約30年間音楽番組に携わってきた編成制作局制作1部エグゼクティブプロデューサーの山本隆夫講師が成蹊大学で出前授業を行いました!
1986年10月24日に放送を開始して以来、四半世紀にも及ぶ歴史を持つ『ミュージックステーション』。
番組ができるまでの舞台裏をまとめたVTRを流し、そのこだわりについて話しました。
『ミュージックステーション』といえば“生放送”!!
事前の準備は大変ですが、放送開始からずっと「生放送」を続けているのにはこんな理由がありました。
「“いまこの瞬間にミュージシャンが歌っている”と思うと視聴者が共感しやすいと思うんです。ミュージシャン自身も歌っている時、『この瞬間に視聴者が聴いている』という緊張感がありますし、その緊張感が生み出す“オーラ”がVTR収録とは全く違ってくるんです。」
さらに、「何組かのミュージシャンが一緒に出る」ことにも意味があるといいます。
「出演者同士みんなライバル。他のミュージシャンが良いステージパフォーマンスをすると、次の順番の人が『負けられない!』という意識が働き、さらに凄いものが生まれるんです。」
と話し、“生放送の意外な効果”に学生たちも熱心に聞き入っていました。
『ミュージックステーション』のスタッフは何人くらいだと思いますか?
番組制作は、番組の土台をつくる制作スタッフのほか、各ミュージシャンのセットやCGをつくる美術、音を届ける音声、映像を撮るカメラなど、たくさんのスタッフで成り立っています。
すべて合わせるとレギュラー放送で約320人。スペシャルになると約1000人の人でひとつになって作り上げているのです。
『ミュージックステーション』のスタッフで特徴的なのが、女性が多いということ。
「番組を見ている方が女性が多いので、女性スタッフの目線や感覚を大切にし、番組作りに活かしているのです。」
<3週間前>
番組内でどんなコーナーをやるか・・・制作スタッフでアイディアを出し合います。
<2週間前>
出演者を決定。各ミュージシャンの曲を聞き、番組の構成や美術セットなどのイメージを膨らませます。
<1週間前>
出演者本人との打ち合わせ。
<4日前>
各ミュージシャンのセット図面を描き、大道具を発注します。
<2日前>
台本を制作。制作ディレクターは、曲ごとの細かいカメラの切り替え順(カット割り)を決めます。
<本番前日>
台本をもとに、番組開始から終了までを、曲を聴きながら制作・美術・技術の全スタッフで確認します。
照明はスタジオで800個以上もあるライトを1つ1つセッティング。7時間半もかかります。
美術は、発注したセット5~7曲分を4日間で造りあげていきます。
<本番当日>
朝8時~よる6時までリハーサル。
1ミュージシャンに1時間をかけ、本番通りのステージをチェック。
通しリハではCMの時間なども正確に計りながら、1時間の生放送通りにリハーサルを行います。
そして、いよいよ本番を迎えます。
出演するミュージシャンはどのように決めているのでしょうか。
ミュージシャンにとって、テレビに出演することが必ずしもプラスになるわけではありません。山本講師は年間140本くらいのライブを実際に見にいき、イメージを膨らませ、良いタイミングで出演交渉をしているそうです。
また、山本講師は『ミュージックステーション』は「音楽界の応援団」だといいます。
「ミュージシャンは“3分でいかに実力を出せるか?”、テレビは“実力がさらされる”ある意味こわいメディアです。
出演のタイミングを間違えると致命傷になってしまう。
その辺りを見極め、音楽界の応援団みたいな気持ちでアーティストを育てていくのがテレビの、そして『ミュージクステーション』の役割だと思います。」
▼授業後も音楽の仕事に興味津々の生徒さんが山本講師のもとに集まり色々な話をしていました♪
番組立ち上げ以来、ディレクター、プロデューサー兼演出を経て現在に至るまさに「ミュージックステーション」とともに歩んできた山本講師らしい“音楽への愛が溢れる”授業となりました♪