昭和初期、東京郊外に佇む赤い屋根の家に奉公した女中タキが見た、ある“恋愛事件”。
その時、タキが封印した“秘密”が、60年の歳月を超えて紐解かれていく映画『小さいおうち』。
50年以上にわたって、“家族の絆”を描いてきた山田洋次監督が、初めて“家族の秘密”に迫ります!
先日、完成披露試写会が行われ、松たか子さん、黒木華さん、吉岡秀隆さん、木村文乃さん、妻夫木聡さん、倍賞千恵子さん、山田洋次監督が登場しました!!
山田監督からは、本作を映画化するにあたり、原作から感じた魅力や、本作に込められた想いが語られ、“家族の秘密”が描かれた本作にちなんで、キャスト陣からはそれぞれが知っている山田組の撮影現場での秘密が語られました♪
皆様、こんばんは。今日は初めての試写会という事で、昨日から不安で心配で眠れなかったりしています。初めて皆さんに見て頂く時は判決を待つ被告のような気持ちです。
ここでこの作品がどうなるのか決まるような気持ちでいます。大勢の出演者、スタッフが心を込めて作った、そんな思いが伝わればいいと思っています。
――原作本をお読みになって、すぐに映画化を熱望されたそうですが、本作のどういったところに惹かれて、またどのような想いをこめて、この映画の製作を決意されたのでしょうか。
小説を読みながらわくわくしてきて、後半ぐらいからはこれ映画にしたいなと思いながら読んでました。この先いったいどうなっていくんだろう、この若奥様の運命は。もしかしてきわどい事になっていくのかなという、ドキドキした感じ。そんな映画を僕は作った事がないなという感じがしたんですね。そんな不安や、あやしい心のときめきみたいなものも含めて、戦前から戦後にかけての日本の大きな歴史が見えてくる。そういう素晴らしい小説だと思って、すぐに中島京子さんにお手紙を書きました。
――実際に出来上がってみて、手応えはいかがですか?
手応えはこれからなんですね。作ってるスタッフには本当にわからないんです。どんな映画になったのか・・どんな風に観客に伝わっているのか・・。寅さんを作っている時も、この映画みんな笑うのかなと、そんな不安の中で作っていて、実際にお客さんが笑ってくれるのを見て、やっぱりおかしいんだって思ったりする。この映画もまったく同じです。ただ、一生懸命作ったという、その事だけ当てにして、必ずその思いは伝わるはずだと、それだけを今、当てにしてここに立っています。
私もドキドキして眠れなくて、今朝は二度寝してしまったんですけれども。それぐらい高揚する気持ちがあります。今日は楽しんでもらえたらと思います。
――撮影現場での “秘密”のエピソード
面白い事がたくさんありました。私はその現場を直接目撃出来なかったんですけど、印象的だったのは、黒木華ちゃんと向かい合って会話している場面で、私の後ろの方から監督が“ドン!ドン!ドン!”と地団駄を踏んでいる音が聞こえてきたんですね。私、地団駄を踏む人なんてマンガ以外で見た事無かったんです。でも地団駄を踏むって、自分自身にすごく夢中になっていて、人に対してあたる行動ではなくて、自分の事が歯がゆいという。監督がそういう熱さをもって現場にいらっしゃるのは、とっても健康的だと思いました。これからもその監督の足音を消えないように頭の中に埋め込んでおこうと思っています。
今日はタキちゃんが見ていたもの、奥様との生活を皆さんに見てもらえると思うとドキドキしています。楽しんでいってください。
――撮影現場での “秘密”のエピソード
いつも緊張感がありつつも、あたたかい現場でした。(監督から割烹着が日本一似合うね!と言われ)ありがたいです。映画のポスターを見てくれた人からも割烹着が似合うと言われて、平成生まれなのに・・(笑)でもすごく嬉しいです。
――松さんとの共演について
初めて見に行ったお芝居が、松さんが出られていた「贋作・罪と罰」だったので、タキちゃんが時子さんを憧れる目と同じように、松さんの事を見ていました。
僕は板倉正治という役に対して自信があまり持てなくて・・(笑)
皆さんには是非楽しんでいただけたらと思います。
――撮影現場での “秘密”のエピソード
僕は板倉正治という役について何も出来なかったかもしれないです。
いまだに、もっと何か出来なかったかなと、ふと夜中に目が覚めたり、そんな反省の日々です。
監督が時子さんになって身振り、手振りご指導してくだるので、松さんとよりも、監督とお芝居する回数の方が多かったかもしれないです。
昨日はぐっすりと眠ってしまいました(笑)素晴らしい作品なので、見てもらえたら嬉しいです。
僕が最初に見た時は「素晴らしいですよ」と監督に延々語りかけてしまいました。是非楽しんでいってください。
――二作連続での山田組参加となりましたが
嬉しかったですね。「東京家族」を撮っている時に、「次もお願いしたい」と山田さんからおっしゃっていただいて、嬉しくて親に電話しましたから。
――撮影現場での “秘密”のエピソード
一緒に撮影することが多かった倍賞さんが本当に気さくな方だったので、いい意味で僕は本当に何も気にせずいられました。毎日毎日、「また明日ね」なんて言いながら撮影していました。倍賞さんが実年齢よりも年をとった役だったので、背筋を曲げて演技しているんですけれども、意識してないと背筋がピンと伸びちゃって(笑)「倍賞さん背筋伸びていますよ!」「あっ、そうだったわ」なんて、そんなやり取りをしてましたね。
こんなにたくさんの方に集まっていただいて、改めて山田監督の素晴らしさを実感しています。
とても素晴らしい作品なので、みなさんの心に残る作品だと思います。是非楽しんでいただけたらと思います。
――撮影現場での “秘密”のエピソード
最初から最後までずっと恐縮しっぱなしで、緊張したまま撮影していて、周りの人に助けてもらいながらの撮影でした。
撮影が終わった日に、山田監督に挨拶したら、ただ黙ってハグしてくれて、はじめて普通に息できた感じがしました。
今までこんなに緊張した事はなかったですね。
先ほどは元息子が自信がないと言っていましたが、素晴らしい作品です。毎日緊張しながら仕事をしていました。見ていただいて、「いいな」と思ったら是非お友達にも伝えてもらえたらと思います。ごゆっくり楽しんでください。
――撮影現場での “秘密”のエピソード
撮影は9:00に始まって、17:00には終わりなんですけれども、ある日、山田監督が、三時頃に「俺、腹減っちゃったから、撮影やめちゃおうかな」と言っていたのが秘密かな。
山田監督、お腹が減ると機嫌悪くなっちゃうし、お肉を食べるのがとても好きなんですね。だから山田監督が元気のないときは皆で、「お肉食べさせよう!」って言ってました。あと他にも秘密はあるけど、秘密だから言わないわ(笑)
映画『小さいおうち』は2014年1月25日(土)公開!