「照明とVE」の仕事をテーマに開催した「第32回テレビ塾」のリポート後半は「ビデオエンジニア(以下、VE)」の仕事をご紹介します(前半「照明」のリポートはこちら)
テレビ技術の仕事でも、「照明」「音声」「カメラ」などは大体どんな仕事なのか想像がつくと思いますが、VEって一体何のことなのでしょうか・・?
VEを日本語に直訳すると「映像技術者」。
つまり、映像に関わる全てのことを行っているんです
例えば、カメラで撮った映像をみなさんのご家庭にあるDVDデッキと同じような機械で、テープを入れて録画したり、何もない場所から生放送やロケを行うためのシステムを考えたり・・様々な仕事がありますが、今回は一番の腕のみせどころであり、「照明」と最も関係の深い仕事である「映像の品質管理」についてご紹介します。
VEの仕事
映像の品質管理とは、「視聴者にとって見づらい映像になっていないか」「伝えたいことを映像で表現できているか」をチェックすること。特に外での撮影だと、時間帯や天気によってカメラの見え方が全然違ってしまうので、テレビを見ている人が不自然に感じないように映像の色や明るさをコントロールしているのです。
例えば、真っ暗なこの映像も・・・
こんなに鮮明に明るくできちゃいます
人間の目では脳が働いているため、これをやろうとしてもできません。
実は、人間は明るさ以上に色に敏感で、違和感を感じやすくなっています。
例えば、顔が赤色だと、どんな印象をもつでしょうか?
(モデルは宇佐美佑果アナウンサーです♪)
かわいい? 酔っぱらってる? 怒っている?
青色だと?
クール? 冷たい? 緊張している?
緑色だと?
病気? 怪しい?
色を戻すと・・・
落ち着いて見ることができますね
こんなふうに、色を補正してあげ、みなさんの見やすい映像をつくっています。
VEに挑戦!
子どもたちに、照明をあてたお母さんお父さんをさらに綺麗にみせるため、色や明るさを調整してもらいました!
▼お父さんを″クールでかっこよく″調整。シリアスなドラマの俳優さんのよう・・!
「見やすい映像」といっても、番組やその目的によって求められることも様々。
報道やスポーツ番組では、真実を伝えることが目的なので、その場のリアリティや臨場感を大切にし放送しています。一方、ドラマや音楽番組では、映像の見せ方を工夫することで、その場の空気や世界観がより伝わる場合があります。例えば、ドラマでは手術シーンだけわざと青色を強く出し、緊張感が伝わるようにしたり、事件の前には緑色を強くして、怪しい雰囲気を演出することもあるそう。
しかし、VEで調整できるのは、画面全体の明るさや色味だけ。
そもそも「照明=光」がないといくら目をあけても明るくなりませんよね。
例えば、人だけ明るくて後ろのセットが暗いときに、全体の明るさを暗くするとセットはますます暗くなってしまいます。このバランスをいつも「照明」と「VE」でいっぱい相談して決めているのです。
音楽番組やドラマでは照明とVEによる演出が全面に出ていますが、バラエティや情報番組などの照明は、自然に調和しているのが一番なので「あの番組の照明・VEいいよね」とは決して言われません。
しかし、「自然」に・・つまり、何の違和感を感じることなくテレビを見ることができるのは照明とVEの力があってのことなのです。
これをきっかけに、少しだけ「明かり」や「色」の演出に気をつけてテレビを見てみてください
コメント
なるほどね~。よく解りました!