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投稿日:2021年06月20日 09:25
夜、ロケバスに乗って
東映スタジオに帰ってきた。
スタジオでは、まだ作業が続いている。
翌朝、東映スタジオにイン
既に準備が始まっている。
俺たちは今、ヒーローを作ってる。
頼れるものは体力。
削れるものは睡眠。
消耗されるブドウ糖。
爆発的な機動力ですべてを前進させていく
そんなスタッフさん達の姿に頭が下がる。
監督はいつだって
本気で作品と向き合っている。
脚本家さんは、誰よりも悩んで考えている。
そんな方たちに支えられているから
身体が痛くても
脳内がショートしそうになっても
ぼくは全然平気だ。
そして
そんなぼくたちを繋ぐ、1つの思い。
ぼくたち全員、
本気で仮面ライダーを愛してるってこと。
だからぼくたちは頑張れる。
大好きな作品に関われているというだけで
ぼくたちは明日も明後日も
きっと1年後も10年後も
笑っていられるような気がする。
仮面ライダーセイバーが大好きだ!
※写真撮影の時のみマスクを外しております。
投稿日:2021年03月28日 09:25
早速とりかかってみれば
どう考えても
リズム良く進めるなど到底不可能。
数百年の技術の壁が
私の前に立ちはだかる。
「ハイ、やってみな」
“師匠”という人は、何事も簡単そうに言う。
「よし、次は“焼き入れ”だな。
明るいと色がわっかんねぇんだなぁ。」
窓を閉めて、暗幕を引き
工房は完全な暗闇。
「はぁい。やってみい。」
炉の前に座り、炎と向き合う。
その勢いに焼き尽くされそうになりながら
炎と見つめ合う。
大きく深呼吸して、刀を炉に入れると間も無く
白く光る炭と、赤く光り出した刀。
俺は大秦寺哲雄。聖剣の刀鍛冶。
えい!と刀を引き抜き、水桶に突っ込む。
ジュゥゥ、、、
刀の反りと波紋を確認する。
すべての作業の結果が、ここに現れる。
「よし!」
思わず声が洩れた。
唯一無二の一振りが出来上がった。
大秦寺一族の誇りとともに、
これからも、刀と腕を磨いていこうと思う。
皆様も刀工体験、いかがだろうか。
投稿日:2021年01月17日 09:25
「ねぇきみたち、仮面ライダーみてる?」
「みてるよ!!」
1番元気な少年が答える。
そして少しマセた少年が次に答える。
「見てないよ、そんな子供番組。」
誇り高き少年は、
自分が子供であることを認めない。
完全なる塩対応。
ならば次のクエスチョン
「ねー ゼロワンだったら、
どのライダーが好き?」
「ゼロワン!!」
先程の元気な少年が、さらに元気に答える
「はぁ?バーニングファルコンだろ」
ちょっとまった!とばかりに
塩対応くんが口をはさむ。
「私は滅推しだ!」
盛大に唱えたい異議を、
私はぐっと飲みこんだ。
そんな私をよそにバトルは続く
「ゼロワン!」
「バーニングファルコン!」
「ゼロワン!!」
「バーニングファルコン!!!」
やたら熱いじゃないか、塩対応くん!
そして、舌戦を遮るように言った
「ねえ、兄ちゃんさ、
今から仮面ライダーになるための
試験受けに行くんだ」
「ほんとに!?仮面ライダーになるの?
すげー!」
バトルの勢いそのままに
元気くんがはしゃぐ。
「 なれるわけないよ。そんなの。」
塩対応くんがうつむいてつぶやいた。
わかってるよ、塩。
キミ、誰よりも
ライダーに憧れてるんだろ?
「じゃ、約束だ」
「え?」
「俺、絶対仮面ライダーになるよ。
だから俺が変身したら
一番に応援してくれよな」
「わかった。。」
約束をした彼は、目を合わせないまま
少し耳を赤くしていた。
約束守ったぞ、少年。
岡宏明
投稿日:2020年10月18日 09:25
続・第0章
その刹那、
手からブレイラウザーが滑り落ちる。
そこは橋の上。
父も私を背負った体では
到底ブレイラウザーの自由落下速度には
追い付けない。
そして私は手からすり抜けた宝物が、
うねる渓流に飲み込まれるまでを、
ただじっと見ていた。
現役のボクサーは、相手のパンチが
スローモーションに見えることがあるという。
極度の緊張と集中力で、
当時の岡園児の目にも
ブレイラウザーの落下が
スローモーションに見えていた。
そして騒がしいセミの声と、
川の流れの音にかき消され、
ブレイラウザーが着水する音は
聴こえなかった。
命ともいうべき剣を失ったことを実感し
ふと我に返った私はたまらず泣き出す。
───今怪人が襲ってきたら大ピンチじゃねぇか!
下山後、父を伴い必死に川を探したが、
ついぞおもちゃは見つからなかった。
私の人生初の挫折である。
不思議なもので、
おもちゃを買ってもらった喜びよりも
おもちゃを無くした悲しみのほうを
よく覚えている。
今の現場で聖剣を落とすことは
絶対にあってはならない。
敬意を払って”大人の宝物”を
楽しもうとおもう。
岡宏明
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