう風に自分でやりがいを作っていこうと思っています」
●小林講師●
「この仕事のやりがいは、アスリートの活躍を伝えられるところです。コロナ禍の閉そく感のある毎日の中で、アスリートのスカッとするプレーや心に響く言葉を伝えられるということは、誰かの何かを変えられているんじゃないのかな、何か一瞬でも忘れられるような、気持ちを少し晴れにできるような、そんな瞬間を届けられていたらいいなと思っています」
内山講師が手掛ける「ドクターX」は今秋10月から第7シリーズがスタート2年ぶりに米倉涼子さん演じる大門未知子が復活します
小林講師が担当する「世界体操・世界新体操2021」も同じく今年10月に開催を予定しています
2人が全身全霊を注いで秋に向けて準備をしていますお楽しみに
◆ おわりに… |
ご参加頂いた皆様、最後までお付き合い頂きありがとうございました
今回のテレビ塾も新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となりました。
皆様、いかがでしたか?二人の女性プロデューサーがどんな仕事をしていて、どんな気持ちを持って制作しているか、感じて頂けましたでしょうか?
「プロデューサーの仕事」と言っても、ドラマ・スポーツとそれぞれ仕事の内容やこだわりのポイントが異なります
このようにテレビ局には色々な仕事があり、皆様にお届けしている番組にはたくさんの舞台裏があるんです少しでも「テレビの仕事」に興味を持って下さる方が増えると嬉しいです
また、テレビをご覧になる時は、プロデューサーやスタッフなど「作り手」の熱い想いがある事を感じて下さるといいなと思います
今後のテレビ塾も、皆さんに楽しんで頂きながらテレビについてお伝えできる充実した内容を考えていきます
次回のテレビ塾もご期待ください
*当日の模様は、日曜朝5時放送の「はい!テレビ朝日です」で後日放送予定です。
コメント
お尋ねの件ですが、講師が着用している私服については、大変申し訳ありませんが、お答えいたしかねます。
今後とも宜しくお願い致します。
小林pが着ていたシャツめーかー何処?
何処で買えますか?。