ぱーてぃーちゃん結成前夜、ギャルふたりがコンビで立った初舞台|お笑い芸人インタビュー<First Stage>#27(前編)

若手お笑い芸人インタビュー連載 <First Stage>

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生粋のギャルふたりと、彼女たちに挟まれたチャラ男。コロナ禍のテレビに颯爽と現れたぱーてぃーちゃんは、純度100%のギャルとして人々に笑いと衝撃を与えた。

そんな彼らに初舞台について聞く……予定だったのだが、なんとリーダー的存在である、すがちゃん最高No.1が大遅刻!

そこでこの前編では、ギャルの信子と金子きょんちぃに、お笑いとの出会いや、トリオになる前にふたりが組んでいた「エンぷレス」の初舞台について聞いた。

果たして、インタビュー終了までにすがちゃんは間に合うのだろうか……!

若手お笑い芸人インタビュー連載<First Stage>
注目の若手お笑い芸人が毎月登場する、インタビュー連載。「初舞台の日」をテーマに、当時の高揚や反省点、そこから得た学びを回想。そして、これから目指す自分の理想像を語ります。

すがちゃん最高NO.1、まさかの大遅刻

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左から:金子きょんちぃ、(撮影には間に合った)すがちゃん最高No.1、信子

──お忙しいところありがとうございます。ところでひとり欠けてますが……。

信子 「菅野、遅刻してんじゃねぇよ!」って書いといてください(笑)。

──すがさんの遅刻はよくあるんですか。

きょんちぃ あと40〜50分かかるんですよね? ここまで遅れるのは珍しい。

──勝手なイメージですけど、おふたりのほうが遅刻しそうなイメージがありました。

信子 ナメてもらっちゃ困ります。昨日同じ飲み会に行ってて、私は終電で帰ったんですよ!

きょんちぃ ギャルなのにお利口〜。

信子 そう、ウチはちゃんと帰ってエラい。まぁ遅刻もしますけど(笑)。

「芸人は医者より偉いと思った」

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──次のお仕事もあると思うので、すがさん抜きで先にインタビューを始めさせてください。芸人としての初舞台について聞きたいんですが、そもそもお笑いに興味を持ったのはいつごろですか?

きょんちぃ すみません、私、メイクしたいんで、先に信子から聞いてもらっていいですか。

信子 オッケー! 私、バッチリなんで。私が芸人に興味持ったキッカケは、吉本新喜劇かも。大分出身なんですけど、土曜の昼に吉本新喜劇の放送があったんですよ。午前で学校が終わるから、帰ってお昼ごはん食べながら吉本新喜劇を観て、終わったら友達と合流して、新喜劇ごっこやってました。

──「新喜劇ごっこ」って初めて聞きました。

信子 めっちゃ楽しかったですよ。うちはポコポコヘッド(島木譲二)か、茂じい(辻本茂雄)やってた。でも茂じいは人気で奪い合い。あと、アスパラガス(中條健一)もやってたなぁ。クラスにお笑い好きな子が多かったんですよ。最初はウチとサトウユウくんのふたりだったけど、どんどん仲間が増えていった。あとは『バカ殿』(志村けんのバカ殿様/フジテレビ)も好きでした。

ネタでいうと2004年のM-1で南海キャンディーズさんを初めて見て、「こんな革命的なツッコミする人いるんだ……!」って思った。あと、テレビで「笑うことでがん細胞を減らせる」みたいな情報を見て「じゃあ芸人って医者よりすごくね??」って芸人リスペクトになりました。医者は病気を治すけど、芸人はそもそも病気を発生させないってすごいじゃないですか。

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話してたら、いろいろ思い出してきた! 中高生のころは、『リンカーン』(TBS)とかの有名なバラエティ番組観てて、『ごっつ』(ダウンタウンのごっつええ感じ/フジテレビ)もDVDで観てました。あとは、南海キャンディーズさんの漫才とか、バナナマンさんの単独ライブもツタヤで借りて観てたな。これ初めて言うかも。

──能動的に見てたんですね。

信子 『ごっつ』だけ高校時代の彼氏の影響でした。一緒にごはん食べてるときに、急に変なことやりだして、聞いたらそれが「キャシィ塚本」のマネだって。彼氏に「なんで知らないんだよ、これ観ろ」って言われた。

高校卒業したときは芸人になろうなんて思ってなくて。上京して飲食店で働きながら、次は自分で店出すかフランスに留学するか迷ったときに、初めて「芸人になろう」って決めたんです。独立とか留学しちゃったら、その後の人生ってそれだけがんばらなくちゃいけないじゃないですか。やり残したことなんだろうなって考えたら芸人だったんです。

マイナスイオン姉さん”と“相方ビッチ”

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──新喜劇でお笑いを好きになった信子さんが、吉本興業ではなくワタナベエンターテインメントに入ったのはなぜ?

信子 一応いろいろ調べてたら、ワタナベがやってた「オモ女オーディション」っていうのを見つけたんですよ。当時、バービーさんとかイモト(アヤコ)さん、にしおかすみこさん、平野ノラさんってたくさんピンの女芸人さんが活躍し始めてて、私もピンでやろうって思ってたから、合うかもって。

──それでオーディションに行った?

信子 最初はとりあえず話聞いてみようって説明会に行ったんですけど、「次来るときネタやってみて」って言われて急いで作りました。人前で初めてネタやったのが、そこですね。「マイナスイオン姉さん」っていうネタ。銀色の全身タイツ着て「アンタ、森に返してやろうか!」とか言ってた(笑)。あれ、きょんちぃも見てたよね。

きょんちぃ 全然意味わかんなかった。

信子 擬人化するのがセンスあると思ってたの。

──ピンでやりたかったのはなぜ?

信子 誰かの失敗を許せないだろうなって思ったからかな。でも変わった女の子に捕まって「私たち、もうコンビだよね!」って言われておもしろかったので組みました。結局、外国人の男の子も入って3人でやったんですよ。でも、ゲボゲボつまんなくて。きょんちぃには、そういうグチをずっと聞かせてました。週3〜4で飲みに行ってたよね。

きょんちぃ うん。

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信子 ウチらマジでただのプライベート友達みたいだったよね。だから私がトリオを解散したあとで、きょんちぃと組むことにしたんですよ。そしたら講師が「お前ら、やっと組んだのか」って言ってました。事務所的には最初っからウチらを組ませたかったみたいなんだけど、「だったら言えし!」って感じ。そしたらもっと早く組んでたかもしれないのに。

当時のきょんちぃって“相方ビッチ”だったんですよ! ウチが思い出せる範囲でも8人と組んでた。私たちが組んだのが9月なんで、4月の入学から半年で8人。ひとり1カ月も持ってない(笑)。

きょんちぃ 私、基本的に性格が合う人がめっちゃ少ないんですよ。当時はめっちゃワガママだったし。自分でネタ書くのは絶対イヤで毎回相方に書いてもらってたんですけど、いつも「コイツ性格も合わないし、ネタも微妙だな」ってめっちゃ思ってて。お笑いが好きすぎて、劇場にもめっちゃ行ってたんで、そのプロのレベルが基準になっちゃってたんですよね。めっちゃ生意気だったんで申し訳ないです。

でも信子とは毎日飲んでたし、人間としては合うんだろうなって思って組みました。あ、メイク終わりました。

きょんちぃの初舞台は時事ネタ漫才

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──きょんちぃさんがお笑い好きになったのも子供のころですか。

きょんちぃ はい。パパがめっちゃお笑い好きだったんですよ。『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日)は下品だからって見せてくれなかったけど。

信子 えっ!? 最悪、ウチの師匠なのに。

きょんちぃ あんまりにもマネしすぎるからダメだって言われてた。でもお笑いだったらどんなに下品なものでも見せてくれました。

養成所に入ったのは22歳。卒業してからキャバクラで働いてたんだけど、みんなが大学卒業して就職したり、中卒高卒の子たちが落ち着いてるの見て、「自分、このままだと終わるぞ」って不安になったんです。そんなときに友達と話してたら「てかさ、お笑い芸人やるって言ってなかった〜?」って言われて、芸人になりました。

──「お笑い芸人やる」って言ったのはいつごろですか。

きょんちぃ 中学のときです。高校のときも、なんかのイベントで友達と漫才したことあるんですよ。

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信子 その初舞台、マジ見たいんだけど(笑)。映像ないの?

きょんちぃ ない! 時事ネタやりました。ちょうどマイケル・ジャクソンが亡くなった年だと思うんですけど、それに絡めてなんかやりました。

信子 なんか覚えてるワードとかないの?

きょんちぃ ない、覚えてても絶対言わない。

信子 ちょっとこれ取材なんだけど!(笑)

──ボケツッコミはどちらでしたか?

きょんちぃ 私はツッコミでした。まぁもうこれ以上話せることはないですね。

信子 その子とは一回しかやらなかったの?

きょんちぃ うん。「またやる?」って聞いたら「やるわけなくねぇ?」って言われた。養成所入るときも「一緒に行く?」って声かけたけど、「誰が? ウチが? え、無理」って即答だった。

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──きょんちぃさんはなぜワタナベに?

きょんちぃ 本当は吉本行きたかったんですよ。漫才とM−1がめっちゃ好きで。お笑いはもちろん好きだけど、M-1チャンピオンになりたい気持ちが一番だったから、絶対吉本じゃんと思ってて。でも一応吉本もワタナベも説明会には行ってて。そしたらワタナベから「もう一回だけ来てくれないか、どうしても会わせたい子がいるんだ」って言われたんです。

──「会わせたい」とまで言われてたんですね。

きょんちぃ 言われてました。「合うと思うんだよねぇ」って。でも最初に会ったときは別にしゃべらなくて。養成所に入ってからたしかに人間としては合うなと思ったんですけど、信子は「ピンでやりたい」って言ってたので誘わなかった。まぁ入ったらトリオになってて意味わかんなかったけど。

信子 ははははは(笑)。

コンビがうまくいった秘訣は、丸投げしたこと

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きょんちぃ 話戻るんですけど、しばらく事務所選びで悩んでたら、ワタナベコメディスクールが営業上手でめっちゃ電話かけてきて。それで「こりゃ条件いいぞ」ってなって、じゃあまぁ場所もいいしってことで、ワタナベにしました。

──立地ですか。

きょんちぃ はい。中目黒に養成所があって、ワタナベコメディスクールとLDHの事務所がめっちゃ近いんですよ。私、LDH大好きなんで、中目に毎日いたら、絶対誰かに会えるじゃんと思って、ワタナベにしました。

──会えました?

きょんちぃ たまに会えました

──そういうときって声かけるんですか。

きょんちぃ さすがに声はかけないです。私、すごくいいファンなので。

信子 はははは(笑)。

きょんちぃ いつか仕事するぞと思って。実際、GENERATIONSさんが一番好きなんですけど、ABEMAの『GENE高』(GENERATIONS高校TV)に出させてもらいましたし、『御殿』(踊る!さんま御殿!!/日本テレビ)でTAKAHIROさんにも会えた。(山下)健二郎さんと、NAOTOさんにも会いましたね。うれぴぃ。

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──連絡先とかは?

きょんちぃ 絶対交換しないです。私、すごくいいファンなので。

信子 あはははは(笑)。

──きょんちぃさんと信子さんのコンビ関係はなぜ長続きしたんでしょうか?

きょんちぃ いろいろ考えても無駄だって思ったんですよ。おもしろいことはしたいけど、どうせ私はネタ書けないんだし丸投げするんだったら文句言うのもやめようって。

そしたら案の定、信子は山里(亮太)さんに憧れてるから、全然向いてないのにたとえツッコミをしてて。全然向いてないんですよ。でも、いったんやりたいことやらせようと思って、ほっときました。私も「世界で一番自分がかわいい」っていうぶりっ子キャラさせられたし。

信子 それはきょんちぃが「私は石原さとみ以外の女優には、勝てる部分がある」って言ってたからだよ。

きょんちぃ まわりの芸人からは「楽屋でしゃべってればおもろいのに、ネタはまったくおもしろくない」って言われてました。

初舞台のあとは大号泣&ブチギレ

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──ふたりは、エンぷレスというコンビ名で活動しますが、初舞台は覚えていますか?

きょんちぃ 私はネタを飛ばして号泣しました。養成所のネタ見せだったんですけど、ネタが終わって、エンディングで泣いて。そのあともずっと泣いてた。

信子 で、ウチがブチギレ。ネタ飛ばしたり、泣いたりしたのはいい。でも終わってすぐに化粧直ししたのがムカついた。「それはちげえだろ!」って(笑)。

きょんちぃ そのあとに次のライブの手伝いがあったから、メイク崩れた顔見られたくなくて。でも結局手伝いもしないで、ふたりでダベってるだけでした。何話したかも覚えてないけど。

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信子 どんなネタやったかも覚えてないね。組んでから1週間もなくて、とりあえずこなすだけで。思い入れのないネタやっちゃったから。

──2017年に養成所を卒業します。芸歴が始まってからの初舞台は覚えてますか?

信子 全然覚えてねぇ。

きょんちぃ 外のライブもあんま出てなかったね。事務所ライブもネタ見せに通らなくて、1年近く出られてない。芸歴3年超えてから、少しずつ事務所ライブに出られるようにはなりました。でも、ぱーてぃーちゃん組む直前は、芸人辞めようかなって思ってた。

コロナでライブが全部なくなって、なんの活動もしなくなって、コロナがいつか明けるとも思えなくて、気持ち的にも沈んでて。感染するのが怖くてキャバクラのバイトも辞めたし、引きこもりみたいになって誰とも会わなくて、全部イヤになってました。人と人が触れ合わなくなったら、やってる意味ないわと思った。

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信子 きょんちぃの辞めそうなオーラ感じてたから、ピンネタ作らなきゃなっては思ってたよ。そしたら本当に電話来て「辞めたい」って言われて……そっからなんて言ったんだっけ?(笑)

きょんちぃ 「もうちょい様子見てもいいんじゃない?」って。

信子 そっか。ウチはコロナ明けると思ってたから。最悪、芸人じゃない活動で注目浴びて、芸人に戻るのもアリだなとか考えてたし。

きょんちぃ それが2020年の夏だね。その直後に事務所の先輩のすがちゃんが前のコンビを解散して、お試しで「ぱーてぃーちゃん」をやったおかげで、まだ芸人続けてるって感じ。

信子 っていうかもうぱーてぃーちゃん結成まで話したのに、まだアイツ来ないじゃん!

文=安里和哲 撮影=青山裕企 編集=後藤亮平

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ぱーてぃーちゃん
すがちゃん最高No.1(1991年8月21日、山形県出身)、信子(1992年8月1日、大分県出身)、金子きょんちぃ(1993年9月19日、神奈川県出身)のトリオ。2021年、コンビを組んでいた信子ときょんちぃに、すがちゃんが合流して結成。同年末の『ぐるナイおもしろ荘』(日本テレビ)への出演をきっかけにブレイク。賞レースに挑戦しながら、個人としても活躍する。YouTubeチャンネル『ぱーてぃーちゃんの今夜はなにパ?』は、“ガチガチに決めちゃうとイヤになっちゃうから”不定期更新中。

テレビ朝日『ももクロちゃんと!』出演アーカイブ

ももクロちゃんとぱーてぃーちゃん

ももクロちゃんとぱーてぃーちゃん~ぱーてぃーちゃんが裁判!?~

【前編アザーカット】

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【インタビュー後編】

目標に捉われず“今”を楽しむ?ぱーてぃーちゃんのネクストステージ|お笑い芸人インタビュー<First Stage>#27(後編)

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