推し活歴15年…恩人との再会で感じた“続けること”の大変さと幸せ|「林美桜のK-POP沼ガール」第20回

林 美桜のK-POP沼ガール

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「林 美桜のK-POP沼ガール」
K-POPガチオタク・林美桜テレビ朝日アナウンサーの沼落ちコラム

久しぶりすぎるコラムの更新になってしまいました。

最近はというと……最近というかずっとですが、仕事内容もあまり変わらず、もともとプライベートでは推し活以外は家にこもっているので、大きな変化はなく。

「最近どう?」って聞かれると、
「ちょっといいウイスキーにコーラを注いでコークハイにすると、ドターペパーみたいな味になるっていう発見がありました! 割合は1対1です」
っていう会話しかできないくらいになってます。要は、何もないってこと。

停滞気味の私を救ってくれた「韓国ドラマ全話鑑賞」

毎年ですが、真夏に入るまではなんだかいろいろ停滞気味。
特に誕生日付近。歳を取ることの重みがどんどん増している。

急に先を思い悩んで、人生このままじゃまずいんじゃないか?と考え込み、でも行動に移す元気もなく、体調も上向かず、人との会話でもパッとしたことが言えないし、思いつかない。全部がぎこちない!!

ふぅ〜〜〜。
でもこんなときこそ、韓国ドラマに救われます。

韓国ドラマを「全話観きる」ことが、私に達成感を与えてくれる。
仕事も勉強も人間関係も日常生活も、完璧にこなすことがいつも以上に難しくなっているときに、よくやるメンタル向上術です。

韓国ドラマを一気観することだけは完璧にできる。
この“完璧”を積み重ねると、私の場合「やり遂げた」という自信につながって、少しずついろいろよくなっていくような気がしてます。

そんな最近、一気観したドラマは
『悪縁』
『弱いヒーロー Class2』
『運の悪い日』

ちょっと蒸し暑くなってくるころは、スリリングでドロッとしたドラマが最高。

特に『運の悪い日』はおもしろかったです。韓国のウェブトゥーン(*1)が原作のようなんですが、それも読もうかなと思うくらい。

結局一番怖いのは人間だな……と痛いくらい再確認するような内容です。ヒヤッとするシーンの描き方がリアルで引き込まれました。

皆様もぜひご覧ください。
あ、もしよろしければ、この記事の冒頭に出てきたド○ターペ○パー風コークハイとともに(笑)。

『ドリームハイ』の現場で15年ぶりに再会した恩人

……ここからが本題なんです。

読んでくださる皆様の受け取り方まで考えを及ばさず、一方的にしゃべるように書いちゃってます。申し訳ございません。
本当にあんまり人としゃべってなくて……しゃべりたかったみたいです。

2025年を振り返るときにこれは絶対思い出すだろうなという、印象深い出来事がありました。

4月に開催されたショーミュージカル『ドリームハイ』(*2)の劇場で、15年ぶりくらいにお会いした方がいらっしゃったんです。

母の知り合いなのですが、私が高校時代に「一生のお願いだから、どうしても韓国で開催されるサイン会に参加してみたい」とダダをこねたとき、母が頼ったSE7ENさん(*3)のファンの方です。

当時は今のように、何をどうしたら韓国でアーティストを観ることができるのかの情報がSNS上にあふれているわけではなく、韓国のアーティストを応援するのなら、その道を切り拓くくらいの意志と決意がないと難しいものだったと思います。

情報を得るには詳しい人を伝って知るしかない、根気のいる作業が必要でした。

その時代に熱心に韓国まで行ってアーティストを応援していた方は、本当にすごいと思います。失敗や悔しい思いをした方もたくさんいたはず。

母が頼ったその方は、嫌な顔ひとつせず、新参者の私たち親子にいろいろなことを教えてくださいました。

韓国のおすすめ滞在場所、CDの買い方、サイン会への参加の仕方……。
きっと苦労して得た情報だったはず。
その方のおかげで、無事に韓国のサイン会に参加することができました。

月日が流れてなかなかお会いできずにいましたが、『ドリームハイ』の現場で偶然お会いできたんです。

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お顔を見た瞬間、高校時代の記憶がブワッと。
なんていうんでしょう……15年ほど続けている“推し活”という人生が一周した感覚、ひとつ区切りができた感覚っていうのかな。

そして、感動したんです。
変わらずSE7ENさんを応援されていることに。

誰かを応援し続けることって、そんなに簡単なことじゃないんですよね。

この話はアーティストにはまったく関係なく、応援する側に限った話ですが。
幸せな瞬間は本当にたくさんあるんですが、お金の面で悔しい思いをすることもありますし、応援が難しくなってしまうような大きな出来事があったり、まわりの現実主義者から厳しいことを言われて傷ついたり……。

“長く続ける”って難しい。
私も、昔たくさんいたはずの推し活仲間は、ずいぶん減りました。

私の場合は、母がとても協力的でいてくれたこと(ありがとう)。
そして「継続は力なり」。何かを継続することだけが私にできる唯一の特技なので、今まで推し活が続けられているのかなぁとも思います。

きっとその方も、お会いできていなかった15年でいろいろな出来事があったと思いますが、それを乗り越えて今も変わらずいらっしゃって、本当に幸せな表情をされていたことに、なんだか勇気をもらいました。

このままで大丈夫だと、自分の生き方が肯定されたような感じ。

やっぱり推し活で得られるものってあまりにも大きくて、
どれだけ落ち込んでいてもアーティストのパフォーマンスを見たら心が照らされるし、笑顔に救われるし、何事も自分のことよりずっとうれしいし、がんばっている姿に励まされて生きる活力をもらえる。

自分自身や身近な人にはどうしたって満たせない、心の一部を熱く輝かせてくれる。

今、人生を振り返っても思い出すのは、推し活で幸せだったシーンばかり。幸せのすべて。

ファンのために活躍し続けてくれて、推し活を続けさせてくれてありがとう(泣)。

『ドリームハイ』の帰り道、母にこんな支離滅裂感情をぶちまけるくらいにはハイになった出来事でした。

ミュージカルのクオリティも圧巻!

そしてショーミュージカル『ドリームハイ』、素晴らしかったです。

日韓のレジェンドたちが息を合わせて作り上げていくプロフェッショナルな演技、パフォーマンスは圧巻。

その様子を1秒も逃さずリアルで見られるわけですから、ミュージカルってやはりいいですね。

ミュージカルは、昔、明治座で『光化門恋歌』を観て以来だったのですが(またいつかこの話もしたい)、改めてミュージカルの素晴らしさに触れた素敵な機会になりました。ハマりそう……。

林美桜のチョアチョア♡メモ*

1/ウェブトゥーン
韓国発のデジタルマンガ。スマホなどで読みやすいように、縦スクロール形式で公開されています。

*2/ショーミュージカル『ドリームハイ』
2011年に韓国・KBSで放映された、若者たちが芸能学校で夢を追う姿を描いた音楽ドラマを舞台化。2023年に韓国で初演、2025年4月に日本でも上演されました。ショーとミュージカルが融合した新感覚舞台。

*3/SE7EN(セブン)
2003年にデビューした、韓国出身の男性ソロシンガー。歌とダンスに定評があり、日本やアジア各国でも活躍しています。

文=林 美桜 編集=高橋千里

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