1月19日(火)、我孫子市の湖北地区公民館で「オトナ出前講座」を開催しました!
受講生は「長寿大学」約200名のみなさん。長寿大学は65歳以上を対象に1学年50名で構成され、一般教養や福祉、地域交流等を4年間学習する我孫子で人気の市民講座。
今回のテーマは「テレビをもっと知ろう!『世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団』の作り方」。
毎回テーマに沿った外国人専門家集団(「視察団」)を日本に招き、さまざまな場所や人を視察してもらい、外国人の視点から日本の素晴らしさを新発見できるバラエティ番組。
その番組はどのように作られているのでしょうか?
講師は演出も担当している荻野健太郎プロデューサー。舞台裏の苦労話など普段聞くことのできないエピソードも交え話しました。
【講師】 荻野健太郎
テレビ朝日 総合編成局制作1部
1996年 テレビ朝日入社。
1999年 編成運用部から制作部門へ異動。
番組『いきなり!黄金伝説。』『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』『雑学王』『爆笑問題の検索ちゃん』等を担当。
2014年より『世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団』プロデューサー兼演出を担当。
★テーマ決定まで
番組制作で一番苦労するのが「企画テーマ」の決定。ニュース番組と違いバラエティ番組では、「何を撮ろうか?」「誰に出演してもらおうか?」などを考えるところからスタートします。
その一番の軸を決めるのが「構成会議」。構成会議には、放送作家や演出(方向性を決める)、プロデューサー(責任者)、海外コーディネーターなどが集まりテーマ等内容について話し合います。
『スゴ~イデスネ!!視察団』構成会議でのポイント
●視察団探し:外国で活躍している一般の人を探す
●ロケ地探し:実際に視察団を受け入れられる取材先を探す
この2つを焦点に放送日の2か月~3か月前に構成会議を重ねます。
荻野講師は、 「実はなかなかテーマは決まりません。候補にあがりますが、できないということも多々あります。例えば「警察」をテーマにしたい場合。日本の警視庁が海外のFBIの方を視察団として受け入れてくれるのか…OKはでません。制作側、出演者、取材の受け入れ先、多方面の気持ちが合致しないと実現できないんです。」と、テーマ決定の難しさを話しました。
また、これまで構成会議を通り実際に放送されたテーマは、「新幹線」「家・伝統建築」「病院」「デパート」「魚」…など。
「テーマの決定にいたる理由はそれぞれです。例えば「新幹線」。理由ののひとつは、北陸新幹線の開業。そのタイミングで、高速特急をテーマにでできないか、という話が構成会議にあがりました。会議では、取材先のJRははOKを出してくれるのか、海外の鉄道関係者は来れるのか、などを話しし合っていきました。「家」でしたら、視聴者にとって身近な話題であることや、視察団として来日する大工さんも探しやすいだろう、という理由がありました。」
★ロケ撮影での苦労
①日程調整
視察団に海外から来日してもらう為、視察団と取材先との日程を合わせることは簡単ではありません。
②言葉
ディレクター含め撮影スタッフは皆外国語が話せるわけではないため、通訳さんをお願いし同時通訳で撮影を行っています。そのため現場では、撮影はゆっくり進み、時間が非常に長くなってしまいます。また通訳さんの訳し方も重要なことのひとつです。
*海外から来た視察団の方にリラックスしてもらい、いかに本音を引き出せるかがとても大切。
撮影前に通訳さんも含め食事をしたりと、コミュニケーションを取ることを心がけているようです。
③撮影クルーの人数
他番組と異なり、ロケ撮影に携わる人数が大所帯に。ディレクターやカメラマン・音声に加え、通訳や案内役なども同行するためです。
★スタジオ収録まで
スタジオ収録までには、非常に多くのセクションが関係しています。
この中でも重要なのが、「編集・MA(マルチオーディオ作業)」。
「編集」は、ロケで撮影した映像をどの順番で見せるかを考えたり、無駄な部分をカットしていくなど映像を繋いでいく作業。説明が不足していたらイラストをつけたりします。
「MA」は、「音」に関する作業です。撮影中の無駄な音を無くしたり、ナレーション・音楽を加えるなど、色々な音をひとつにまとめていく作業です。
このような事を終えたVTRをスタジオで流します。
★観覧客の力
スタジオ収録には出演者のほかに、収録を実際にスタジオで観ている観覧客がいます。
番組によっては観覧客がいない収録もありますが、バラエティ番組では観覧客を集めることが多く、特に漫才を撮る番組では必要です。
荻野講師は、「国内外のゲストをスタジオに呼び、その方たちのリアクションがある『スゴ~イデスネ!!視察団』のスタジオ撮影では、当初観覧客はいらないのではないか、という意見もありました。
しかし、出演者の爆笑問題さんは観覧客がいると、非常にテンションが上がります。お客さんを楽しませたいという気持ちのある方で、お客さんがいると生き生きと話をしているんです。
またVTRに対して一般のお客さんがどのような反応をするのか、というのを私たちがダイレクトに見られるため、観覧客を集めています。」と語りました。
講義の最後には、参加者から「視聴率への意識について」や、「スポンサーについて」などの質問が寄せられ、荻野講師は、一つ一つ丁寧に答えました。