テレビ朝日のスタッフが、テレビ局の仕事を分かりやすくお話しする“テレビ塾”。
第43回を迎えた今回のテーマは・・・
「外報部&海外特派員の仕事~米大統領選、戦火の中東・・・世界が変わる瞬間に~」
モスクワ支局との生中継を交え、国際ニュースをお伝えする外報部と特派員の舞台裏に迫りました
記者志望の大学生から60代の方まで幅広いお客様が、日頃目にしてる海外の情報が、どのようにして取材・報道されているのか、興味深々な様子で聞いていました!
講師は、報道局ニュースセンター外報部の荒木基記者、宇田川真洋記者、そしてモスクワ支局の長谷川由宇支局長。
司会は、『マツコ&有吉の怒り新党』や、報道番組『いま世界は』などを担当している青山愛アナウンサーが務めました
ーーーーー
◆外報部って??
まず荒木講師が、報道局の組織と、その中での外報部の役割について話しました。
テレビ朝日の報道局にはニュースセンターと呼ばれるグループがあり、外報部はそのうちの一つ。
日々取材をし原稿を書く、政治部・経済部・社会部・外報部といった出稿部が、テレビ朝日の番組や定時ニュースに情報の供給を行っています。荒木講師は「魚の漁でいうと、私たち出稿部は漁師。番組のスタッフは料理人」と例え、取材から放送までの大まかな流れを説明しました。
「外報部」には海外の情報を集めるために海外支局があり、現地では記者が特派員として日夜活躍しています。他のメディアでは「国際部」や「外信部」と呼んでいる所もあり、名称はさまざまです。
—
◆米大統領選の裏側
次に宇田川講師が、外報部記者の1日の基本的な流れを説明。24時間体制で海外から届くニュースに対応している様子をVTRで紹介。
ミスを出さないために、何人もの目で確認しているなどチームワークについても触れました。
普段は日本の外報部で仕事をしていますが、昨年の「米大統領選」ではニューヨークで1週間取材。7時間にわたった報道特番では、候補者の陣営やCNNなどで20人以上の記者が、いち早く視聴者へ開票状況を伝えるべく奮闘した様子を当時の映像を交えながら説明しました。
また常に映像を新しくするために、記者のリポートの立ち位置を工夫した事など、裏話も教えてくれました。
選挙前のトランプ氏へのデモや選挙後の市民の取材では、新政権への不安など市民感情を身をもって感じたそうです。
そして、今のアメリカについて次のように語りました。
「この取材では、アメリカの分断を深く感じました。拠点を置いていたCNNや知人、それからニューヨーク市民の中には、トランプ氏に実際に投票をしたという方に触れることはほとんどありませんでした。しかし、トランプ氏は半数以上を獲得し当選。この事実から、日本にいて私たちが接する機会の多い都会に住むアメリカ人や、国際的に働く人・若者の意識と、都会から離れて暮らしトランプ氏に投票をした人の思いには大きな意識の差があると感じました。日本にいては感じることのできない、アメリカの溝を実感しました」
もう一つ、ニューヨークでの取材で実感したのは「大きな時差の中で働くこと」だそう。
「日本との時差は約11時間。その為、昼間に取材、夜は日本に向けての中継対応をしています。日本の外報部と同じように、海外の特派員も24時間稼働であることを改めて感じました」
—
◆特派員とは?カイロ支局での経験から
~ニュースがあれば、いつでも、どこへでも~
去年夏までカイロ支局長を務めていた荒木講師は、「特派員の仕事の大きな目的の一つは“その土地で暮らすこと”と話しました。
カイロでは、渋滞や路上駐車、休日の違い、役所の手続きの煩雑さに悩まされたりと、多々不便さを感じたたそう。
食事の面でも、豚肉を食べられないことやラマダン(断食)の習慣も目の当たりに・・・。
しかし荒木講師は、そのような暮らしを自ら体験することが大切だと語りました。
「その土地に足をつけて暮らし、その国の人が何を思い、何を感じているのかを読み取ることが重要です。どうしてこういう事件が起きるのか、現地の人達の感覚を肌で感じ、同じ目線で語れるようになることが特派員に求められることだと思います」
そして特派員といえば、世界を飛び回っている…というイメージがありますよね
実際荒木講師も、何か起きれば夜中でも飛び起きて飛行機で移動していたそう3時間後に出国、という状況もよくあり、取材の機材などを入れたスーツケースは常に準備していたそうです
当時使っていた実物を会場の皆さんに見せてくれました!
必需品であるカメラや、ポケットがたくさんあり便利なベスト・・・
さらにヘッドフォンも!!
飛行機の中で安眠できるように、と持っていたそうです
さらに、色々な国を飛び回っていたパスポートも見せてくれました
ページを継ぎ足して使っていたというパスポートは、スタンプで真っ黒に
また、カイロ支局に赴任中で最も印象深かった、アフリカ南西部に位置する「ナミビア共和国」での取材を紹介。報道の自由度が高いと言われているナミビア(世界報道自由度ランキングで17位、日本は72位)で、日本の感覚やルールとの違いに直面したそうです。
「“報道の自由”が保障された国だからといって、私たちが思うような取材が出来るとは限りません。それでも明らかにするべきものがあります。それを“どうやって上手く伝えるか”も常に考えなくてはならないテーマです」。
ーー
◆生中継!モスクワ支局とは
今回は特別に、東京・六本木の会場とテレビ朝日モスクワ支局を生中継で繋ぎ、現地から長谷川支局長が参加
窓の外の様子を映像を見せながら伝えてくれました!
この1か月で気温が30度も急上昇・・・それでも気温は0度やはりモスクワは寒いのですね
さらにキッチンなど支局の中も大公開!!以前は食糧事情が悪かったので、料理を作りに来てくれる人がいたそうです
支局にはロシア人のスタッフも常駐しており、カーチャさんが流暢な日本語で会場の皆さんへ話しかけてくれました
他にも、休日はスケートやお酒を楽しんでいることや、日本食は値段が高いのであまり食べる機会がないことなどを教えてくれました
長谷川支局長のユーモアあふれる中継に、会場は笑いの声があふれていました
最後は「外報部記者の仕事のやりがい・魅力」について。
宇田川講師
外報部は24時間体制、対象は世界中です。そして扱うニュースは政治・戦争・文化、スポーツなど多岐にわたるため、幅広い経験ができる、それが外報部の魅力です。
荒木講師
視聴者の目となり耳となって、世界が変わる瞬間に立ち会えることが一番の魅力です。また自分たちの取材が視聴者に影響を与えることができる、それも醍醐味です。放送を見て下さった方が何かを感じ、新たな動きをするきっかけになればと思っています。
ーー
次回のテレビ塾もお楽しみに♪