NMB48安部若菜が卒業後に見据える新たな景色──「文章での、かっこいい姿を見せられたら…」

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安部若菜(あべ・わかな)
2018年、『第3回AKB48グループドラフト会議』でNMB48チームNに指名され、ドラフト3期生として加入。2020年1月に正規メンバーへ昇格し、同年11月発売の24thシングル『恋なんかNo thank you!』で初選抜入りを果たす。グループでの活動と並行して小説を執筆し、2022年に処女作『アイドル失格』(KADOKAWA)で小説家デビュー。以降『私の居場所はここじゃない』(KADOKAWA/2024年)、『描いた未来に君はいない』(KADOKAWA/2026年)を発表するなど、執筆活動でも高い評価を得てきた。また落語を趣味とし、上方落語の定席・天満天神繁昌亭でも高座に上がるなど、多彩な一面を持つ。2026年3月に卒業を発表し、自身の25歳の誕生日となる7月18日、大阪・Zepp Osaka Baysideで卒業コンサート『そして最後のページには』を開催。約8年半にわたるアイドル活動に区切りをつけ、新たな一歩を踏み出すことに。

卒業を目前に控えて(取材日:7月12日)

──まもなく卒業ということで、今の率直な気持ちを伺いたいと思います。

安部 もう緊張してきていますね、卒業に。8年半……高校1年生のころからずっとNMB48にいたので、NMB48じゃない自分がまだ想像できなくて。ちょっとドキドキ……不安も。

──8年半前だと……

安部 16歳のときに入りました。

──その16歳のときには、今のこの卒業するイメージは、まったく描いてないですよね?

安部 全然できてなかったですね。16歳のときに思い描いてたよりもずっといいかたちで卒業できるなあと思います。

──卒業のタイミングは決めていらっしゃったんですか?

安部 気づいたらこのタイミングになってたっていうのが一番なんですけど。ずっと卒業というのは頭の片隅に常にありつつ、でも先輩を全員見送るまではNMB48にいようと思っていて。去年の12月に自分より上の方が全員卒業されて、自分も旅立てるぞっていう覚悟が決まりました(笑)。

──ちょうど誕生日ですよね。

安部 卒業コンサートが誕生日当日になったのは、本当にたまたまで。夏ぐらいに卒業したいとは伝えていて……まさか25歳の誕生日に卒コンできるなんて、もうこんな幸せなことはないなぁって思いました。

アイドル・安部若菜として、やり残さないために

──その卒業までは間もなくですけど、この間に、アイドル・安部若菜としてやっておきたいことはありますか?

安部 そうですね。ステージで歌って踊ってというのが、本当にあと1、2回になってくるのでそれを思う存分やっていきたいなと思っていて。今までは、そこまでアイドルらしいツインテールとかをしないタイプだったんですけど、最近急にそういうことをやっておこうと思って、かわいい方向に、ここへ来て急に走り始めました(笑)。

──(卒コンの)衣装は決めていらっしゃるんですか?

安部 卒業コンサートの衣装……一番最後に着る衣装とか、全部決めていて。そこでドレスをその人に合わせて作ってもらえるんですけど、ずっと憧れていて……それを作ってもらえる人になりたいと思っていたので。

──初めての……

安部 初めてですね。生地からオーダーメイドで、こんな形にしたいみたいなのを伝えて作ってもらえるので、本当に幸せだなぁって思います。

──8年半の中で、もうちょっとやっておけばよかったみたいな、これはやりたかったなみたいなことってあったりします?

安部 けっこうありますね。もっとできたかもと思うことはあったり。そうだな、ステージのことですね。もっとかわいいことをやっておけばよかったなって(笑)。わりとあざとくないタイプで、ファンの方に向けてかわいいことを言ったりとか……まあまあしてこなかったので。もうちょっとやっとけばよかったなって、ちょっとだけ後悔しています。

ファンへ届けたい想い

──なるほど、卒業するにあたって、ファンにどんなことを届けたいですか?

安部 最後をめっちゃいい思い出として終わることで、ファンの人が一生忘れられないような人になれたらいいなと思いますね。推し活とかをしていると、気持ちの波もあったりして、数年経つと、あのころ好きやったなぁっていう思い出になると思うんですけど、すごく楽しかったなぁという思い出で埋め尽くされたらいいなと思いますね。

──ブログでも書いてましたけど、ファンの方に対する安部さんの想いって、なかなか伝えられないじゃないですか。安部さんは待っている一方で、ファンは好きなときに来られるという。今後は、どんな安部さんを見てほしいですか?

安部 NMB48にいるときも小説を書いたりしたんですけど、今後はそれをもっとがんばっていきたいなと思っているので。やっぱりアイドルをしていると、明るくてキラキラした面をステージで見せることが多かったんですけど、そうじゃない、文章でのかっこいい姿を見せられたらいいなと思っています。

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小説家・安部若菜が描くもの

──安部さんが書かれた小説を読んでいて……アイドルをやっている方が書かれた小説って、なんとなくラノベ調の作品とかが多い気がするんですけど、安部さんの小説は、そうじゃないのが本当にすごいなと。

安部 ありがとうございます。うれしいです。

──3作のうち、もちろんご自分を投影しているわけじゃないんでしょうけど、最初は女性目線で書いていらっしゃって。ただ(男性目線での)最新作は、どういう感じで書かれたんですか?

安部 はい、でもそれも意識していて。最初はアイドルのことをテーマにした『アイドル失格』という小説から始まって、ちょっとずつ遠ざけていきたいなぁっていうのがあって。3作目の『描いた未来に君はいない』というのが、ひとりの視点でずっと書いてみようというのから書き始めて、結果そうなりました。

──(語りの)性別が男性というと、想像するのは大変だったりしました?

安部 そうですね、でも小説を書くときって、自分と近くない人のほうが書きやすくて。意外とすらすら書けて。アイドルの役を書いてるときって、自分だったらどうかな?みたいなことを考えるので、自分自身をまず言語化しないといけなくて。そっちのほうが時間がかかります。

──リアリティラインが……

安部 そうですね。自分とキャラを分離させるのが難しかったりするので、逆に想像で書くほうがスラスラ書けはしますね。

──実際、普段もモノを書くというか……小説以外にも何かを書いたりということは多いんですか?

安部 多いですね。それこそ日記を毎日書いていたりとか、とにかく昔から気持ちをノートに書いたりっていうのは、ずっとしていて。作文とかが大好きでした。

──もう何回も聞かれているかもしれないですけど、好きな作家さんはいらっしゃいますか?

安部 好きな作家さんは……湊かなえさんが、いろいろな本を読むようになったきっかけで。あとは凪良ゆうさんも大好きです。

──じゃあ、そのうちミステリーとかも。

安部 書いてみたいですね。

──ちなみに、次はどんなものを書きたいとかってありますか?

安部 次の小説も書き始めていて……ご飯にまつわるお話にしようと。

「ご飯」をめぐって

──ご飯というと……昔は好き嫌いが、ぬか漬け、きゅうりがダメだったんですよね。

安部 そうなんです。ぬか漬けがダメでした。

──カブとかやると、おいしいですよ(笑)。

安部 おいしいですか? やってみます。

──カブの実じゃなく、葉っぱのほう……

安部 へえー。あのぬか漬けができるんですね。ちょっとやってみます(笑)。

──あと、白米がダメというのが(ブログに)あったので、お弁当とかは今まで大丈夫だったのかなと……

安部 そうなんです。私は白ご飯が昔から食べられなくて。高校生ぐらいのときに克服したんですけど。

──すごい! それまでは?

安部 それまでは、おかずがないとダメで。

──おかずがあれば大丈夫。

安部 ご飯に合うものが。鮭とかがあれば、食べられるんですけど。

──味がついているご飯とかもあるじゃないですか。ああいうのは大丈夫?

安部 ああいうのはいけるんですけど。

──日の丸弁当とか。のり弁とかもダメ?

安部 のり弁はのりがあればいいので(笑)。梅干し1個だと、ちょっと足りないなぁって。でも今は白米だけでも。

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NMB48でのターニングポイント

──NMB48の活動の話に少し戻りますが、この瞬間がターニングポイントだったなというのは何になります?

安部 そうですね……どれがいいかな。あ! NMB48の中で『NAMBATTLE』というファンの投票でシングルのメンバーを決めるイベントが2022年にあって。そのときに私、4位をいただいたんですけど、それがうれしくて。自信がつくきっかけになった出来事だなと思います。

──なるほど、楽曲でいうと、一番印象に残っている曲は何になります?

安部 吉田あかりさんが卒業するときの「恋なんかNo thank you!」が、初めて選抜に選んでもらった曲で。それはやっぱり思い出の曲ですね。

──初選抜に選ばれたときはどうでした?

安部 いやぁーようやくかって思いましたね。まだかまだかという気持ちだったので。

落語との出会い

──ほかに活動の中で、印象に残っていることはありますか?

安部 そうですね、たくさんあるんですけど……落語をしたことですかね。NMB48に入って、半年ぐらいのときに落語をひとりですることになって。それまでひとりでステージに立ったこともないなかで、初めてのひとり舞台が落語だったので(笑)。それはやっぱりNMB48の活動の中でも、すごく記憶に残っていますね。

──落語をやるきっかけはなんだったんですか?

安部 NMB48に入る前から落語が好きで……入ってからも「趣味・落語」と書いていたら、マネージャーさんが「落語をやってみるとか、どう?」と。私も自分で演じるというのは考えたことがなかったんですけど……やってみます!というのが始まり。

──練習は、けっこうされたんですか?

安部 練習はもう自主練という感じだったので……一度だけ、吉本の落語家さんの桂三金さんに来ていただいて見てもらってだったんですけど、本当にまだ何もわからずで。いろいろDVDとかを借りてきて覚えたりもして。

──所作とか、DVDを見ながら……

安部 そうですね。

──あっちこっちを向いたりしながら、人物を振り分けないといけないですもんね。

安部 はい。

──実際に高座に上がって、人前で披露してみてどうでした?

安部 直前まで不安すぎて号泣していたんですけど。でもいざ始まってみたら、本当に温かく見守ってくれて、けっこう笑ったりもしてくださったので……人に笑ってもらうっていうのも初めてのことだったので、楽しかったですね、いざやってみたら。

──そのときにやられた演目は?

安部 『鶴』と『桃太郎』をやりました。

──おぉ。実際にやってからは、落語を見る目も変わりましたか?

安部 やっぱり変わりますね。いざ自分でやってみたら、より尊敬の気持ちが大きくなって。それこそ私は二席覚えるのでも必死だったんですけど、落語家さんって、その日の流れとかを見て、話を決めたりするじゃないですか。そんな直前に決めて、あんなに長い噺を急にできるんやっていうのが、何回観ても不思議ですね。

──すごいですよね。でも安部さんも『金明竹』とか『平林』とか、いっぱいやりましたよね。

安部 5つくらい覚えましたね。

──じゃあ卒業コンサートでも!

安部 (笑)。

──繁昌亭での雰囲気は、NMB劇場とは違いますか?

安部 違いますね。やっぱり緊張しますね。普段、自分が観に行っている場所の高座に上がれるというのが恐れ多くて……本当に気が引きしまりました。

──お客さんも全然違いますもんね。

安部 それこそ繁昌亭とか、落語好きの方が集まる前で落語をさせてもらうことも何回かあったんですけど、できるだけ孫みたいな顔をして、孫ががんばっているから的な感じで見てもらえるように無邪気な顔でやっていました(笑)。

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落語・浪曲番組『WAGEI』の公開収録

卒業コンサート後の7月29日、安部さんが出演する落語・浪曲イベント『WAGEI』の公開収録が行われる。テーマは「恋」、会場は日暮里サニーホール。

──今回の『WAGEI』イベントのテーマが「恋」。恋をテーマにして、噺家のみなさんにネタを考えてもらっていて……安部さんも一席、どうですか?

安部 恋か……全然ネタがないですね(笑)。

──以前『WAGEI』に出ていただいたときは、たしか『アイドル失格』をテーマにしたネタをやってもらったんですよね。カンペありで、覚えていますか?

安部 んー、どうでしたっけ?

──浪曲風で作ってもらって。直前で玉川太福さんにいろいろ教わって。でも、今回は難しいですよね……?

安部 そうですね、どうしよう……。

──ちなみに、今回の『WAGEI』イベントのゲスト出演者とは、みなさん初めてになります?

安部 お会いしたことはないかな……。

──ネタを聞いたことは?

安部 えーっと……たぶん聞いているような。

──玉川太福さん、立川吉笑さん……ソーゾーシーは全員?

安部 えーと……はい、たぶんほとんど。林家つる子さんと鈴々舎美馬さんも、別の落語の番組でお会いしたことがあります。

──寄席じゃなくて、普通の番組で共演してネタを観たんですね。

安部 はい、ネタも観ました。

──ということは、ほぼ全員のネタをご覧になってる。

安部 はい。でも立川吉笑さんの「恋」はあんまり想像できないです。おもしろそうですね。

──プルプル……言いながら(笑)。

安部 あまり「恋」のイメージがないので。

──瀧川鯉八さんは?

安部 瀧川鯉八さんとは共演したことないです。

──鯉八さんは基本、オリジナルなネタで。その世界観もぶっ飛んでいて、よくわからないこととかもあるんですけど……枕を10分ぐらいやって、ネタはもう4、5分とか。イベントでは「恋」に関するネタとか恋に関するトークとか、みんなでできればなあと思っているので。

安部 いいですね! 恋バナですね。

──その中で、この安部さんの最新作に関する話もしていただけたらな、と。

安部 ありがとうございます。もう卒業も近いので、なんでも話せます(笑)。

──ギリギリのラインでお願いします(笑)。今まで3回『WAGEI』の番組にご出演いただいていて……安部さん的にはどんな感じですか?

安部 落語が好きだったんですけど、『WAGEI』で浪曲とかにも初めて触れたりしたのが、すごく印象的で。“話芸“という、ちょっと大きなくくりなのが、すごく素敵だなと思っていて。

──浪曲を披露していただきましたよね。

安部 はい。難しかったですね。

──玉川太福さんが、いろいろと教えてくれて。あと落語も上方だと違うじゃないですか。

安部 そうですね。私自身は、大阪で上方落語をやってる方と一緒になることが多いので。『WAGEI』だと江戸落語のみなさんの噺を聞けるのも、すごく楽しいです。

──安部さんは、新作落語と古典落語と、どっちが好きとかあります?

安部 古典からの入りなんですけど新作もおもしろいですよね。どっちも大好きです。

──普段、創作活動なさってますしね。

安部 そうですね。

──今後も話せるネタを増やしていく方向で……

安部 やりたいなと思いますね。それこそずっと創作落語にも興味があるんですけど、なかなか。

──たしかにネタをイチから作るって、わからないですよね。

安部 まだまったくわからないですね。だから本当にすごいなあと。

──NMB48のメンバーの中に、落語が好きな方って、ほかにもいたりするんですか?

安部 落語はいないですね。でもお笑いを一緒に観に行くことはあって。なんばグランド花月とかに行ったら、漫才の中に落語家さんも出られたりしていて、そこで初めてメンバーが落語を観て、横でめっちゃ笑ったりしてたら勝手に「よしっ!」と思いますね(笑)。うれしくなります。

──寄席へは最近、行かれたりしています?

安部 最近は、本当にたまになんですけど。

──東京だと、なかなかスケジュール的に難しいですよね。

安部 そうなんです。東京で行けることがなかなかないので……卒業して、時間に余裕ができるので、いろんな寄席へ行ってみたいですね。

卒業後に叶えたい夢

──実際、卒業したら時間もできるし、一番やってみたいことはなんですか?

安部 旅に出たいです。

──旅! 具体的にどことかあります?

安部 行きたいのはそうですね……世界に羽ばたきたいです! NMB48にいると旅行に行ける機会がなかったので。1泊以上という旅をしたことがなくて。ヨーロッパとかへ行きたいです。

──なるほど。ヨーロッパで特にこの国に行ってみたいとかは……

安部 イタリア、ローマ。“ローマの休日“したいですね。

──(笑)。あと……旅行以外でも、安部さん、たくさん趣味があるじゃないですか。たとえば、その中で何か……

安部 今、いろいろな趣味があるんですけど、逆により増やしてみたいなと思っていて。習い事を始めたいなと。

──たとえば?

安部 たとえば……あ! ポールダンス。

──すごい! 文化系かと思いきや!

安部 一回、ロケでポールダンスを……この間やってみたら、運動したいなーと(笑)。

──運動系は自信があるんですか?

安部 はい、運動系はわりと。中学時代は陸上部で運動をしていたし、NMB48でも踊ったりというのがあったので。逆に(卒業すると)運動が一番なくなっちゃうので、動きたいなあと。

──運動を、ポールダンスで埋めていく……もしかしたらポールダンス小説も。(ポールダンスの)マンガはあるじゃないですか。

安部 小説は、まだないかもしれない。

──最後にlogirl読者へメッセージをいただければと。

安部 はい。私はあと1、2週間でNMB48を卒業するんですけど、趣味の落語とか、あとは小説を書いてきたこととかも含めて、より幅広い活動を好奇心旺盛にしていけたらなと思うので、これからも一緒に見守っていただけたらうれしいなと思います。

取材・文=山田ひろし、鈴木さちひろ 撮影=北野将市

『CSテレ朝チャンネル「WAGEI」特別公演 創作話芸フェス】

出演:玉川太福・春風亭昇々・立川吉笑・瀧川鯉八・玉川みね子
林家つる子・鈴々舎美馬・安部若菜(NMB48)

日時:2026年7月29日(水)18:00開場/18:30開演
会場:日暮里サニーホール・4Fホール
チケット料金(全席指定):前売3,500円/当日4,000円(いずれも税込)
チケット販売(チケットぴあ):Pコード542-635
詳しくは番組公式HPへ https://ex-maniacs.tv-asahi.co.jp/ch/ex_maniacs/post-64934/

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