『 変身』
その一言は甘美で異質。
そりゃあそうだ、自分じゃない誰かになるんだから。
文字通り、変ずる身。
憧れであり放棄、それ即ち仮面ライダー。
『バッタの能力を持つ改造人間』
触れ込みだけを見れば完全なイロモノ。
でもそのイロモノには今、数え切れない程の人達の目が向いている。
恐るべし創造と想像。
何やらごちゃごちゃ書いてしまいましたが、
まさか私が「変身」と口にする日がくるとは思いませんでした。
「まぁ、昔何十回と一貫献上したこともあるし、余裕でいけるっしょ」
そんな幻想は本番前のテストで打ち砕かれました。
鼓動が早い、口が乾く、足が震える、
『 緊張』
その感情は焦燥と奮起。
そりゃあそうだ、初めて仮面ライダーになるんだから。
文字通り、緊々と張り詰める身体と心。
三十路を過ぎた男をここまで縮み上がらせる存在、それ即ち仮面ライダー。
緊張を乗り越えて変身した先の感情は、堅苦しい言葉じゃ逆に言い表せない、
ただ単純に嬉しかった。
一人の少年として。
これほどの夢を抱えた作品、そして仮面ライダーという存在そのもの、
本当に偉大だと『変身』を通してあらためて感じました。
こんなに高揚したのはいつぶりだろう。
久々に思い出した。
役者って、良いなぁ。
お相手は私、相馬圭祐でした。