先週に引き続きマンチェスターからのブログです。前回滞在したのは昨年12月。マイナス7℃くらいで凄く寒かったので、今回は特別に暖かいコートを出してきて完全装備で訪れましたが、今回はなんと15℃ぐらいもあります。辻井君の服装を見たら、僕以上に厚着で笑ってしまいました!
海外に滞在中は日本から色々なDVDを持って行くのですが、今回のマンチェスターではあの「のだめカンタービレ」がお供です。いやいや、なかなか面白い!というのも“のだめ”のエピソードが僕の経験と似ているのです。もちろん千秋先輩のように見た目がかっこいいということを言っているのではないですよ。例えば、130年の歴史を持つパリのオーケストラの指揮者に就任するエピソードや、そのオーケストラの名前が「ル・マルレ」ということ。僕が最初に仕事に着き、パリで17年もの間首席指揮者を務めたオーケストラは「ラムルー」。カタカナで書くとそうでもないですが、アルファベットで書くと似ているんです。ラムルーはボレロを世界初演したオケで、僕が就任した時「音楽家の墓場」とまで言われていた…。それでも僕が就任して定期会員を数年で4倍に増やし、でも確かにオケは貧乏だった。コンサートマスターは“のだめ”ほど意地悪ではなかったですが、あれぐらいオケがもめたこともあったなぁ。
こういった類の映画やドラマを観ていて、やはりこちらは音楽を仕事にしていますから、「そんなアホな」と所々で思わず突っ込んでしまいますけど、それでも面白いです。クラシック音楽のことがこの映画で身近に感じる人は多いだろうなぁ。見せ方、聴かせ方が相当上手い!また、僕はパリに住んでいたので、出てくるシーンが知っている場所ばかり。コンサートホールに音楽院、僕が住んでいた場所のすぐ近くの街並みや、のだめが買いに走った花屋さんまで知っている。それに僕はウィーンにも3年間住んでいたので、その景色も懐かしいものばかり。ちょっと笑ったのは、映画のエキストラに東京交響楽団の首席ホルン奏者で僕の友人、ジョナサン・ハミルさんが出演していること!髪型ですぐにわかりますよ。
ともあれ、話は若き音楽家の心理状態をよく表していて、鼻高々な人も、ドキドキしている人も、自信を持てず悶々としている人も、それぞれが夢中になれることを探している姿は現実そのままです。そして、本気になって向き合えるだけ、クラシック音楽は面白いものだと、この映画は教えてくれました。
そう、今回の放送では3人のゲストがそれぞれに凄い才能を発揮してくれていますが、アレンジバトルでは初登場のカバちゃんこと加羽沢美濃さんは、のだめに勝るほどの天才です。間違いない…ドラマの世界ではなく現実に、こういう人がいるんですね~!
