2010年10月03日 09:30

 この土曜日と日曜日は、兵庫県立芸術文化センターで「開館5周年記念ガラコンサート」を行っています。90分のプログラムながら、一日2回、合計4公演で8千人のお客さまにお祝いしていただきます。そして開館から毎年年間50万人の来場者数という驚異的な記録が5年間続いたおかげで、なんと土曜日には250万人という大きな節目を突破いたしました!

 この劇場は、この数字が表わす通り、沢山のお客様のお陰で、素晴らしいホール!と胸を張って自慢できるところまで来ることが出来ました。我々演奏家は舞台の上でいつたくさんの拍手をいただいていますが、こうして5周年を迎えることが出来た今、僕が一番この喜びを分かち合いたいのは、ホールの裏方を務めてくださっている皆さんです。実際の舞台に関わるスタッフはもちろんですが、ホールの建設に関わってくださった方々、日夜警備をしてくれているガードマンの皆さん、いつもピカピカにホール中はもちろん楽屋から廊下まで磨きあげてくれる清掃のスタッフの皆さん、劇場内のレストラン、レセプションや、チケットセンターにショップのスタッフ。全ての裏方スタッフが開館前から新しいホールと新しいオーケストラの誕生にワクワクし、そして今、あの時よりもさらにホールを誇らしく感じてくれていることと思います。

 この劇場の一番最初のお披露目会を、オープニング公演の前日に関係者だけで行いました。そこで僕が提案した演出プランは、「兵庫県内の小学校5年生の子供達にオーケストラを指揮してもらうこと」。つまり、震災があった年に生まれた子供たちの手によって、記念すべき最初の演奏がスタートするのです。そして、子供達がオーケストラを指揮する音楽に合わせて、この日だけは「全ての裏方スタッフが自分の役目を書いたプラカードを掲げて表舞台に上がろう!」というものでした。自分のアイデアなので改めてこうして書くのはおこがましいようですが、普通はオープニングの最初の演奏は芸術監督が指揮すると思うのです。けれどこの時は一つの指揮台の上で手を繋いだ子供達が指揮をしたのです。この劇場は彼らの世代になってからこそ、本当にみんなの「街の広場」になったと言ってもらわなければならないわけですから、彼らにその大きな夢を託したというわけです。沢山の方にお祝いしていただいた5周年ですが、また次は何を舞台に持ってきて、どんなサプライズを行うか、神戸に帰ると頭の中は芸文センターのことばかりで一杯になります。10周年、50周年がますます楽しみになっていくような劇場になればと思います。

 さて、放送は「1812年」チャイコフスキーの名曲を紹介しました。僕はこの曲をアメリカのタングルウッド音楽祭の閉会式で聴きました。野外でのコンサートでしたが、実際の軍隊の大砲を何台も使った空砲は、それはそれはお腹にズシンと響く物凄い音でした!大音響のオーケストラももちろんですが、この曲を演奏会でやる時はまさに大スペクタクルですね!音楽ってとても野性的なものだと改めて思います。演奏家の思い、スタッフの劇場への愛情、劇場を自分達の心の広場と集まってくださるお客様、どの思いも人間の根源的な野性味に溢れていると思います。よし!もっともっと野性味を出していこう。もっともっと美しさを届けよう。それが人が本来持っている喜びなのだから。そして人が人である証明なのだから。

視聴者からのコメント
2010年10月31日 21:27
タイコときどき鍵盤

1812年、本物の大砲はうらやましい!

んなもの易々と用意できるはずもない私は、この曲で、大太鼓を思いっきり傾けて叩いたことがあります。なかなか気分の良いもので、タイコで良かった!と思ったものでした。

2010年10月12日 00:08
柔らかい手

初めてコメントいたします。
10月2日5周年記念ガラコンサート、拝見いたしました。13:00からの1回目。その後の、ホール前のオープンスペースでのオープニングセレモニーにも。埼玉から大阪の親戚のものに急遽訪問することになり訪れたのですが、当日朝にチケットセンターにお電話して、チケットを手に入れました。

すばらしかった!
佐渡さんのおっしゃる通り、スタッフの皆さんの温かさがホールにあふれています。朝のチケットセンターのお電話の女性の方から暖かかったです。不慣れな場所で、ぎりぎりの時間で、そんな不安を汲み取って、とても温かい言葉で対応してくださいました。
会場でも、ご案内くださるスタッフの方も、カフェの方も。いろんな思いと重なり、何度も涙が流れる、そんな心をほぐしてくださるような会場でした。そして、オーケストラの方々も。
コンサート中の一幕です。佐渡さんの頬にピンクの羽がついていて、それをお伝えしようとするバイオリンの皆さんたち。最後は第一バイオリンの方がそっととって差し上げて。細かく伝えられないのが残念ですが、その一連のやり取りに、本当に温かさを感じました。とてもとても良い一日でした。
地元の皆さんを拝見していても、佐渡さんの温かさと熱い思いが大本なのだと強く感じました。
最後に・・・
サイン会をなさっていた佐渡さんに握手をしていただきました。ボレロのDVDにサインまでいただいて。。。
その時の佐渡さんの手の柔らかさに感動。最後に思いっきりの笑顔を下さったのですが、緊張で心臓が破裂しそうになっていた私は、しっかり目に焼き付けることができませんでした。それだけが心残りです。
また、次のコンサートで笑顔を拝見することを楽しみにしております。

2010年10月05日 02:22
シャんパン

日曜朝は1812年で、午後はガラコンサートを存分に楽しみました。
250万人達成も、おめでとうございます。サドヤンの尽力なくしては、私のような素人は、オペラの楽しさを味わうことは出来なかったでしょう。蝶々夫人から始まって、キャンディードまで。
ホールの柑橘系の香り、、、今年末は聞けないと思っていた、ラデッキープラス六甲おろし、最高でした。ありがとうございました。

2010年10月03日 22:40
akiaki

1812はいい曲ですね。
派手さばかりがクローズアップされますが、実はそれなりに奥の深い曲。
そして、かっこいい。
学生時代にオケでラッパを吹いた曲なので、とても懐かしかったし、
あの大砲も、煙が曲にあっていて、とても良かった。
また、チャイコお願いします。
それにしても、佐渡さんはどういう時に燕尾服を着るのかな・・・?

2010年10月03日 09:59
emiemi

「開館5周年記念ガラ・コンサート」に行ってきました。演奏会は終始御祝ムード。笑いと拍手で包まれていました。
ガラコンサートの後、隣接する高松公演で感謝セレモニーがありました。
佐渡さんのご挨拶があったのですが、ここに至るまでの想いがこみあげてこられたようで、涙ぐまれるシーンも。
「感謝」が飛び交うセレモニーでした。

「1812」は吹奏楽でも演奏される曲で、私が演奏したときは大砲の変わりに大太鼓が力一杯に叩き響いていました。西宮球場があった時に、自衛隊の空砲を鳴らして演奏したことがあったようです。一度そんな演奏が聴いてみたいです。

2010年10月03日 09:44
サドラー2号

芸文センター5周年おめでとうございます。この5年間の経済効果はすごいものがあると新聞でも報じられ、我々が羽田で感じていた盛況ぶりが数字にも裏打ちされましたことも、おめでとうございます。「公立ホールとして異例」と記事には書かれていましたが、明確なビジョンを持って設計から運営まで細かに気を配ってこられた佐渡さんのお力無くしては、こうは素晴らしいホールに成長しなかったと思います。佐渡さんの熱い思いがあったればこそ、裏方の皆さんもそれに応えて誇りをもってお仕事をされているんでしょうね。実際、たまに合唱練習で楽屋口から中に入れていただくと、裏方さんの仕事ぶりが他のホールとは全く違う気がしています。特に掃除のおばちゃん!皆さん感じが良いんですよね~。会えば必ず挨拶を交わしています。
昨日のコンサートや記念式典では、佐渡さんが何度も感激でウルウルされるのを目撃しましたが、私自身も芸文センターのこの5年の歩みを思うと胸がいっぱいでたびたび涙ぐみました。芸文センターのこれからのますますのご発展をお祈りし、そして直接応援していきます!
序曲1812年はやっぱりいいですね!大好きです。お祝いモード?の佐渡さんの久しぶりの燕尾服も嬉しかったです。

2010年10月03日 09:30
げ@一介のリスナー

良く知られたありものの旋律を紡ぎ合わせて一大叙事詩を音だけで構成しきったチャイコフスキー、その天才ぶりは計り知れないものがありますね。
我が国でもモンゴル・朝鮮連合軍による侵略を受けながら撃退した元寇を題材にした「神風」という作品を山田耕筰が残しています。フィンランドにはロシアとの闘争を描いたシベリウスの「フィンランディア」がありますし、祖国の危急存亡のとき、愛国心が発露するのは古今東西を問わず人類普遍の感情なんだと痛感します。