今年度は特に大学向けに力を入れている“出前授業”。テレビ朝日広報局お客様フロント部では、“テレビ離れ世代”と言われる若者に向けて、テレビの面白さを伝えています
6月7日(火)は、昭和女子大学にて出前授業を実施。メディア論D(駒谷真美准教授担当)の一環として、約100人の学生が熱心な姿で受講しました!
今回の講師は報道局チーフプロデューサーやニュース情報センター長を経験し、現在テレビ朝日広報局長の青木吾朗。テーマは「テレビジャーナリズムの功と罪~その力、その脆さ~」。
自身がチーフプロデューサーを務めた、開局50周年特番『ニュースの記憶』のVTRを流しながら講義を行いました。
◆テレビジャーナリズムの強み「LIVEの魔力」
青木講師はテレビ報道の最大の強みを「LIVEの魔力」とし、1986年の『ニュースステーション』におけるフィリピン革命報道を例に挙げました。
実際に当時のVTRを交えながら、この『ニュースステーション』での報道は、他国の革命劇が生放送でお茶の間に伝わるという画期的な番組であったと紹介。“今何が起きているのかを伝えることができる”というテレビ報道の強みを語りました。
また「テレビは“経過”、新聞は“結果”。ニュースをきちんとまとめる事では新聞が優れている。しかし、“LIVE”の緊張感はテレビでしか伝えられない」と話しました。
◆テレビの弱みとは・・・
テレビは「絵(映像)」が命です。そのため、制作側は“絵のない恐怖”にかられ、ヤラセ事件などが発生した過去の事実もあります。しかし青木講師は、放映したフィリピン革命報道のVTRも含め、「情報を伝えるということは、“絵”がなくても伝えられる」と力説しました。
他の弱みとして、時間や人・費用の面から「調査報道はニガテ」であることや、「視聴率獲得」のため高視聴率を意識した大衆迎合主義であることがテレビの弱みであると話しました。
◆3.11報道の裏側
2011年の東日本大震災発災時、報道局次長で報道の指揮にあたっていた青木講師は、当時の震災報道について、「テレビは何かを隠していたわけではなく、何が本当のことであったのか分からなかった。それは現場がどうなっているのかを含めて。科学的事実に関しては専門家に頼らざるを得なかった」と、報道の舞台裏について話しました。
教室では学生たちが、この貴重な話の数々を熱心に書き取る姿が見られました。
授業の最後には、タブーを破るキャスターのこだわりも『朝まで生テレビ』の「昭和天皇」を例に挙げ紹介しました。
そして青木講師は「日本のテレビニュースは世界一面白い。今年から選挙権を持つ皆さん方はぜひ毎日ニュースを見てほしい」と締めくくりました。
「大学出前授業」は今後も学生の皆さんにテレビの面白さを伝えていくため、より充実した内容を目指していきます!
◆◇◆◇◆ 受講生からの感想 ◆◇◆◇◆
●この授業で私は「ニュースなくして民主主義なし」という言葉に最も共感させられました。国民一人一人によって作り出される国にのためにも、今世の中では何が起こっているのか把握できるような、正確且つ素早い情報を放送するニュース番組が必要不可欠だということを改めて感じました。
●テレビは、強みもあれば弱みもあるということを学んだ。テレビは活字では表現出来ないことを表現することが出来る。しかしテレビ番組を作る為に様々な制約があることを知った。テレビは巨大な影響力がある。3.11の報道では事実を伝えようとすればするほど大本営業発表になってしまった。正確な情報を伝えることがどれだけ大変であるかということを学んだ。今日のお話を通してテレビ業界の裏側を知ることができてよかった。
●ジャーナリズムの強みと弱みを包み隠さず話していただけて、視聴者として、メディアの世界を目指す者として、感慨深かったです。テレビにしかできないこと、テレビだからこそできること、たくさんあると思います。それをどうすれば有効活用できるかを考えることが大切だと思いました。作っていくことの大変さと素晴らしさを、とても詳しく分かりやすく話していただきました。
●私が印象的だったのは強みのliveという魔力です。フィリピン革命の時、電話しかないなかで地図や図を使い、外国の局と協力しながら最後の最後まで情報を伝えようとしている姿に感動しました。この話を聞き、TV=経過•新聞=結果ということが良くわかりました。でも反対に視聴率重視など弱みもあり今まで華やかな世界だと思っていたので驚きました。でもやっぱりリアルタイムに視聴者の期待に応える精神は尊敬しました
●テレビが世の中に与える影響の大きさを改めて考えさせられた授業でした。ニュース番組1つにしてもテレビにはジャーナリストとエンターテイメントの二面性があり、これを活かして情報が伝わりやすく進化してきていることがわかりました。