毎日起きる出来事を取材し、みなさんがテレビで見ている映像を撮影しているカメラマン。
テレビ局の報道カメラマンは、どんな仕事をしているのでしょうか?その一部をご紹介します。
今回は入社5年目、松本健吾カメラマンの一日に密着しました!
松本 健吾(まつもと けんご)テレビ朝日 報道局 映像センター
2011年、テレビ朝日に入社。
北朝鮮をはじめ、これまで約20ヶ国の海外取材を経験。
2014年にはカイロ支局勤務。
出社したらまずはカメラチェック。音声が出るかなど収録がちゃんと出来るかを入念にチェックしいつでも取材に飛び出せるよう備えます。
デスクからの指示でこの日ひとつ目の取材へ。
カメラをはじめ、三脚などを車へ積み込み出発です。
正確な取材場所を運転手さんに伝え、VE(ビデオエンジニア)さんとともに向かいました。
車中では携帯電話でニュース等の確認をしたりと、情報収集。
現場に到着後、取材場所の確認をします。通行量などを把握したら、機材の準備に取り掛かります。
またレポートをする記者、取材先の担当者さんとの打ち合わせを行います。この取材は、お昼のニュースで放送予定であった為、映像を伝送する為の中継車も来ていました。
中継車のスタッフとも会話し、現状確認を。一瞬を逃さないためには、準備が大切なのです。
いよいよ取材スタート。通行人への気遣いをしながら、カメラをまわします。
街頭インタビューでは記者と連携を取りながら、臨機応変に取材を進めていました。
取材終了後はすぐに撮ったテープを中継車へ運びます。
放送を予定していたお昼の番組へは、別のニュースが入ったため、この取材は当日夕方のニュース番組で放送されました。
この日は取材が立て込んでいなかったので、一旦帰社。次の取材に向かうまで、情報収集をしたりと待機。
松本さんいわく「今日みたいに時間に余裕のある日もあるんです。一日何も食べられないくらい動き回っている日もあるんですけどね。」
そして午後2時すぎ、2つ目の取材先へと向かって行きました。
一日平均で、2~3件の取材へ。
その他月に2回、ヘリ番(東京ヘリポートでの勤務)と泊まり勤務をされているとのことです。
★こぼれネタ★
●松本さんが常に持っているカメラ。重さは約7kg。三脚など機材全てを合わせると、なんと20kgにもなるそうです!そのため日々体を鍛えたり、体調管理には気を使っています。
●いつでも取材に飛び出せるよう、常にスーツケースに数日間分の身支度ができているそうです!突然今から海外出張!ということにも対応できるようにしているんですね。
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Q.一番大変だった取材を教えてください
A.フィリピンの台風被害の取材です。何といってもインフラがやられてましたから。夜は真っ暗な中、大事な物は体に巻きつけて寝てました。
ですがそれ以上に、死者数が多くダメージを受けているフィリピンの悲惨な状況が心に残っています。
もちろん見たくないものもありました。ですが、この悲惨な現実を伝えるためには、見たくないものでも撮影して、“記録”として残さなくてはいけない、そう強く思いました。
Q.失敗談はありますか?
A.カメラマンデビュー3日目ですね。警察署の前で容疑者を撮らなくてはいけなかったんですが、自分の前にいた人の頭しか映っていなかったんです。
本社に戻ってきて、とても怒られました(笑)2度目、撮り直しはできませんからね…。
やはり「誰よりも早く、誰よりも前へ」という姿勢は大切にしています。海外での場所取りでは、体格差のハンディキャップもあったりしますが、そんなのには負けません。
Q視聴者にどんな映像を届けたいですか?
A.誰も入れないような国や災害現場、紛争地域に入って、自分の目で見たものを日本の視聴者に届けたいです。それは、目の前で起きていること“全て”です。
仮に今は放送できない映像でも、50年後・100年後には「歴史から学ぶ」ために放送すべき時がくるかもしれません。
中にはすぐには放送できないものもあります。しかし放送できないからと言って私が撮らなかったら、見たくないからと言って撮るのをやめたら、私たちの次の時代、後世は文字でしか事実を知ることができません。
だからこそ私は、「自己規制はしない。目の前のものは全て“記録する”。」
これからも報道カメラマンとして最前線にいる限り、この言葉は忘れずに一番大切なものとしてといきたいと思います。