出演者の声はもちろん、お客様の笑い声や拍手、スポーツ選手の息づかいやお肉の焼ける音まで… 様々な「音」を届けている「音声」の仕事をご紹介します。
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広報局お客様フロント部川野奈巳。 入社してから音声の仕事を18年間担当し、現在はお客様フロント部で館内見学の企画・統括や出前授業の講師として活躍。 —-
ーー音声の仕事で心がけていたことは?
「“想像力をはたらかせること”です。例えば、出演者にどんな環境があれば100%、もしくはそれ以上のパフォーマンスを引き出せるか…。色々なことに想像力を働かせて仕事をしていました。」
もし、現場で“適当なマイク”を使い、“適当な場所”に設置した音をそのまま放送すると、どうなるでしょうか・・・。
「アナウンサーの声が聞きたいのに、まわりの音がうるさくて聞こえない」
ということになってしまいます。そこで、音声スタッフが「最適なマイク」を選び、細心の注意を払いながら「最適な場所」に設置します。そして、そのマイクで集めた音を機械を使って聴きやすいバランスに調整し、放送しています。だから、賑やかな場所からでも出演者の声をしっかりとみなさんに届けることができるのです。
マイクの種類と特性
テレビ朝日で扱っているマイクは約100種類!!その時の用途や状況によって最適なマイクを選んで使い分けています。
音楽番組では、楽器にもマイクを設置するので、80本以上のマイクを準備しなければなりません。
例えば、ドラムセットだけでも9本のマイクをセッティングしています。
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マイクと耳の違い
人間の耳は、ざわざわと騒がしい場所でも、人の話す言葉を聞き分けることができるように、都合よくできているのですが、マイクには選り分ける能力はありません。
ざわめきも、人の声も、全て同じように電気信号に変換してしまいます。そこで、マイクの「指向性」という機能を利用することによって聞きやすい音を伝えているのです。
「指向性」とは、「音を拾う方向」のこと。「無指向性」「単一指向性」などがあります。
上の図は、それぞれ色のついた部分の音を良く拾ってくれるというマイクの特徴を示したもの。
この指向性を利用し、インタビューなどで幅広く音を集音したい時、音楽番組で歌っている人の声だけを中心に拾いたい時と、それぞれ目的に合ったマイクを使ってキレイな音を拾い集めています。
また、違う指向性のマイクと組み合わせて使うことによって、指向性の幅が広がり、より迫力のある音を録ることができます。
みなさんは、カラオケなどでマイクの頭を包むように持って歌っていませんか?余分な音が入らないようにしているつもりが、実は逆効果!マイクの頭をふさいでしまうことによって、マイク正面の感度が高い「単一指向性」マイクでも、「無指向性」になってしまい、ハウリングを起こしやすいのです。
音声の仕事の楽しみ
「音楽番組の場合は、その楽器の特性(使い方や、どこから、何が振動して音が出るのかなど)をあらかじめ調べておきます。
そしてイメージした音を拾えるようにマイクの種類や楽器との角度や距離をプランします。これがとても楽しい作業なのです。
現場で演奏者の邪魔にならないことを最優先しながらプレイヤーの方とコミュニケーションをとることができるのも楽しみのひとつです。」—