2010年10月10日 09:30

 先週末2日間で4回公演という兵庫の5周年ガラコンサートを終え、すぐに翌日離日しました。
今回は伊丹→成田→フランクフルト→ベルリンという長旅でした。ベルリンではもう10年の付き合いになる、ベルリン・ドイツ交響楽団の定期演奏会をベルリンフィルの本拠地であるフィルハーモニーホールで指揮します。プログラムは、コンサート前半に武満徹の「セレモ二アル」、細川俊夫の「ランドスケープ(弦楽四重奏版)」、黛敏郎の「饗宴(バカナール)」そして後半はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」です。ここベルリンで日本の作曲家を取り上げ紹介することは、日本人指揮者として当然のことですし、僕の使命だと感じています。特に「題名のない音楽会」の司会を受け継いだ者として、黛さんの「饗宴(バカナール)」を演奏することは、とても意味のあることだと思っています。今シーズンは、この曲をベルリン以外にミュンヘン、デュッセルドルフでも演奏します。バーンスタインがニューヨーク・フィルと共に初来日した時に選んだ曲であり、そして若き小澤征爾に振らせた歴史的な曲ですから、僕の人生にも大きな意味を持つ曲だと言えるでしょう。精一杯頑張りたいと思います!

 

 ベルリンで、ちょっとした面白いことがありました。ベルリン・ドイツ交響楽団に頼まれたボランティアで、ベルリンに演奏旅行に来ているブラジルのユースオーケストラの指導を引き受けていました。僕は、まあ呑気にマスタークラスをやる程度に思っていたのですが、会場に行ってみると、お客様もオーケストラのメンバーも、皆ばっちりフォーマルな格好をしています。指揮をする僕はというと・・・チェックのシャツにジーパン。客席の最前列に案内されると、横にはブラジルの大使。他にもよくわからないけれど、とにかくお偉いさん方が勢揃いの状況です。

 まずはそのオーケストラの指揮者が2曲演奏。お客さんは400人程度でしたがこれは立派な演奏会であり、それどころかかなり重要な国際親善の場のようです。あまりにもカジュアルな格好に後悔しながらも、ここまできたら引き返せない。そしてついに僕の番!司会者がアナウンスします。「今週、ベルリン・ドイツ交響楽団の指揮をされ、来年の5月にはベルリン・フィルの指揮台に上がることが決まっている、マエストロ佐渡です!」こんな恰好ですいません状態でしたけれど、一旦指揮台に上がったら、もうやるしかない!ベートーヴェンの交響曲第8番の第1楽章が課題曲でしたが、短い時間にとても良い練習をすることが出来、お客様からもブラボーの嵐を頂きました。しかもオーケストラから「キャンディード序曲」の指揮を突然頼まれるという大きなオマケ付き!なんだかどこかのB級映画の1シーンのような時間でしたが、笑ってしまうぐらい面白い経験でした。

 

 さて今週の放送は、ピアノ界のキムタク、ユンディ・リの登場です。面白いもので、彼と最初に会ったのもこのベルリンでした。2年ほど前小澤先生の指揮で、彼がベルリンフィルデビューした時でした。彼とはちょっとした関係があって、僕はイタリアの紳士服ブランド<エルメネジルド・ゼニア>がスポンサーとなってくれて、本番の衣装などを提供してもらっているのですが、彼もそのゼニアアーティストの一人でした(現在契約終了)。指揮者のゲルギエフやロストロポーヴィッチなど、そうそうたるメンバーが並ぶゼニアアーティストですが、アジア出身は僕とユンディだけなのです。いや~、何度も言いますが本当に今週のブラジルオケの会は、ゼニアでお洒落していけば良かったなぁ・・・。

視聴者からのコメント
2010年10月11日 10:55
emiemi

「ゼニア」新宿店のフォーマルウェアブースには、ゼニアアーティストの写真が並んでいます。お部屋の正面は、もちろん佐渡さんの写真です!

2010年10月11日 10:12
michi

オケ版華麗なる大ポロネーズ初めて聴きました。ユンディの演奏はまさしく華麗で叙情的なショパンでした。今度佐渡さんとの共演が実現すると素敵ではないでしょうか。
ユンディスペシャル有難うございました。

2010年10月11日 00:19
AkiAki

佐渡さんって、題名のない音楽会では、いつもとても素敵な本間さんの隣で、ニヤニヤしているオヤジっていう感じなのに、本当は、すごく、すごく、すごく、すごい指揮者なんですね。
でも、超一流のオケを振る一方で、音楽ファンを増やす為の地道な活動をされているところが、またすごいと思ってます。
音楽っていいなって、思う人がどんどん増えていく様に、これからの活躍に期待してます。

2010年10月10日 16:17
M。

ベストドレッサー賞の佐渡さん、想像するだに残念な出来事でしたね。
あるとき独唱者が短めのスカートにかかとの低い大きな靴をはいていて、目の前だったので気になったことがありましたが、だからといって美しい歌声への感動が減ったわけではないので、きっとベルリンのオーディエンスも演奏を楽しまれたことと思います。
海外では行けること自体と音楽、美術鑑賞が最高のぜいたくなので食物はファストフードとかスーパーで買うとかで充分、まずかった記憶もないですが、日本が一番おいしいものがあるのでは。
ただニースの海岸の海の家みたいな所のサラダニソワーズのドレッシングだけは恋しいです。グルメな佐渡さんは海外でもいろいろ食されていますが、ベルリンの安くておいしい情報なども期待しています。わたしはキッシュとワイン(フランス産でした)、日本と同じ注文の仕方で買えたチェーン店のコーヒーだけだったので。
ユンディ・リーさんのコンサートいつか行きたいと思いつつもう十年。でも変わらず貴公子というタイトルがふさわしいすてきなショパンでした。

2010年10月10日 09:56
サドラー2号

ベルリンでブラジルとの国際親善ご苦労さまでした!オファーがあったときにちゃんとドレスコードを教えておいてほしかったですねえ。でも、指揮者は服装じゃない!佐渡さんの熱烈指導と本気の指揮を見たら、誰だってブラヴォ叫んでしまいますよ。やはり国際的に活躍する指揮者は国際親善に大いに貢献されているのですねえ。
ユンディ・リさんのショパンは本当にステキですね。何て言うんだろう、タッチがとてもしっかりしていて、でも繊細な音色で、ショパンの中のショパンという感じですね。写真もとってもステキでした。

2010年10月10日 09:30
げ@一介のリスナー

李雲迪の端正で力のこもった演奏で、小学生だった頃初めて聴いたショパンが英雄ポロネーズだったことを鮮明に思い出しました。
今度ベルリンに行くついでにワルシャワにも足をのばそうかと一瞬考慮しましたが、食事が不味いと佐渡さんまで言い出したものだから、きっぱり考え直します。
ともあれ李雲迪の写真を見ると雲南省、麗江や香格里拉にはいつか訪れてみたいものです。