「ねぇきみたち、仮面ライダーみてる?」
「みてるよ!!」
1番元気な少年が答える。
そして少しマセた少年が次に答える。
「見てないよ、そんな子供番組。」
誇り高き少年は、
自分が子供であることを認めない。
完全なる塩対応。
ならば次のクエスチョン
「ねー ゼロワンだったら、
どのライダーが好き?」
「ゼロワン!!」
先程の元気な少年が、さらに元気に答える
「はぁ?バーニングファルコンだろ」
ちょっとまった!とばかりに
塩対応くんが口をはさむ。
「私は滅推しだ!」
盛大に唱えたい異議を、
私はぐっと飲みこんだ。
そんな私をよそにバトルは続く
「ゼロワン!」
「バーニングファルコン!」
「ゼロワン!!」
「バーニングファルコン!!!」
やたら熱いじゃないか、塩対応くん!
そして、舌戦を遮るように言った
「ねえ、兄ちゃんさ、
今から仮面ライダーになるための
試験受けに行くんだ」
「ほんとに!?仮面ライダーになるの?
すげー!」
バトルの勢いそのままに
元気くんがはしゃぐ。
「 なれるわけないよ。そんなの。」
塩対応くんがうつむいてつぶやいた。
わかってるよ、塩。
キミ、誰よりも
ライダーに憧れてるんだろ?
「じゃ、約束だ」
「え?」
「俺、絶対仮面ライダーになるよ。
だから俺が変身したら
一番に応援してくれよな」
「わかった。。」
約束をした彼は、目を合わせないまま
少し耳を赤くしていた。
約束守ったぞ、少年。
岡宏明