重病患者、アセクシュアル、幾多の難役に挑戦してきた女優・田鍋梨々花の現在地
#18 田鍋梨々花(前編)
旬まっ盛りな女優やタレントにアプローチする連載「focus on!ネクストガール」。
田鍋梨々花(たなべ・りりか)。2016年「ミスセブンティーン2016」でグランプリを受賞。『Seventeen』専属モデルとして活動を始めたのち、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON』(2017年/フジテレビ)で女優デビュー。その後も『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023年/日本テレビ)、『マイストロベリーフィルム』(2024年/MBS)等のドラマに出演。映画『逃走中 THE MOVIE:TOKYO MISSION』が7月19日に公開。
「focus on!ネクストガール」
今まさに旬な方はもちろん、さらに今後輝いていく「ネクストガール」(女優、タレント、アーティスト等)を紹介していく、インタビュー連載。
幼いころから憧れた『Seventeen』
──田鍋さんが、この業界を目指したきっかけを教えてください。
田鍋 保育園のときからモデルになりたかったんです。ちょうど姉が『Seventeen』(集英社)を読んでいて、私もそれを借りて見ていたりしていて……いつか載ってみたいなと思っていたら、スカウトされました。
──保育園のときに『Seventeen』を読んでいたんですね!
田鍋 そうなんです。今思えばあれが『Seventeen』だったなと。子供ながらにペラペラとめくっていました。
──この雑誌の中に入りたいという感じですか? スカウトされたのはいつごろでしょう。
田鍋 小学5年生のときに、母と『Girls Award』を観に行った会場でスカウトされました。
──声をかけられたときはどう思いましたか?
田鍋 ずっと事務所に入りたいと思っていたので、うれしかったです!
──ご両親の反応は?
田鍋 「自分がやりたいんだったらいいんじゃない?」という感じでした。
──そうなんですね。当時、憧れていた人はいますか?
田鍋 特にこの人!というのはいなかったんですけど……というより、まずは芸能界に入ってみたい、そんな感じでした。
──事務所に入られて、実際にモデルとしての活動をするようになり……初めて撮影したときはどうでした?
田鍋 最初は、めっちゃ緊張しました。すべてが初めてだったので……セットやライトの数に圧倒されて、心臓をバクバクさせながら撮影していました。
──その撮影が終わったときの感想は……?
田鍋 ほっとしましたね。もう「はぁ―……」みたいな(笑)。
──初めて雑誌に載った自分を見た感想は?
田鍋 うれしかったです。「わぁ、自分だー!」みたいな感じで。
──まわりの反応はどうでした?
田鍋 そこまで大きな反応はなかったですね。家族は常に応援してくれていましたし。
──友達は?
田鍋 友達は、私がモデルのお仕事をしていることをまだ知らなかったです。
──モデルの仕事をする中で、どんなところにやりがいを感じましたか?
田鍋 最初のうちはただ楽しいからやっていたという感じですね。モデルの大変さはまだ子供すぎてわからないし、ただただ「いいねー!」と言われるのが楽しくてやっていました。
──逆に大変だったことはあります?
田鍋 季節と真反対の洋服を着て撮影するのは大変でした。特に冬場に薄着をしなくちゃならないのは、寒くてつらかったです。
──なるほど、それは今でも大変ですよね?
田鍋 はい、今でも大変ですね。
──夏場と冬場だと、どちらの真逆がつらい……。
田鍋 どっちなんだろう……でも寒いほうがつらいかもしれないです。冬場に薄着をすると声も震えちゃうし、滑舌も悪くなるし。
──あと、モデルの撮影って朝が早いイメージがありますが、朝は強いほうですか?
田鍋 寝るのが大好きで、お休みの日は夕方ぐらいまで寝ているんですけど、仕事となったら起きられます。眠いんですけど、「朝になっちゃった」と思いながらも、仕事となると行けるんです。
──プロ意識ですね! 仕事をしていくなかで、仲のよい方はいます?
田鍋 私はけっこう“狭く深く”なタイプなので。地元の友達とか、高校の同級生と遊ぶことが多いんですよね。
──なるほど、モデルの仕事で気をつけていること、意識していることはあります?
田鍋 人前に立つ仕事なので、見られているという意識を常に持つようにしています。ただ、切り替えがうまいタイプではないので、プライベートから意識するようにしているかもです。
──普段から人の目を意識をするということ、なるほど。
田鍋 見られていると、勝手に思い込むというか……(笑)。そうするとそれが当たり前になって、仕事でも疲れたと思わなくなるんです。仕事のときだけ意識をしてがんばると、終わったあとで疲れちゃうので、常に気持ちをキープしていたほうが、無理がない気がするんです。
──そんななかでの、家に帰ってからの息抜きはあります?
田鍋 寝ることですね。あと、深夜にラーメンを食べることもあります。ひとり暗闇で、テレビを観ながらラーメンを食べるのなんて最高です(笑)。
──部屋でカップラーメン?
田鍋 そういうの、好きです。
──ラーメンとか、むしろカロリーを気にするのかなと思っていたんですけど、そんなことは全然ないんですね。
田鍋 はい(笑)。
重病患者、アセクシュアル、数々の難役を経験して
──モデルをやっていきながら幅を広げていくなかで、演技の仕事もやるようになってきたと思うんですが、初めての演技の仕事はなんですか?
田鍋 セリフをいただいた一番最初のドラマは、13歳のときに出演した『コード・ブルー』です。
──撮影していて、印象的だったことはありますか?
田鍋 そのときはお芝居も初めてだったので、決まるとは思っていなくて。経験と思ってオーディションを受けたら、まさかの合格で! 最初はセリフを言いながら手を動かすことすら難しくて、監督に1対1でレッスンをしてもらったりもしました。『コード・ブルー』というすごい作品が最初だったのは本当に貴重な経験でしたし、今にして思うと初めてが『コード・ブルー』でよかったなと思っています。
──実際に演技をしている自分を画面で見てみて、どうでした?
田鍋 観ていられなかったです。ただただ恥ずかしい!という……ドラマの中の自分の顔を直視できない感じでした。
──今は慣れましたか?
田鍋 今はもう、大丈夫です(笑)。
──『コード・ブルー』の撮影中、共演者の方から何かアドバイスをもらったりしました?
田鍋 共演者の方はみなさん優しくて……いろいろと声をかけてくださいました。ただ、私は脳腫瘍にかかっている役で、泣くような緊迫するシーンが多くて……自分のことで精いっぱいでした。だから正直、あまり記憶がないんです。必死に、みなさんについていかなきゃという感じでした。
──女優さんに伺うと、最初のころは何も覚えていないと言う方がけっこういらっしゃいます。
田鍋 本当に、ほとんど覚えていないんです。
──演技をしたという撮影の記憶が、意識的に残るようになったのはどのあたりからになるんでしょう?
田鍋 もともと、終わったことはすぐ忘れちゃうんですよね。終わったことは終わったこと、今は今、という感じで(笑)。もちろん、どんなことがあったか、そのときに感じた思いとかは覚えてはいるんですけど、撮影した時期とかを聞かれると、本当にわからなくて……あれ?何年前だったっけ?みたいになることが多い……(笑)。
──セリフを覚えるのは大変ですか?
田鍋 セリフは覚えられるんです。でもそれ以外のことはなかなか覚えられなくて……たとえば勉強とか(笑)。好きなことだけは、覚えられます!
──台本を読みながら普通に覚える感じですか?
田鍋 そうですね。見ていると“そのまま入る系”なんです。
──よくいう、映像記憶的な? カメラで撮ったみたいに覚えるみたいな感じですか?
田鍋 はい、見ていたら入っています、けっこう。次はひと言だけだったなとか……そんな感じなんです。
──けっこういらっしゃるみたいですよね。
田鍋 多いですよね、そのまま入るっていう俳優さん。
──そうすると……NGなんかも少なかったりするんですか?
田鍋 いえ、けっしてそんなことはなくて(笑)。現場に行くと忘れちゃうこともあります。練習ではあんなに言えていたのに……現場へ行くと急に出てこなくなるとか、全然あります。
──今までいろいろな役を演じてきたと思いますけど、印象に残っている役はありますか?
田鍋 いっぱいあるんですけど、『コード・ブルー』はもちろんで……あとは『17.3 about a sex』というドラマ(2020年/ABEMA)で、アセクシュアルという悩みを抱えた役を演じたのも印象に残っています。「アセクシュアル」という言葉をそのときに初めて知って、全部イチから勉強して、まったく知らなかった性質のコを演じるのはすごく難しいな、と。結果、学ぶこともたくさんありました。
──そのときに参考にしたものはありますか?
田鍋 関連する本を読んだり、動画を観たりしました。
──役を演じたあとは、やり遂げたと感じました?
田鍋 正解は人によって違うと思うんですけど、観た人に何か少しでも共感してもらえたらいいなという気持ちでやっていました。
──モデル活動からスタートし、何もかもが初体験だった最初の演技を経て、さらにはイメージすることも難しいような難役にもチャレンジすることで、女優としての幅も広げていった彼女。「後編」では、映画初出演となる最新作や、プライベートな話題を聞いていく。
取材・文=鈴木さちひろ 撮影=時永大吾 編集=中野 潤
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田鍋梨々花(たなべ・りりか)
2003年12月24日生まれ。千葉県出身。2016年「ミスセブンティーン2016」でグランプリを受賞。『Seventeen』専属モデルとして活動を始めたのち、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON』(2017年/フジテレビ)で女優デビュー。その後も『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023年/日本テレビ)、『マイストロベリーフィルム』(2024年/MBS)、『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(2024年/TBS)等のドラマに出演。映画『逃走中 THE MOVIE:TOKYO MISSION』が7月19日に公開。