7月1日(水)、茨城県取手市の福祉会館で「オトナ出前講座」が開催されました。茨城県では初めての講座で、市の職員・社会教育関係者40人が参加しました。
今回の講師は、2011年東日本大震災で被災3県の前線デスクを務めた、報道局の災害報道担当部長、久慈省平。テーマは「災害報道とテレビ~命を守る情報の受け止め方~」です。
3.11当時の報道の動きや、その後災害報道がどのように変わったのか、また、相次ぐ火山の噴火、地震、ゲリラ豪雨など自然災害に対する「警報」や「特別警報」がどのような時に出され、どのように行動したらよいのか災害報道最前線について解説。特に取手市周辺で起こりやすい自然災害についても丁寧に説明しました。
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◆災害報道はテレビ局の義務
「テレビで災害報道が始まった途端、1分ごとの視聴率がグンとあがり、視聴者が詳しい情報をテレビに求めていることがわかります」
と、久慈講師は自然災害におけるテレビ報道の重要性を語りました。
また、放送法によって、自然災害が発生、あるいは発生する恐れがある時は、その被害を軽減するための放送をすることが、テレビ局の義務であることも紹介しました。
災害が起きた時、テレビ朝日の対応について
・「緊急地震速報」 地震が発生し、間もなくその揺れが来る時の速報
・「速報スーパー」 震度3以上で表示
・「地震津波情報」 3.11以来、巨大地震の場合は、津波の高さ予測を何メートルという数字ではなく「高い」「巨大」などに表現が変わった
・「マスターカット」 東京では震度5強以上で番組を中断し緊急放送が始まる
・「ANN特別番組」
訓練用の画面を使い、どのような画面が出されるのか具体的に説明しました。
また、各局の地震速報や津波情報の出し方を詳細に分析し、文字の大きさ、色、画面の配置など情報がひとめでわかる画面作りを研究していると語りました。
テレビ朝日では、いざという時に報道局員が誰でもすぐに緊急対応ができるように、毎晩マスターカット訓練が行われています。
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◆3.11を振り返って
久慈講師は、東日本大震災を振り返り、74時間CM抜きで伝え続けた報道特別番組の様子を紹介。テレビ朝日はどのような放送をし、何を伝え、何を伝えられなかったのか、津波に対する警戒呼びかけは十分だったか、被災地は停電でテレビを見られなかったなど、大きな被害を出した東日本大震災の教訓を赤裸々に語りました。参加者は、当時を思いおこし、涙を浮かべる人もいました。
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◆特別警報について
「気象庁では2013年から『特別警報』を新たに創設しました。これは『警報』をはるかに上回る、いわば気象庁の最後の切札ともいえるものです。数十年に一度の重大災害の発生する危険が著しく高い場合に、地方気象台が市町村単位で指定し、都道府県ごとに発表するものです。」久慈講師は「この特別警報が出るときは人が死ぬほど大変なことです。」と注意喚起した上で、その際の放送についてテレビ朝日の考え方も紹介。
「気象庁は『ただちに命を守る行動をとってください』と言っているが、“命を守る行動”がどうすることか、家にいる場合、豪雨の中ですぐに飛び出さず、動かないほうが良い場合もあるのでテレビ朝日では、『ただちに身の安全を守る行動をとってください』と言い換えて注意を呼び掛けている」と伝えました。
久慈講師は、「特別警報」の6つの種類(大雨、暴風、高潮、波浪、暴風雪、大雪)と基準、いつ出されるのか、どのように行動したらよいのかなど、具体的な数字にも触れ注意を呼びかけました。
「大雨特別警報」は①48時間の降水量、②3時間の降水量などをもとに発表されると説明。
しかし、伊豆大島や広島の土砂災害では「特別警報」が出されなかったように、「特別警報」は府県単位の広がりで50年に一度の現象を対象とするため、局地的な豪雨では出されないので注意が必要だと強調しました。
1時間で50ミリの豪雨になったら危険だと認識しておくよう伝えました。
久慈講師は「今年、気象衛星の情報が飛躍的に増えました。また、気象庁では来年、新たな「防災気象情報」を準備しており、より地域に密着した詳しい情報が出されるようになります。」と語りました。
また、気象庁のホームページの有効な活用法も紹介。
気象庁のトップページには「高解像度降水ナウキャスト」があり、5分ごとに更新される「雨雲レ-ダー」や、特定地域の1分前の雨の様子を知ることができる「MPレーダー」などがあり、テレビの気象情報とネットの情報も合わせて上手に活用を!と呼びかけました。
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◆緊急災害にどう備えるか
1.自然災害を知る
2.災害情報を知る
3.避難場所を知る
4.防災グッズを知る
5.自分の身は自分で守る。自分の家族は自分で守る。
久慈講師は日頃からの備えについて、岩手の「津波てんでんこ」を例に挙げ説明。最終的には自分の身は自分で守る、自分の家族は自分で守るという心構えの大切さを、強調しました。
多くの具体的データをもとに、熱く防災を語った久慈講師に大きな拍手が送られました。
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