前田 『リバイス』は無事にクランクアップしましたが、この1年は本当にあっという間で。オーディションして皆さんと顔合わせをしたのがつい先日のことのように覚えています。それだけ濃密な1年間だったのかな、という感じです。
木村 僕も終わったという達成感もあるけど、連日撮影で頑張っていたキャストの皆さんとは少し違って、定期的にバイスの声の収録に行く日々だったから。その分、僕はマイペースに、視聴者の皆さんと同じ様なペースで『リバイス』に関わってきたという感じ。だから僕は普通に1年経ったな、という(笑)。でも、本当に近くでキャストのみんなが頑張っているところを見てきたので、1年間本当に頑張ったキャストの皆さんにお疲れ様と言いたいな。
前田 最終話のアフレコはめっちゃ楽しかったですね。結構、自由度が高かったというか。何をやっても許されるという感じだったので(笑)。
木村 最終話だから詳しくは話せないけど、アクションシーンの中でのアフレコだよね。目まぐるしく動く中で、実は決まっていたセリフは始まりと終わりぐらいだったっていう…。
前田 そうですね。
木村 あそこは二人でその場で思いを出し合いながら、前田君が言ったら僕が応えて、僕が言えば前田君が応えて、みたいな。本当に生き生きと出来たという感じがしたね。
前田 テストもきちんとやりましたが、本番では何をやるかわからないという感じでしたね。本番ではガラッと変わるかも知れない、その時次第、という感じで。
木村 自由だったからこそ、僕らがセリフに言わされていない、僕らの中から湧いて出てくる言葉というか。50話分の積み上がってきた各々の気持ちと各々に対する自然に湧いてきた気持ちだけで勝負する、という状況が胸アツで。終わったらメチャクチャ泣きそうになっちゃった。アフレコが終わってすごくウルウルしちゃって、前田君は後ろにいたんだけど、すぐに振り向けなくて、ちょっと落ち着いてから「お疲れさんでーす」って(笑)
前田 えー、そうだったんですか。ぜんぜん気づかなかったです(笑)。
木村 しかも、あの最後のアフレコを(バイスのスーツアクター)永徳さんが見に来てくれていたでしょ。僕としては前田君と永徳さんもバディだと思っていて、その3人が集まっての最後のアフレコだったから、より感動的だったね。エモかった(笑)。
前田 僕は最後のアフレコのときは懐かしい気持ちになりました。
木村 そうなんだ!
前田 なんだか『リバイス』が始まった当初のワチャワチャ感があって。最初のころのアフレコでもアドリブを入れまくっていたじゃないですか。それがストーリーがシリアスになってくると、僕があまり入れられなくなっていって。だから、アドリブがめっちゃ懐かしいなと感じたんです。
木村 確かに、そうかもしれないね。
前田 なんかそれで1年経ったんだな、とアフレコをやりながらすごく感じました。あと思い出すのは、一輝の中にバイスが入ってきちゃってバイスに憑依されるときがあったじゃないですか。その時の演技は難しかったですね。バイスを演じるとなると、昴さんはもちろん、永徳さんの動きも考えなきゃいけないから。
木村 あーそうか、そう言われるとそうだね。それは面白い(笑)。
前田 お二人の要素を取り入れつつ演じるというのが大変でした。自分が一から作ったキャラは演じやすいと思うんですけど、もともとあるキャラクターを自分が後から演じないといけないというのは本当に難しかったです。正解があってそれに寄せようとしないといけないので。
木村 でも、お芝居はみごとだったよ。すごくよく出来ていたと思う。アフレコもやりやすかったからね。前田君、こんな引き出しも持っているのかよってびっくりしたよ。
前田 いや、確かに僕の動きに完璧にバイスを吹き込んでくれましたよね。不思議とバイスに見えていましたから、ちゃんと。
木村 本当に最初のころとは打って変わって前田君は進歩したよね。アフレコのことに関して言えば迫力も出てきたし、アクションをしているときのバリエーションとか、気合いの入れ方とか、ちゃんと抜くところは抜けるようになったりとか。お芝居もそうだけど、アフレコをする人としてもすごく進歩していたのが僕は素敵だな、本当に頑張ったんだなと思ったよ。
前田 昴さん、僕、今マスクをつけているからわからないかもしれないですけど、めっちゃニヤニヤしています(笑)。昴さんは僕にとっては相棒であり、師匠でありますから。普通に昴さんが大好きなので(笑)。
木村 それはうれしい(笑)。これからは声優としてもやっていけるんじゃない?アニメとか出てみない? 僕から言っておくから。
前田 昴さんの相棒役があったら…。
木村 よし、やろうよ。スネ夫とかやってみる?(笑)
前田 いやいや、スネ夫はできないっす(笑)。絶対に無理!
木村 ははは。冗談はさておき、前田君にとって『リバイス』はどんな作品になった?
前田 僕にとっては一からのスタートだったので、ここでやってきたことすべての経験が自分の中での財産だと思っています。自分自身ここで鍛えてもらって俳優として活躍していきたいという気持ちがあったので、1年間とりあえず学べることを学んでいこうという気持ちでやってきました。ここでの経験をこれからの俳優人生で生かしていきたいです。
木村 僕も最初は「悪魔でライダーってなに?」と戸惑ったけど(笑)、今となってはバイスも自分の代表作の一つになったな。バイスをやらせていただくようになってから、より子供たちにも知ってもらえて、楽しんでもらえたというのが嬉しかった。街を歩いていても子供たちから「バイスの人だよね!」って声をかけられることが増えて、僕がジャイアンをやっていることを忘れられ始めているのはヤバいんだけど(笑)、子供たちに楽しんでもらえたというのは嬉しかったな。
前田 僕はお子さんから声をかけられることがほとんどなくて…。
木村 えー、なんで!僕より絶対に声をかけられそうなのに!もったいない!もしかしてみんな本物の一輝を目の当たりにして言葉を失って声をかけられないとか。そうでなければマジで私服が地味とか(笑)。
前田 ははは。いや、声をかけてくださるとしたら大人の男性の方か、同世代の女性の方とか。お子さんはほとんどないですね。日向(亘)と歩いている時は声を掛けられることが多かったけど。自分としては「一輝だぞ、仮面ライダーだぞ」って気配は出しているつもりなんですが(笑)。
木村 そうかー。これからはしあわせ湯の衣装を着て生活してみたら?(笑)
前田 そうですね、そうしてみますか(笑)。
木村 あと「大泉なう」ってツイートしてみるとか(笑)。
※写真撮影のときのみマスクを外しています。