4月16日(水)、第34回テレビ塾【サッカーW杯ブラジル大会最前線!~「6.25日本vsコロンビア」を伝える男たち~】を開催!数々の秘蔵映像とともにサッカー中継の舞台裏に迫りました!
冒頭では、来場したお客様のために、なんと中山雅史さんからサプライズメッセージが・・!!!
ユニークなトークで会場を沸かせ、和やかな雰囲気に包まれると、おなじみのサッカーテーマソングとともに講師の入場です!
今回の講師はテレビ朝日のサッカー中継を長年にわたり担当してきたスポーツ局スポーツセンター 菰田勇男プロデューサーとサッカーの実況も担当する吉野真治アナウンサー。エスコートキッズを伴って入場の演出も好評でした♪
司会は「やべっちF.C.」などを担当している竹内由恵アナウンサーです。
サッカー中継の舞台裏
最初に紹介したのは「2011年AFCアジアカップ決勝の日本×オーストラリア戦」。
延長戦後半、途中出場の李選手がボレーシュートを決め、日本が決勝点を挙げたシーンとその時の放送席の映像です
▲実況アナウンサーも解説者もしゃべり続けながら抱き合い、固く握手しています
「みんなアドレナリンが出ていて握手が力強いので、試合後に気づくとすごく手が痛くなっています(笑)解説者、アナウンサー、ディレクター、技術スタッフ、みんなでどうすればいい放送になるか、どうしたら伝わる中継になるか、来る日も来る日も話し合ってきた結晶を本番で出せた喜びもあって、あの握手だったり抱き合ったりということにつながっているんですよ。」
と、すべてのスタッフの思いがひとつになっていることを話しました。
試合前には、必ず解説者、カメラマンなどと今日はどんなところに注目するか話し合い、より分かりやすい中継を目指しているという菰田講師。
「例えば、大迫選手。調子が良い時は笑顔が多いということが分かったため、カメラマンはその“笑顔”に注目して撮ります。その映像が流れた時、解説者も『試合前なのに笑っていますね!実は調子が良い証拠なんですよ。』というエピソードを伝えることができたら、より説得力のある放送になると思うんです。」
また、ゴールが決まった時、その瞬間をもう一度スロー再生されますが、菰田講師は選手がゴールを決めた時にとるポーズをきちんと見せてからスローを流すように心がけているといいます。
「ゴールを決めた選手のポーズにはそれぞれ特徴があるんです。長谷部選手の場合、天に向かって両腕を高く掲げています。これは、もう亡くなられた大好きな祖父に捧げているもの。」
取材を重ね、「プレーだけでなく、人間の喜怒哀楽、選手それぞれのエピソードも含めて届けたい。」と話しました。
実況アナウンサーの仕事
実況アナウンサーは事前準備がとにかく大変なんです!
吉野アナがサッカー中継の前に必ず作成しているという資料。
両チーム分のフォーメーションに合わせて整理。背番号・名前・身長・体重・プレーの特徴などが1人ずつ簡潔な言葉でまとめられています。
「ケガの情報、イエローカードの有無など各選手の情報を細かく書き込むのですが、海外の選手の場合、ホームページなどをチェックして自分で情報収集しなければなりません。アラビア文字など読めないものもたくさんあって・・・そういった時は過去の試合をいくつか見て選手の特徴を自分の目で確認しています。また、すごく難しいのが、情報の取捨選択。日本の選手の情報はたくさん入ってくるので、どれが実況に生かせるか選び抜いています。」
こういった地道な事前準備をとにかく細かく丁寧におこなっているという吉野アナ。
しかし、本番でこの資料を見ることはほとんどないといいます。
「せっかく作ったこういった資料も、本番中に見ていたらプレーに追いつかなくなってしまうので、ほとんど見ません。スポーツは何が起きるか分かりません。目の前で今何が起きているのか・・プレーにいかに集中できるかが、とても大切です。」
準備をしてきたことは頭に入れてはいるけれど、本番ではその資料を捨てて臨む。
これは、日本代表選手も一緒で、選手は対戦相手の情報を半分しか頭に入れないそうです。プレー中に予想と違うことで反応が遅くなったり先入観で判断を間違えないように。
それはスポーツ中継でも同じこと。固定観念を持たずに臨機応変に試合の流れを見極めることを大切にしているのです。
松木安太郎さんの解説
テレビ朝日のサッカー解説といえば、松木安太郎さん!
松木さんの熱い解説の数々に会場は笑いに包まれます(笑)
ですが、この松木さんの解説こそ、テレビ朝日のサッカー中継を支えているひとつ。
実は、松木さんは必ず「人名+背番号」で話したり、“ループシュート”というサッカー用語を“ふわっと”など、擬音を交えた簡単な言葉に言い換えていたのです。
松木さんは「サッカーをはじめて見る方にも楽しんでもらえるような解説をしたい」という思いで、専門用語をなるべく使わずに分かりやすく話してくれているので、ぜひ解説にも耳を傾けてみてください
テレビ朝日のサッカー中継のこだわり
テレビ朝日のサッカー班がこだわっているポイント
いかにプレーを分かりやすく見せられるか
いかに試合中の人間ドラマを色濃く伝えられるか
数々の秘蔵映像を交えて紹介し、生の映像を見せ続ける場合とスロー再生を織り込む画作りの違いなどについても、比較映像などを駆使して分かりやすく話しました。
また、講師の2人は、稲本選手の名言「最後は気持ちの強い方にボールが転がってくる」という言葉にあるように、何よりも「気持ち」を大切にしているといいます。
アジアカップのPK戦でのこと、「選手は円陣を組み、サポーターのみなさんも肩を組んでひとつになっていた時に、『これは放送席もひとつにならなければ!!!』と、狭い放送席で、僕ら2人に松木さん、セルジオさんの4人で、手を握りしめ合いながら一緒に戦っていました(笑)やはり気持ちって大切だと思うんです。男4人放送席で手をつないでいる局は他にないと思います!」と、強い気持ちを持ってこれからも中継を届けたいと語りました。
そして、話題は気になるFIFAワールドカップに・・・
5月14日(水)開幕 ワールドカップ最終予選を兼ねたAFC女子アジアカップ!
世界女王として今大会に臨むなでしこジャパンですが、アジアカップでは実は1度も優勝したことがありません。しかも初戦から前回大会女王のオーストラリアとの戦いになります。ワールドカップ出場権獲得、そして初のアジア制覇に向けて・・・なでしこジャパンにとっては絶対に負けられない戦いになります。
さらに6月にはブラジルワールドカップが開幕!
日本はグループステージでコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと同じグループC。グループステージ突破の鍵を握る大一番になると目されるのが第3戦のコロンビア戦。
この決勝トーナメントにいけるかどうかが決まる可能性の高い大切な試合をテレビ朝日がお届けします!6月25日(水)絶対に見逃せません!!
最後にそれぞれの立場から仕事のやりがいを聞きました。
【実況:吉野アナウンサー】私自身3歳のころからサッカーをはじめ、日本代表選手になるのが夢でした。アナウンサーとしても10年目にしてようやく日本代表の実況をできるようになり、嬉しく。また、放送を支えるスタッフの思いに応えるつもりで放送席に座っています。スポーツ中継はチームワークで戦っていますので、自分も良い歯車のひとつになれるように頑張っています。今後中継を見る際、少しだけ映像の裏にあるものや放送席のことを思い出していただけると嬉しいです。
【竹内アナウンサー】毎週のようにJリーグなどで選手を取材していて、頑張っている選手の生の言葉を聞くことによって自分自信、勇気をもらえるんですね。
素晴らしい選手に直接インタビューしてお話しが聞くことができるアナウンサーの仕事はとても幸せだなと思っています。ワールドカップでもみなさんに選手の熱いメッセージを届けられるように頑張ります。
【菰田プロデューサー】僕も9歳からサッカーをやっていたのですが、大好きな言葉に「こころざし」というのがあります。漢字で十一の心と書いて「志」。1人ではできないことも、11人・・多くの仲間が集まれば成し遂げられる。それがサッカーの良いところだと思っています。中継も多くのスタッフがいるからこそできるもの。毎試合みんなで作りあげていくことが喜びに繋がっています。男女の二大決戦、どんな中継になるのか僕らもワクワクしていますが、みなさんの声援もきっと届くの思うので、ぜひ応援よろしくお願いします!
普段の中継では見ることのできない映像や舞台裏の話に、受講者の方からは
「スポーツは勝負ばかり見ていましたが、プレーの中にも選手の人間味やドラマを取り入れてると知り、見る目が変わりました。」
という感想をいただきました。
よく“スポーツ観戦は現場に限る”
と言われますが、“テレビにしか伝えられないドラマ”もあります。
5月、6月、男女の二大決戦、どんなドラマが生まれるのか‥
日本中が歓喜に包まれることを願って、みんなで応援しましょう
次回の「テレビ塾」6月11日(水)に開催決定!!
テーマは『ドキュメンタリーの仕事』。詳細は近日公開♪