4月13日(月)、テレビ朝日スタッフが、テレビ局の仕事を一般の方々に分かりやすくお話しする【テレビ塾】を開催しました!
今回のテーマは「『アメトーーク!』の創り方~バラエティ番組をたくらむ技術とは!?~」
『アメトーーク!』が大好きな10代から70代までの幅広いお客様が来てくださり、会場は満員!!
今回の講師、加地倫三演出・ゼネラルプロデュサーとアシスタントディレクターの渡邊桃子が番組のエンディング曲でおなじみ「マイシャローナ」の音楽で登場しました!!司会・進行は森葉子アナウンサー。
舞台上には番組セットの一部である「カエル」の姿も♪
まずは渡邊講師から番組制作全体の流れとアシスタントディレクター(以下、AD)の役割について話しました。
ADの仕事はリサーチ、資料作り、ロケ場所探し、スケジュール作成、エキストラ発注、素材集め、お弁当の発注など、番組の演出面ですべてのサポートをする仕事。
番組の企画でゲームなどを行う場合、ケガがあってはいけないので、安全で無理がないかどうか、まずはスタッフが体を張って出演者とおなじようにシミュレーションを行います。
加地GPもシミュレーションで顔に竹刀をうけたことがあるとか…
また、『アメトーーク!』ではお弁当がお肉ばかりだと出演者のみなさんから「年齢的に魚もほしいな~」と茶化されたり、会議などで用意するお菓子のセンスによってみなさんのテンションが変わってくるといい、食べ物選びにも毎回気をつかっているという裏話も明かされました。
加地講師は『ロンドンハーツ』で一般の方を中心とした企画を長い間やっていました。
同世代の人と一緒に仕事をしたいな~と思っていたところ、『アメトーーク!』誕生のきっかけとなる出会いがあったそうです。
「飲み屋さんで、偶然雨上がり決死隊の宮迫さんと会ったので、『トーク番組とかどう?興味ある?』といった会話をしたんです。そうしたら翌日にマネージャーさんから『雨上がり決死隊と企画を考えてくださっているそうで!ありがとうございます!』と電話がかかってきて…慌てて企画書を出したのがはじまりでした(笑)」
その企画が認められ、番組がはじまったわけですが、最初は女優さんや俳優さんをゲストに呼んでいたトーク番組でした。
「お笑い志向のスタッフが多かったので、トーク番組でどう女優さんを活かしたらいいのかわからなかったんです。考えた結果、早々に10回目くらいの放送で江頭2:50さんに出ていただきました。『普段裸のイメージの江頭さんがスーツを来てじーっと座っていて、話すはずのトークをMCの2人が先に言っちゃったら面白いね!』と話していて、実際いい視聴率がとれたこともあり、『あ、やっぱり俺たちはこっち(お笑い)だね!得意な方でやろう』となり、今のスタイルになりました。」
いまや『アメトーーク!』の代名詞にもなっている「〇〇芸人」。
「何人かで同じ話をしたら面白いかな」という発想から、最初は「太った人」や「不思議少女」など3人くらいをゲストに呼んでいました。もっと大人数でできる企画がないだろうか・・と思いついたのが「メガネ芸人」。
「会議で話をしていて『ゲスト全員メガネをかけてたら面白いね』と思ったんです。メガネをかけている人に話を聞いたところ、意外とフレームの細部にこだわりを持っていたり、話することがあるんですよね。そこで、ひたすらメガネについて語り、最後はサッカーのユニフォーム交換みたいに『メガネ交換』をしよう!と」
「『あぶら揚げ芸人』では、ひたすら”あぶら揚げ”の可能性を見出してみましたし、『大谷翔平スゴイんだぞ芸人』では、ただただ”日ハムの大谷選手はすごいんだ!!”と声を大にして言いたかった。」と、自分たちがやりたいこと、楽しいことを企画にしていると話しました。
どんな企画であれ、すべては1時間面白いトークができるかどうか。「構成をいろいろ考えて、どんなことをやるか頭を捻ります。『アメトーーク!』で特に意識しているのが“起承転結”。この「転結」が難しいんです。30分以上同じテーマは飽きてしまうので、どう展開してオチをつけるかが大切なんです。」
芸人さんがどんなに良いリアクションをしても撮影できていなかったら放送できません。
『アメトーーク!』では、撮影しこぼれのないようにカメラのフォーメーションがあります。
特別に、先日放送した「ギター芸人」での収録時に9台の各カメラが撮っていた映像を並べて見せてくれました。
フットボールアワーの後藤さんがギター演奏を披露している場面。
正面からの画だけでなく、後藤さんの表情、ギターのUP、他の芸人さん、MC、お客さん、とそれぞれのカメラが違う映像を撮影しています。
『アメトーーク!』ではすべてのカメラの映像を収録しているので、編集で使いたい映像がなかった・・・ということがないのです。
次はその収録した映像をどう編集して料理していくのか。
「テロップ」ひとつにも”デザイン・色・フォント・大きさ・タイミング”など加地講師流のこだわりがあります。
同じ言葉でも吹き出しをつけて位置を変えるなど、少し工夫するだけで伝わる面白さがかなり変わるのだと、先日放送した「足つぼPK」の映像を交えて話しました。
また、編集の際、特に大切にしているのが笑いの「余韻」をきちんと残すこと。「番組の放送時間は限られているので、ただ笑っているだけの時間は本当ならもったいないので、カットしたくなるんです。その時間があれば芸人さんの面白い言葉をひとつふたつ入れることができますから。でも、笑いに浸る「余韻」がないと、せっかくの面白さを潰してしまうことになります。」と、実際に放送した映像と、「余韻」を切った編集を行った2つのパターンの映像を比較。会場のみなさんも深くうなずきながら見ていました。
よく、「CMのあとは!」「今夜こんなことが・・・!」なんていうフリがあって、期待したのに大したことがなかったことありませんか?
加地GPはこういったフリがあまり好きではないと言います。
「たとえば、80点の笑いがあるとして。50点のフリをすればハードルが少しさがり30点分面白く感じる。120点のフリをしてしまうと、40点分つまらなく感じてしまう。みんなが期待するフリを自らやってハードルをあげると、結果として難しくなる。」
ハードルと同じで、邪魔するものがあると受けない。
出演者の芸人さんたちが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、現場では楽しい空気を作ることを大切にしています。
「『アメトーーク!』の収録では毎回お客さんを入れています。お客さんの反応によって芸人さんのテンションが変わってくるので、笑いやすい空気をつくってあげないといけません。“前説”も重要ですが、例えばスタジオ内の温度とかも。クーラーが効きすぎていると、お客さんは“寒い”と頭の片隅で思ってしまい、だんだん笑わなくなるんです。他のことを考えてしまうと笑いが半減してしまうので、そういった笑いの邪魔になる要素を取り除いてあげるのが僕らの役割だと思っています。」
また、収録時間が長くなる時は特に配慮しているといいます。
「2週連続にわたって放送した『博多華丸・大吉芸人』の収録時は1本目と2本目の間に休憩をいれて、華丸さんと大吉さんが博多のお菓子をお客さんに配りました。そうするとお客さんも喜んでくれて「よし、もう一本見よう!」と思ってくれるんです。僕らが編集で間違っちゃいけないというのも大事だけれど、やっぱり芸人さんに100%のパフォーマンスをしてもらえないとそもそも面白いものはできません。そのために現場の空気感は常に気にかけていますね。」
最後に、それぞれの仕事のやりがいについて、渡邊講師は「ADの仕事は演出すべてにおいてアシストすることですが、選んだ素材などが番組で使われたり、自分が携わったものがひとつの番組の形になることがすごく嬉しい」と話し、加地講師は「今日も『毎週見てます』『番組大好きです』と言ってもらえることが嬉しいですし、こうやって興味をもって会場に来てくださるというのは、本当に有難く感じています。僕はおそらく日本でよく笑っている人の中でも最もたくさん笑っているんじゃないかというくらい、打ち合わせ~収録~編集~本番と笑わせてもらっています。本当に面白い時、腰から砕け落ちるんです。こんなに笑うことなんてこの仕事じゃなかったらできないですし、僕が元気の秘訣でもあります。」と、忙しいけれど心底楽しみながら仕事をしていると語りました!
次回テレビ塾は夏頃に開催予定!
お楽しみに!!