女優・畑芽育“まるで異世界”で撮影した1st写真集に込めた思い
#15 畑 芽育(前編)
旬まっ盛りな女優やタレントにアプローチする連載「focus on!ネクストガール」。
畑芽育(はた・めい)。現代劇から時代劇に至るまで、ドラマ、映画などでの好演が光る。近年では『女子高生の無駄づかい』(2020年/テレビ朝日)、『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(2020年/MBS)、『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(2021年/日本テレビ)などのドラマや、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(2021年)などに出演。公開中の映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023年)では“片想いごっこ”をするヒロインを演じている。今年4月には、自身初の写真集『畑芽育 1st写真集「残照」』(KADOKAWA)を発売。
「focus on!ネクストガール」
今まさに旬な方はもちろん、さらに今後輝いていく「ネクストガール」(女優、タレント、アーティスト等)を紹介していく、インタビュー連載。
“異世界チック”な神津島での撮影
──まずは、4月に発売された初めての写真集を目にしての感想をお聞かせください。
畑 感動しました! 写真集を見ていて、表情とか、自分じゃないみたいだなと思う瞬間もあって。東京の都心で撮った写真はナチュラルで自然体に近いのかなという感じなんですけど、島で撮られていた自分は、けっこうアンニュイな感じで。全体的に、強さもありつつ柔らかい雰囲気もあったりして、自分の内面が写し出されているなというのをすごく感じました。
──島というのは、神津島ですよね? どうでしたか?
畑 初めて行きました。最初は知識がなかったのですが、でも行ってみると、透き通っている海もきれいでしたし、ロケーションすべてが異世界チックな感じで。人もすごく少なくて……もちろんクルーの方たちやカメラマンさんはいるんですけど、世界にたったひとり自分しかいないみたいだなという雰囲気にさせられる不思議な空間でした。プライベートで足を運んでもきっと楽しいだろうな、と思っています。
──夜なんかは、星が……。
畑 とてもきれいでした! 空が澄んでいて、同じ東京でもこんなに違うのか!という驚きがありました。
──ですよね。島と都心での、写真集の撮影は、どうでした?
畑 都内の撮影ではボウリングをやっているんですけど、撮影スタッフ全員で対決したのが楽しかったです! ただただ楽しんだ撮影だったなという……(笑)。だから表情も素ですし、仕事をしている感覚ではなく、プライベートの私の雰囲気を写真に収めてもらった感じです。
──ちなみにスコアは、どれぐらい……?
畑 スコアは……スコアはどれくらいだったかな? 60とか(笑)。60か70くらいだった気がします。
──なかなかな(笑)。
畑 はい、なかなかな……(笑)。スタッフがみんな、温かかったので、気を張ることなく穏やかに撮影が進んでいきました。神津島の撮影では、カメラマンさんがBGMをかけてくださって。スタジオでの撮影とは違い、ロケの撮影で音を流したりということは普段しないので、ロケーションに合った雰囲気の音楽を流してくださっていたこともあって、音楽に重ねて演じているような感覚にもなりました。
──この(島で撮影された写真の)表情は、そこから……。
畑 そうだと思います!
──パッと見、都心での撮影は笑顔がいっぱいあって、神津島での撮影はアンニュイというか、笑顔ではないクールな感じが……。
畑 そうです、そうなんですよ!
リクエストしたカットが表紙に
──お気に入りのカットはありますか?
畑 表紙は「これがいい!」とリクエストした写真で、まさかその希望が通るとは思っていなかったし、すごくうれしかったです。お気に入りの写真が表紙に来たので、それもすごくうれしいし、一番最後の扉の写真は、完全にオフな場面……きれいだった朝焼けを私が自分の携帯で撮っているところを、カメラマンさんに撮られていて、それを使ってくださっているという。写真集の構成、並びやどの写真がいいか?というのも、一緒に選ばせていただいたので、写真すべてを自信満々で出せる感じです。
あと、白の衣装を着ているときの写真は気に入っていて……髪をお団子のアップスタイルにしている写真。この写真を撮った岩場も不思議で……実はここにフナムシが大量にいたんです。そりゃあもうトラウマです(笑)。本当にアニメみたいにドンっと(足を鳴らして)やると、ウジャウジャウジャー(と動き出す)みたいな! でもなんだろう?……やっぱり芝居をしている感覚があってスイッチが入っているから、あまり気にならないというか。とはいえ、やっぱり気持ち悪かったですね(笑)……それも、いい思い出です。
──撮影の時期は、いつごろだったんですか?
畑 10月の初旬くらいかな?
──じゃあ、ちょっと涼しいくらい……?
畑 そうです。海での撮影時は、少し寒かったです。
──セカンド写真集を出すとしたら次はこんなことをやってみたいとか、ありますか? コンセプト系の写真集にしてみたい、とか? もしくは、オフショットばかりにしてみたいとか……なんでも。
畑 私、個性的な洋服がけっこう好きなので、もし次できるのであれば、ちょっとアートっぽい雰囲気で撮ってみるのもいいなあと思います。今回は自然の中に溶け込む感じで撮っていたので、次は完全にガチガチに固められたスタジオの中でアートっぽい感じで……そういうのが撮れたら、かっこいいだろうなと思います。
タイトル「残照」に込めた思い
──ご自分でも、写真を撮ったりはするんですか?
畑 最近は全然していなくて……友達がフィルムカメラを持っていたりするので、その被写体にさせてもらったりとかというのはあるんですけど。フィルムの質感もすごく好きで、いつか自分でもやりたいなと思ってはいるんですけど、なかなか手が出せない、というか迷っちゃいますね……どれがいいんだろうって。
──そうですよね。いろいろと種類もあるし。
畑 はい、たくさんあって。
──さきほどアート的なとおっしゃっていましたが、ご自分で好きなカラーはありますか?
畑 えー! なんだろう……でも青とか、最近好きかもしれないです。寒色系、水色というよりは、紺とか濃い青とかを、服でも選びがちかなと思います。
──淡いというよりは、パキッとした感じの色味のほうが好き?
畑 淡い青も好きだし……全体的には青っぽい色味が好きです。あと、現場へ行くときは朝が早いから、洋服で選びがちなのは黒やグレーの、あたりさわりのない色。目をつむっていても選んで着て出ていけるみたいな(笑)……そういう色味の洋服を選びがちです。
──なるほど。写真集のタイトルになっている、この「残照」というのは……?
畑 「残照」というタイトルは、こんな感じがいいんじゃないか?というのを編集さんからご提案いただいて。知らない言葉だったのですぐに調べたんですけど、その意味を見たときに、ああこの作品に本当にぴったりだな、と。それと、実は神津島での撮影中にBGMでかけていた音楽が「残照」というタイトルだったみたいで。それはあとから聞いて知ったんですけど……なんだか運命?じゃないですけど、すごく言葉に惹かれるものがあって。
衣装が白だったり、私の表情も明るい雰囲気に見えるんですけど、撮影中の自分の心境としてはちょっと陰な部分というか……ネガティブなワードも、なんとなく頭の中にあったんです。そのネガティブな感情に、ロケーションとか衣装とかで彩りを加えていくようなイメージがあって。だから内面的には、少し暗いワードもイメージとして入っていたんです。でもせっかくの1st写真集なのに暗いワードで出すのはなぁ……と、ずっと頭を悩ませていたので、この「暗闇の中に残っているひと筋の光」を表す「残照」というのは、自分の思い描いていた感じに見事に合ったな、と。すごく気に入っています。
──ネガの中に、ポジがある……というようなことですよね?
畑 はい、まさにそのとおりです。
──まだ写真集を見ていない方に、ぜひここを見てほしいというポイントはどこですか?
畑 やっぱり、都心で撮った写真と島で撮った写真とで、表情がガラッと変わるというか……そのコントラストがすごく素敵だなと思います。なにより写真が本当にきれいで……場所もこだわりを持って選んでくださっているので、神津島の自然と、そこに私がすでに存在していたような感じで撮ってくださっている。
一冊まとめて最後までじっくり見ると、すべての写真がつながっていてドラマのようなものを感じられるのかなって。強い表情だったり、柔らかい表情だったり、私のいろいろな部分が一冊に詰まっているので、自信を持ってみなさんに届けられます!
取材・文=鈴木さちひろ 撮影=時永大吾 ヘアメイク=渋谷紗矢香 編集=中野 潤
************
畑 芽育(はた・めい)
現代劇から時代劇に至るまで、ドラマ、映画などでの好演が光る。近年では『女子高生の無駄づかい』(2020年/テレビ朝日)、『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(2020年/MBS)、『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(2021年/日本テレビ)などのドラマや、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(2021年)などに出演。公開中の映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023年)では“片想いごっこ”をするヒロインを演じている。今年4月には、自身初の写真集『畑芽育 1st写真集「残照」』(KADOKAWA)を発売。