奥森皐月、初めてのパンカレーに感動!創業45年「珈琲 伴茶夢」|「奥森皐月の喫茶礼賛」第1杯

奥森皐月の喫茶礼賛

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「奥森皐月の喫茶礼賛」
喫茶店巡りが趣味の奥森皐月。今気になるお店を訪れ、その魅力と味わいをレポート

仕事終わり、早く起きた朝、丸一日のお休み、あらゆるタイミングを見計らって喫茶店に足を運んでいる。

私が生まれ育った町には純喫茶が多く、子供のころから喫茶店という場所にはなじみがあった。

子供のうちはコーヒーが飲めなかったのだが、3年ほど前にコーヒーが好きになった。そこで私の喫茶店熱は一気に高まる。

以降は都内の喫茶店を巡って記録をするようになった。写真に残したり、訪れた場所をマップ上でピン立てしたりするところまで楽しい。

ここ最近は喫茶店好きの友達と1日に3軒ハシゴしたり、喫茶店のために遠くへ出向いたりと、喫茶店を軸に生活している。

2023年は東京近郊で80軒ほど巡っているが、それでもまだまだ気になるお店が尽きない。それが全国に広がっていると思うとワクワクする。

レトロ喫茶ブームが到来し、マニアも数多くいるが、私も私なりの開拓を楽しんでいるので、今回からその模様を記していく。

レトロな地下階段に胸が高鳴る「珈琲 伴茶夢」

喫茶店といえどもさまざまなかたちがあるが、特に好きなのは、やはり古くから営業している味わい深い落ち着いた雰囲気の店だ。

メニューのよさも喫茶店の大きな魅力ではあるが、私はそれ以上に椅子や壁や照明などの内装を見て心が躍る。ランプシェードひとつとっても眺めるだけでうっとりしてしまう。

レトロで落ち着く空気や、昔のまま時が止まったような場所であればあるほど、普段の生活とは切り離された特別なひとときを味わえると思う。落ち着ける異空間を求めてたどり着いたのが喫茶店だ。

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今回伺ったのは、目白にある「珈琲 伴茶夢(ばんちゃむ)」さん。1977年創業の喫茶店で、目白駅から徒歩1分。

以前たまたま行った神保町の喫茶店に置いてあった本に載っていて、いつか行きたいなとメモをしていたお店だ。「ばんちゃむ」という響きのかわいさと字の美しさが印象的で、ずっと興味があった。

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目白駅にはあまり降りたことがないのだが、駅前の信号を渡ったところなので、すぐにわかった。オレンジ色の看板とコーヒーカップのマークがかわいくて目を引く。

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地下へ進む階段がとにかく素敵。レンガの壁と柱が醸し出す雰囲気は、ついさっきまで駅前にいたとは思えない趣がある。店名の文字のフォントから壁にかけられた小物から、どこに目をやってもときめく。今から広がる空間への期待で胸が高鳴る景色だ。

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店内はダークブラウンを基調としていて、静かで落ち着いた空気が流れている。中央にある木製で珍しい形の柱と、奥に見える彫刻の壁画から歴史を感じられた。喫茶店特有の昭和感漂う壁は、しばらく眺めたくなるカッコよさがある。

「チーズ焼きパンカレー」にもっと早く出会いたかった

お昼時だったためランチセットを注文。定番のナポリタンやドライカレーがあり、カレードリアもおいしそうだったので悩んだ。そして今回は、名物の「チーズ焼きパンカレー」を食べることにした。

パンカレーというメニューは初めて見たので、ほかにもそういったメニューを出しているお店はあるのだろうかと調べたが、検索ではほとんどヒットしなかった。

カレーパンの情報ばかり出てくるが、カレーパンとパンカレーはまったくの別物だ。つい最近、レバニラとニラレバに違いがあるのか調べたが、それは何も違いがなかった。名前って不思議。

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しばらくして本物のパンカレーが到着。見るだけでにっこりとしてしまうビジュアルだ。チーズがたっぷり乗っている食べ物を前にしたら、有無を言わさず口角が上がってしまう。

ひと口食べたとき、これを注文してよかったと早くも思った。濃いめのカレーがまろやかなチーズとパンによく合って、とてもおいしい。カレーに浸ったパンはほどよい柔らかさになっていて、きちんとパンのおいしさと食感も味わえる。

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カレーライスはさんざん食べてきたが、今までパンカレーに出会っていなかったことが悔しいとさえ思った。この法則でいけばカレーライスはライスカレーであるべきだが、この話はもうおしまいにする。

カフェオレと一緒に登場した「おかき」

ランチセットで頼んだカフェオレを食後にいただくと、一緒におかきも持ってきてもらえた。コーヒーに豆菓子がついてくるのは見たことがあるけれど、おかきは初めて。

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こういうお菓子がついてくるときほどうれしいことはない。乗せている小皿もかわいい。

ランチセットでも、コーヒーや紅茶の種類が豊富なのもうれしいポイント。気分でカフェオレを選んでしまったが、キングアーサーコーヒーや水出しアイスコーヒーも飲んでみたいと思った。

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食後においしいコーヒーを飲みながらこの落ち着いた空間で過ごすと、ついつい長居したくなってしまう。友達と来たら話が弾んでずっといてしまうかもしれない。

今度は早起きしてモーニングも食べてみたい

メニュー表を見て知ったのだが、朝は7時30分から営業していてモーニングもあるらしい。喫茶店のモーニングで7時台から行けるお店はあまりないのでとてもいい。

立地的に、会社に勤める方から学生なども多く訪れることだろう。仕事前や学校前にここでモーニングを食べることを想像して、勝手にうらやましく感じた。今度早起きしたらモーニングにも行ってみよう。

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お店を出るときに改めて階段のランプを見たのだが、本当にかわいい。細やかな部分一つひとつが居心地のよさにつながっているのだろうなとぼんやり思った。

次回はまたどこかの喫茶店で。ごちそうさまでした。

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喫茶 伴茶夢
7時30分〜20時00分(ラストオーダー:19時30分)年中無休で営業中
東京都豊島区目白3-14-3 グロワルビル地下1階
目白駅から徒歩1分。お近くに行った際にはぜひ立ち寄っていただきたいお店

 

文・写真=奥森皐月 編集=高橋千里

 

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