10月29日(木)、第53回テレビ塾を開催!今回のテーマは
「珍百景」の作り方~ニッポン再発見…ナニコレ!?の舞台裏~。
「テレビのプロデューサーの仕事ってどんなことなの?」「珍百景はどうやって選んでいるの?」など皆様の素朴な疑問に答えるべく、制作スタッフが具体的なエピソードや秘蔵VTRも交えて紹介
番組制作の舞台裏に迫りました
今回のテレビ塾、実は当初 今年3月の開催を予定していました新型コロナウイルスの影響により2回の延期を経て・・・この秋テレビ塾では初のオンラインでの開催に
参加者の皆さんにはZOOMウェビナーを使用して頂き、東京・六本木の会場から初の遠隔講義を実施これまでのテレビ塾では約80名のお客様を会場にお招きしておりましたが、今回はそれを大きく上回る人数さらに首都圏以外からのお客様にもご参加頂くことが可能になりました
今講座の講師は、『ナニコレ珍百景』の中田智也プロデューサーと、前川譲プロデューサー
司会は、『ナニコレ珍百景』のMCを担当している森葉子アナウンサーが務めました
冒頭、番組で司会をしているネプチューンさんからスペシャルメッセージを頂きました
「いつも『ナニコレ珍百景』をご覧下さって、ありがとうございます!!『ナニコレ』という番組は、視聴者の皆さんが見て下さるだけでも嬉しいのに、投稿をして下さるのが本当にありがたい!
番組を収録しているスタジオでは、たくさんのVTRが流されていて、皆さんがご覧になっているのはその中から選ばれた素晴らしいものです。たくさん応募されているけどオンエアされていない投稿もあるんですよ。中には何百回も応募して下さっている方もいて…。芸能人が応募したって関係ないですよ、それくらいガチなんです!そして番組のスタッフさんは投稿されたものをあれこれ工夫して取材していて、色んな人達のおかげで番組ができています。今日は番組の舞台裏の講座という事ですが、楽しんでいってくださーい!」
プロデューサーとディレクターの仕事
◆番組には何人くらいが関わっている?
まずは講師から、バラエティー番組の「プロデューサー」や他のスタッフが具体的に何をしているのか、それぞれがどういった役割で番組制作に携わっているのかを紹介しました
『ナニコレ珍百景』の1本の番組を作るのには、ネプチューンの方々やセットを作る美術さん、カメラなどの技術さん、照明さん…など約80人くらいが関わっています。
そして皆さん関心があるかと思いますが、プロデューサーとディレクターの違い。これは1軒のレストランを例にあげてご説明します
レストランを経営するオーナーがプロデューサー、料理を振舞うシェフがディレクターとご想像ください。オーナー(プロデューサー)はお店(番組)をどんな方針にするか、シェフ(ディレクター)は誰に任せるかなどを決める責任者で、収支も管理します。一方でシェフ(ディレクター)は、料理(番組)の味はどうするか、材料(ネタ)の調達はどうするかなど、実際の現場を担当します。
プロデューサーとディレクターの関係は、どっちが偉いということはありません。シェフがダメでも、オーナーがダメでもお店は潰れてしまいますよね両者が意見交換して、仲良くかみ合っている番組がヒット番組に繋がります
◆『ナニコレ』プロデューサーの大変なこと・他の番組にはない苦労
この番組は、タレントさんやプロの方とVTRを作るのではなく、一般の方(素人の方)とVTRを作っていく番組です。一般の方ですので、緊張したりすることはもちろんですし、その他思ってもみないことが発生する事もあります。その部分でプロデューサーがディレクターのサポートをすることが他の番組とは違い、注意が必要になってきます
また一般の方がテレビの仕事に関わるので、“関わった人が絶対に嫌な思いをしないように”、ここには十分配慮しています。有難いことに、番組にはお子さんからお年寄りまで年齢問わず投稿して下さるので、投稿して下さった方に迷惑をお掛けしないように、この事には一番気を遣って制作しています
『ナニコレ珍百景』を放送するまで
◆投稿数ってどれくらい?
視聴者の皆さんから頂いた投稿が放送されるまでは、実はかなり高いハードルがあるんです絶壁を登るようなし烈な戦いが…
まずは投稿の数 投稿数は1週間に200通の時もあれば1500通の時もあり、その週によって異なります。平均すると1週間に600通ほど投稿を頂くとしましょう頂いた投稿は、ディレクターを中心にスタッフ全員で見て検討します検討して精査後に、実際に下見に行く数がだいたい80通ほど。その下見後に40通くらいに絞ります。
…投稿者の方から、「どうして投稿したのに下見に来てくれないの?」という質問を頂くことも。
面白い投稿でも、過去に取材に行った事のあるものであったり、投稿者と取材先が異なる場合、取材先から取材をお断りされる…なんていうケースもあるんです
そして下見後にディレクターがVTRを編集し、さらに20通に厳選。その選ばれた20通がスタジオ収録で使用される…という流れになります
しかし!スタジオで収録後、仕上げ作業でさらに10~15通に絞られて放送、皆さんがご覧になることになります
このように投稿~放送までは、いくつものハードルがあるんです
◆投稿の採用ポイントと取材ディレクターのこだわり
さて、皆さんが投稿したネタの気になる採用基準とはなんでしょうか?
それは「見た人の心を動かす驚きや謎・ハテナがあるか」がポイントになります
映像を見た人が“その先を知りたいな”と思う事が大切ですそれは驚きや謎だけでなく、笑いかもしれません。ちょっとした切なさかもしれませんし、ほっこりする風景かもしれません
何らか「心を動かす●●」があることが採用基準になってきます。
また皆さんご存じの通り、VTRは最終的にスタジオでネプチューンさんが見て、判定します。もちろん全てが珍百景に登録されるわけではなく、登録されないと担当したディレクターはガックリしますしかしこれまでご説明したように、たくさんの投稿の中からここまで生き残り勝ち抜かれた投稿ですので、オンエアーで使われることはディレクターとしては凄く嬉しい事
『ナニコレ』ディレクターは、人の心に届くVTRを1分1秒ごとに面白さを追求して、命をかけるくらいの気持ちで制作しているんですよ
森葉子アナへの無茶ぶり「Vふり」
『ナニコレ珍百景』ファンの秘かなお楽しみにとなっているのが…
森葉子アナウンサーの「VTRふり」
VTRふり(略して「Vふり」)とは、VTRを流す前にスタジオの司会者やタレントが言う「VTRどうぞ!」という、あのフレーズです
『ナニコレ』では、ネプチューンの堀内さんから森アナウンサーへ出される、無茶なVふりが人気となっています
今回のテレビ塾では、参加者の皆様からZOOMの画面上より、森アナウンサーにどんな「VTRふり」をしてもらいたいかいくつか面白い案を出して頂き、それを森アナウンサーに即興でやってもらいました
森アナウンサーからの「遠慮なく無茶振りしてください」の言葉に、皆様からは…
「自信のあるモノマネで!」「ぶりっ子で!!」など、とても面白い案を頂きました
最後は、剣道の達人である森アナウンサーに「剣道の早素振り」でVふりをやってもらいました
「イチ・ニ・サン・シ・ゴ・ロク・ナニコレ~~」
質問タイム!
今回はオンライン講座ですので、参加者の皆さんからZOOMのQ&A機能を使って質問を頂きました
質問を投稿してもらい、会場にいる講師からお答させて頂き、追加で聞きたい事がある場合は、PCのマイクを通して会話をするという流れです。
.新型コロナウイルスによって、苦労した事・発見したことなど番組への影響は?
A.遠方ロケはなかな出来なくなりましたね。ロケは関東近郊・東京に留めるという苦しい状況が続きました。一方で、改めて過去の放送回を見直すことを行いました。12年間やってきた番組ですので5千本くらい。その中で“過去こんな投稿がありました”と言うことで、傑作選を放送してみたところ、皆さんから大変良い反響を頂きました。コロナ禍、過去を振り返ってみて新しく見せるという事ができたかなと思います。
さらに、PCやスマホを使って“リモート”でVTRを投稿してもらう事が増えました。この事によって変わったことは、より珍百景が撮りやすくなったことです。例えばこれまでスタッフがロケで行くと素の姿を見せてくれなかった動物が、飼い主さんがスマホで撮ってくれることにより良い表情を見せてくれるようになりました。
.取材先からクレームがあったことはありますか?
A.ご想像の通り、あります。クレームを頂いた場合、ディレクターだけでなくプロデューサーも入り、まずはその原因を真っ先に追及します。
.視聴率の他に、参考にしている数値などはありますか?
A.数値ではありませんが、TwitterなどSNSなどを見て参考にすることもあります。見て頂いた方の率直な感想を非常に大切にしています。そのご意見を次の番組に生かす、と言うことをやっています。
.長く番組が続く秘訣を教えてください。
A.番組は面白くなくては長く続きません。面白さを追求するディレクターの中で「自分こそ一番面白いVTRを作る!」という内部競争があることは大事かなと思います。良い意味での競争、という事です。隣のディレクターはこんなものを作っている…、負けないように…、どうしたら他のディレクターより面白く作れるか、ディレクター同士でもの凄く切磋琢磨しているんです。もちろん仲は良いんですよ(笑)
この仕事の魅力・やりがい
●中田講師●
「『ナニコレ珍百景』ほど、子供からお年寄りまで国民の皆さんに寄り添っていく番組はないと思っています。私は、投稿して下さった方が放送後に喜んでくれるのが一番嬉しいです!その投稿が投稿者の人生を変えることもありますので。私も含めてスタッフは、取材先に強い愛情を持っていると感じています。愛情を持って好きになれる番組、これが魅力です。投稿をしてくれた方に感謝しています」
●前川講師●
「自分が面白いんじゃないかという事を取り上げて、制作して日本中の皆さんに見て頂く、そして共感して頂くという事がやりがいです。今はYouTubeだったり色んなメディアがありますが、テレビのコンテンツ作りは普遍だと私は思っています。そこに魅力を感じていて、これからも続けていきたいと思っています」
おわりに…
ご参加頂いた皆様、最後までお付き合い頂きありがとうございました
今回のテレビ塾は初めてオンラインでの開催となりましたが、いかがでしたか?
対面での講座とはまた違った面白さがあったのではないかなと思います。
オンライン講座のメリットの一つは、距離の垣根を越えられることです会場の東京・六本木に来られない所にお住まいの方でも、PCを通してご参加頂くことが可能になりましたまた、お仕事・ご家庭のご都合のある方も、会場に足をお運び頂かなくても場所を選ばず受講して頂けます
今後のテレビ塾も、皆さんに楽しんで頂きながらテレビについてお伝えできる充実した内容を考えていきます!
次回のテレビ塾もご期待ください
*当日の模様は、日曜朝5時放送の「はい!テレビ朝日です」で後日放送予定です。