女優・志田彩良「ひと言では説明できないような映画をいつか撮ってみたい」

focus on!ネクストガール

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#9 志田彩良(後編)

“今後輝いていくであろう女優やタレント”を独自にピックアップする連載「focus on!ネクストガール」

志田彩良(しだ・さら)。『ピチレモン』専属モデルとして活動後、映画『ひかりのたび』(2017年)で女優として長編映画初主演を果たす。その後、映画『パンとバスと2度目のハツコイ』(2018年)、『mellow』(2020年)や、ドラマ『だから私はメイクする』(テレビ東京/2020年)などへの出演を重ね、大ヒットドラマ『ドラゴン桜』(TBS/2021年)では印象に残る「小杉麻里」役を演じた。数多く出演している今泉力哉監督作品を中心に話を伺った「前編」に続き、この「後編」では、映画以外のことなどを聞いてみた。

【インタビュー前編】

「focus on!ネクストガール」
今まさに旬な方はもちろん、さらに今後輝いていく「ネクストガール」(女優、タレント、アーティスト等)を紹介していく、インタビュー連載。

エチュードで稽古を続けた印象的な初舞台

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──志田さんと今泉監督との関わりでいうと、映画以外に舞台もありますよね。志田さんの初舞台になる、「今泉力哉と玉田企画」として、こまばアゴラ劇場で上演した『街の下で』(2019年)。上演時に舞台を拝見したんですが、話の展開が、すごく意表を突くというか複雑な構造だったじゃないですか? 虚構と現実がごちゃごちゃになるみたいな……あの内容を、台本で最初に見たときどうでしたか?

志田 あの舞台は本番の数日前まで台本が完成していなくて、ギリギリまでエチュードで稽古をしていたんです。その中で生まれたことを、台本に入れ込まれていたりしていました。

稽古をしていくなかで「どんな台本になっていくんだろう?」という不安もありましたが……完成した台本がすごくおもしろく、演じている側としても本当に楽しくて、毎回新鮮な気持ちでできました。あの台本だったからこそ舞台が本当に楽しいって思えたので、初めての舞台があの台本ですごくよかったなと思います。

──どこまでが劇中劇でどこまでが本編なのかわからないみたいな感じで、意表を突かれて……。

志田 そうですよね(笑)。毎回違う内容になっていたりするので、楽しかったです。

『ドラゴン桜』撮影現場で開催された「ジュースじゃんけん」

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──劇場で、初めてお客さんの前で演じた感想はどうでした?

志田 (観客の)生の反応というのは、今まで経験したことがなかったので……笑い声が聞こえるとホッとするのですが、「そこを気にしてお芝居をするな」と言われていたので、なるべく反応は気にしないようにしていました。

──なるほど。たしかに芝居中、舞台の前っつらで体育座りをしていた志田さんは、泰然としていた印象が。演じるにあたって、憧れている俳優さんはいらっしゃいますか?

志田 『ドラゴン桜』で共演させていただいた阿部寛さんと長澤まさみさんです。お芝居はもちろんのことですが、作品を真ん中で引っ張っていくとはこうあるべきだなというのを、間近で勉強させていただきました。

──具体的に、ここがすごかったなというのはあります?

志田 おふたりをテレビで拝見していて、きっと実際にお会いしたら緊張で話しかけられないだろうなという想像を勝手にしていましたが……まったくそんなことはなくて。私たちと同じ目線でお話ししてくださいました。

たとえば、共演者の仲を深めるために長澤さん発信で「みんなでジュースじゃんけんしようよ」っておっしゃってくださって、全員でジュースじゃんけんしたり。しかも、そのジュースじゃんけんを誰よりも長澤さんが一番楽しんでいらっしゃいました……。そういう同じ目線でいてくださることは、すごく素敵だなと思いましたし、私もこういう先輩になりたいなと思いました。

──あとテレビでは、最近『しゃべくり007』(日本テレビ)に出られていましたが、バラエティへの出演はどんな感じでしたか?

志田 バラエティ番組はもともと好きでよく観ていて、その中でも『しゃべくり007』は特に出演したい番組でした。まさか自分の初めてのバラエティ番組の仕事が、憧れの『しゃべくり007』だとは思わなくて……すごくうれしかったのですが、今までの仕事で一番緊張したっていうくらい緊張してしまって。

でも、それを一番最初に乗り越えたというのは自分の中で大きかったかなと思って(笑)。そのあとに出演させていただいたバラエティ番組は肩の力を抜いて楽しむことができました。

──OAを観ていて、しゃべくりメンバーの振りにも負けず、すごく振り切れていたような感じでしたけど(笑)。

志田 はい。本当に楽しかったです(笑)。

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ひと言では説明できないような映画をいつか撮りたい

──少しプライベートなことも伺います。志田さんが、最近ハマっていることはありますか?

志田 ポケモン(『ポケットモンスター』)が好きで、ゲームはもちろんのこと、ポケモンのグッズを集めることにハマっています。そして、『Apex(Legends)』というゲームにハマっていて、友人とオンラインでプレイしています。

──Apex! みんなやってますよね! チームを組んで。「e-sports」も流行ってますし。あと音楽面で、好きなアーティストさんとかはいらっしゃいます? 『かそけきサンカヨウ』のエンディングテーマは、崎山蒼志さんの楽曲でしたね。

志田 はい、音楽はすごく好きで、家にいるときもずっと流しています。好きなアーティストの方はたくさんいるのですが、マカロニえんぴつさん、ユアネスさん、Hump Backさん、TETORAさんなどのバンドも好きで……あと! 最近は奥田民生さんにすごくハマっていて。

──奥田民生さん、世代ではないですよね?

志田 そうですね。動画を観たりして、めちゃくちゃかっこいいなと思って聴いています。

──なるほど。奥田民生さん、あのまんまの人ですよね。ボクが『Mステ(ミュージックステーション/テレビ朝日)』の打ち合わせで会ったときとか、まさにあのとおりの人でした。

志田 本当ですか。より好きになりますね(笑)。

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──志田さんが、これからやってみたいことは何かありますか?

志田 いつか映画を撮ってみたいと思っています。『ドラゴン桜』で共演した細田佳央太くんと鈴鹿央士くんと、3人で監督をして3人で脚本を書いて映画を撮りたいねというのをよく話していて……日常生活でちょっとしたことで笑った出来事など、この経験は映画の中に入れたいよねっていう瞬間をメモして、それを定期的にみんなで伝え合ったりして「いつか映画撮りたいね」と。

──映画! たとえば、こんなテイストが好きというような作品はあったりします?

志田 『きみの鳥はうたえる』(2018年)や『リバーズ・エッジ』(2018年)が好きです。ひと言で感想を言えないような、ひとりで浸れる作品がすごく好きです。

──たしかに『きみの鳥はうたえる』なんかは、そうですね。

志田 「どんな映画なの?」って聞かれても「ひと言じゃ説明できないから観て!」って思うような作品がすごく好きです。

──ということは、志田さんも含めた3人で脚本を書いて撮る映画も、そういうイメージになったり……。

志田 そうですね。そういうテイストで撮りたいですね。

取材・文=鈴木さちひろ 撮影=時永大吾 編集=龍見咲希、中野 潤(BLOCKBUSTER)

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志田彩良(しだ・さら)
1999年7月28日生まれ。神奈川県出身。映画『ひかりのたび』(2017年)で女優として長編映画初主演を果たし、その後、映画『パンとバスと2度目の初恋』(2018年)、『mellow』(2020年)や、ドラマ『his~恋するつもりなんてなかった~』(メ〜テレ/2019年)、『だから私はメイクする』(テレビ東京/2020年)、『ドラゴン桜』(TBS/2021年)などへ出演。10月15日に公開する主演映画『かそけきサンカヨウ』では、複雑な家庭環境で生活する高校生「陽」役を演じる。

▼『かそけきサンカヨウ』10月15日より、テアトル新宿ほか、全国公開
STORY:高校生の陽(志田彩良)は、幼い頃に母・佐千代(石田ひかり)が家を出て、父・直(井浦新)とふたり暮らしをしていたが、ふたり暮らしは終わりを告げ、父の再婚相手である美子(菊池亜希子)とその連れ子の4歳のひなたと4人家族の新たな暮らしが始まった。そんな新しい暮らしへの戸惑いを、陽と同じ美術部に所属する陸(鈴鹿央士)に打ち明ける。実の母・佐千代への想いを募らせていた陽は、絵描きである佐千代の個展に陸と一緒に行く約束をする。

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