取材後記  【森川 夕貴】
2020年10月08日

01
ヨーロッパ最後の独裁政権が敷かれているベラルーシという国をご存じだろうか。
ロシアに隣接し、旧ソ連崩壊時に独立した小さな国である。
そこで26年もの間、独裁政権を敷いているのがルカシェンコ大統領。
彼の退陣を求める大規模なデモが続いているベラルーシだが、
そんな中、国の民主化を訴え、大統領選に挑み、
国のために戦っているのが“普通の主婦”だったチハノフスカヤ氏、38歳である。
今回、彼女にインタビューをすることができた。
インタビューを通して見えた彼女は、愛のために突き動かされた一人の母親であり妻であった。
現在、本国から脅迫されている彼女はリトアニアに避難している。
そこで2人の子供と一緒に暮らし、
政治活動をして本国で収監されている夫のことを心配しながらの毎日を送っているのだ。
彼女が終始インタビューで述べていたのは、
「私は普通の人間で、一母親で、女性で、妻である」ということ。
政治には全く興味がなかったが、収監された夫を助けたいがゆえに大統領選に立候補したという。
また、「大統領になったとしても長く務めるつもりはない」ときっぱりと言うのだ。
彼女が望むこと。それは、真の民主主義な選挙が行われて、大統領が選ばれること。
では、なぜ、本国から逃げたり、脅迫されり、いろいろなものを犠牲にしながらも、国のために戦うのか。
彼女は言う。
「愛する子供や夫のため。そして未来の子供たちに、素晴らしい故郷であるベラルーシを残すため」だと。
愛情によって突き動かされた一人の女性の物語。
これから彼女の物語がどう紡がれていくのか。取材を続けていきたい。

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