首都圏と東北の学生たちが、基本的な番組制作のノウハウをテレビマンから学習しつつ、自由な発想で番組作りを体験するメディアリテラシー活動として、テレビ朝日が東日本放送の協力を得て、今年7月から行ってきた「学生たちが番組作り~東北に元気を!~」。
首都圏から東京大学大学院、東北から宮城大学、東北工業大学の学生が参加。
「東日本大震災から三年半経った今、 我々は何を伝えるべきか」
を念頭に置いて、「東北に元気を!」をテーマに各チームが企画から取材・編集をし、番組作りをしてきました。
そして、10月19日(日)せんだいメディアテークにて、完成した作品の試写会を開催!
パネリストを交え、学生が作った番組を見ての感想やアドバイス、そしてメディアのあり方までをディスカッションしました。
【パネリスト】
右) 小川直人さん
メディアテーク企画 活動支援室学芸員
中) 佐藤純哉記者
東日本放送報道制作局報道部
左) 久慈省平災害報道担当部長
テレビ朝日報道局
番組概要:被災地の米農家の復興事情と今後の展望をふまえたドキュメンタリー番組
【作品への思い】
仙台市の沿岸部に注目し、その中でも荒浜という地域でお米をつくっている荒浜農業組合の人たちに話を聞き、復興事情と今後の展望をふまえたドキュメンタリー番組を制作しました。
被災した土地と農家の再スタート、そこから見えてきた課題を通して、震災から3年半経った今を見つめなおすきっかけとなり、生きる活力を与えられたらと思います。テーマは「元気を与える」でしたが、私たちの中で「まだまだ復興は完全ではない」というサブテーマを持って番組を作りました。ただ明るい感じの映像にしたくなかったので、少し重たい空気感のBGMを選びました。
【パネリストの言葉】
*インタビューに答えてくださっている方がみなさんとても自然で、学生のみなさんが聞くからこそ引き出せたものがあるんじゃないかなと思いました。
*VTRの最初がすごく引きこまれるような空気感があり驚きました。インタビュー内容・映像のカットなどからも制作者が何を伝えたいのかを感じることができ、素晴らしかったです。
*我々が東京から現場に取材に行くと、「三年半経って、こんなに稲穂ができました!ハッピーです!!」というものを作りたがるんですが、「まだまだ課題があるんだ」という内容で、地元の学生だからできた番組だなと感じました。
番組概要:「楽器」を届けるだけでなく、プロの演奏家が被災地の子供たちと音楽活動を共にする「支援活動」を追うドキュメント
【作品への思い】
「楽器」を通じた“支援”と、そのから生まれる“元気のかたち”を取材したいと思い制作しました。
“物資”でも“金銭的なもの”でもなく、なぜ「楽器の支援」だったのか。支援された楽器は、もらった人だけでなく、「音楽」というものを通じて、支援した人、通りすがりの人など、色んな人を「笑顔」にしていると聞き、楽器からどのような「元気」が生まれているのかを描きました。
【パネリストの言葉】
*内容がすごく良くまとまっていて、カット割りやインサートの使い方も上手でした。テレビを研究しているだけあって、よく今のテレビを知っているなと思いました。
番組概要:東北に元気を!大学の仲間や仙台の街の人々の協力を得て、大学構内や街中で「ドミノ倒し」にチャレンジ!
【作品への思い】
「東北を元気に」というテーマということで、どんな内容にするかすごく悩みました。
私たちは宮城県出身のメンバーなのでみんな震災を経験しています。私たちから東北を元気に、笑顔にしたいという思いから、何かにチャレンジしようと決めました。ドミノは集中力・忍耐力が必要で大変なもの。特に体育館での撮影は、1万2千個のドミノを使ったので、よる8時~あさ4時すぎまでかかりました。私たちがチャレンジしている様子を見て笑顔になっていただき、東北のつながり・団結力が伝わればいいなと思います。
【パネリストの言葉】
*多くの人を巻き込んでドミノをできたのは学生の力だなと思いました。
*なかなか見ている人を笑顔にするのは大変なこと。NGシーンを取り入れたり、「笑ってもらいたい」という気持ちが伝わりました。
*大変な被害があった場所などでドミノの撮影を行っていたのが印象的。東北出身のみなさんだからできたものですね。
【宮城大学チーム】
東京大学大学院チームの作品は、やはり客観的につくられているのでまとまっているなと感じました。楽器を提供してもらった人だけでなく、提供している側の方もしっかりインタビューされていて、外からみた東北の雰囲気が伝わってきました。僕ら東北の人はなかなか外からの視点というものを描けないので、違いを感じました。
【東京大学チーム】
東京目線に偏った内容には絶対したくなかったので、夜行バスで何度も現地に通い、取材を重ねて制作しました。今回他の2作品を見て感じたのは、僕らは少しだけ「震災でこんなにつらいこともありました」という場面を入れてしまったんです。しかし、東北工業大学の作品は底抜けに明るくて、「元気を与える」というテーマらしいなと思いました。
【東北工業大学チーム】
他のチームより人数が多いこともあって、明るく個性が強いチームだったので、それを活かして「とにかく明るい作品」を目指していました。今回、同じテーマでも3作品とも雰囲気が違うものでしたし、宮城大学の「被災地の現状」をサブテーマにもっていたり、テイストは違うけど、こういう「元気の与え方」もあるんだなと感じました。
今回、「東北に元気を!」というテーマで番組を制作したメディアリテラシー企画を通して、学生たちは「当事者(被災者)と第三者との感じ方の違い」を自分たちの実体験として気づいたようです。
それが如実に現れたのが「テーマ」でした。東北の学生たちは、テーマである「元気を」に違和感を覚え、何時間も議論を重ね、そして辿りついた答えが番組作品に表れていました。
最後には、パネリストとともに「メディアとの接し方」まで話が広がり、お互いの考えを深めていきました。
『はい!テレビ朝日です』で12月に放送予定!
放送翌日よりHPで動画配信いたします。