2010年10月17日 09:30

 ベルリンから時差ぼけで帰国したおかげで、1週間とても規則正しい生活をおくりました。といっても、夜の10時になると眠くて眠くて、意識がなくなるようにバタンと爆睡するのに、午前2時にはシャキーンと目が覚め、枕元の目覚まし時計を見ては「まだ夜中かい!」と自分につっこみを入れていました。とは言え、日ごとに目覚める時間もずれて来て、体調万全の良い感じでシエナとの沖縄演奏旅行に入りました。普段海外での仕事が多いですから、あまりどこにいってもそんなに喜ぶことはないのですが、沖縄に来るのはやはりワクワクしますねぇ。青い空に青い海、心地良い海風が心を癒してくれます。勿論、緑の芝生もね!

 今回は沖縄県吹奏楽連盟の50周年ということで、特別にシエナとのツアーが実現したのですが、本当にどこに行ってもたくさんの方々が我々を歓迎してくださいます。今回沖縄に来て初めて入った那覇の居酒屋さんの壁に、プロレスラーの藤波辰巳さんの写真が飾ってあったのですが、僕は昔藤波さんのお家に何度か遊びに行ったぐらい仲良しなのです。でも、お互い最近は忙しいし、メールなんかを始める前からの付き合いでそんなやりとりもなく、ここ数年連絡が出来ていなかったのです。そうしたら居酒屋の大将が「電話をしてみましょうか?」ってことになり、かけてみたら本人が出られて、久しぶりに話が出来ました。その後に行った素敵なBARのマスターは、なんと淀川工科高校吹奏楽部の出身。お店から顧問の丸谷先生に電話をして、これまた楽しい時間を過ごしました。沖縄公演のチケットはありがたいことに早々と完売し、今日の演奏会は大いに盛り上がることでしょう!

 

 さて放送は「キャンディード」の回でした。今年はバーンスタインの没後20周年ということで、兵庫と東京でこの作品を舞台上演しました。僕が最初にこの曲を取り上げたのはもう15年前。何度やっても、益々好きになる奥深い曲です。番組でも大まかなあらすじはありましたが、本当に話がややこしい。けれどずっと僕の中でこの作品はレニーからの宿題のように思っていた部分がありました。というのも「ウエストサイド物語」に代表されるように、あれだけのドラマを作る才能があった彼が、ストーリーが複雑過ぎて理解されない、単なるドタバタ劇を残すはずがないと確信していたのです。1989年、亡くなる1年前に彼自身の指揮によって「キャンディード」の再演が行われたことが示すように、彼の中でもこの作品はとても大事にされたものだったのです。兵庫で作った舞台は、鬼才ロバート・カーセン氏の素晴らしい演出で皆様に届けられ、僕としては気になっていた大きな宿題をやり遂げたような想いでした。レニーが生きてたら喜んでくれただろうと思います。この10月14日はレニーの20回目の命日でした。

視聴者からのコメント
2010年10月18日 21:16
Miyabi

真夏のキャンディードの感動がよみがえってきました♪
今年の公演のDVD化は予定されていないようですので、今回の放送は貴重ですね。
沖縄の演奏会はきっと大成功だったと思いますが、台風の影響でお天気がいまいちな様子なので、芝生の方が心配です...

2010年10月18日 00:42
トクちゃん

夏の兵庫の舞台「キャンディード」を思い出しました♪・・・朝からテレビの前で拍手~♪
PACの皆さんをテレビで見ると「おらが町の音楽隊~♪」って気分になって嬉しいです。

2010年10月18日 00:06
とくゆみ

キャンディード序曲の7拍子が違和感なく綺麗なメロディーを奏でる、というのは本当に魔法のようです。

私が吹奏楽団にいたときに演奏した経験がありますが、楽譜は7拍子でなく2拍子2拍子3拍子で書かれていました。冒頭部分にも少し7拍子がありますよね。
楽譜と耳で聞く音のギャップが大きくて、曲を聞いたことがあってもなかなかうまく演奏できなかったことも(技術が全く伴わず…)いい思い出です。

本当に聞きたくてウズウズするほど大好きな曲の1つです。

2010年10月17日 13:12
サドラー2号

バーンスタインの指揮で「カディッシュ」を歌ったときは、彼がそんなすごい指揮者だとは全く知らず、ただ「ウエストサイドストーリー」の作曲家としか認識してませんでしたが、佐渡さんが節目節目に教えてくださるレニーは人間的でお茶目で可愛くて、そしてとてつもなく偉大な人物といった印象です。
そんなレニーが最後まで気にかけていた「キャンディード」。曲の美しさで言ったら、私などはこれこそがレニーの最高傑作なのでは、と思ってしまいます。
大好きな「キャンディード」の大好きな「着飾って騒いでも」が放送された今回のビデオは、我が家の永久保存版です!

2010年10月17日 10:03
emiemi

兵庫での「キャンディード」を思い出しながら番組を見ていました。
吹奏楽で先に音楽を知っていましたが、物語との関連を知ると味わいが益々深いものになりました。

2010年10月17日 09:30
げ@一介のリスナー

13歳で出会って以来、バーンスタインは指揮者である以前に僕にとっては生きている大作曲家であり、現代音楽界のアイドルでした。
それは、無調でも、12音でも、ジャズでも、ラテンでも、シナゴーグの讃美歌でも、なんでも拒まず綯い合わせにして聴かせてくれる懐の広さが魅力だったからです。
しかし何より、天性のメロディメーカーとしての面目が躍如とするのが声楽作品の数々ですよね。

今やバーンスタインの黒歴史として誰も語らない「ペンシルベニア通り1600番地」についても佐渡さんに光を当てていただきたいものです。