7歳でデビューした恒松祐里。15歳で訪れた、女優としての転機

focus on!ネクストガール

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#13 恒松祐里(後編)

旬まっ盛りな女優やタレントにアプローチする連載「focus on!ネクストガール」。

恒松祐里(つねまつ・ゆり)。子役としてデビューしたのち、ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(2015年/フジテレビ)、『トーキョーエイリアンブラザーズ』(2018年/日本テレビ)、『女子高生の無駄づかい』(2020年/テレビ朝日)など、数々のドラマに出演。映画では『くちびるに歌を』(2015年)や『タイトル、拒絶』(2020年)などでも印象的な役柄を演じ、『きさらぎ駅』(2022年)では初主演を果たした。Netflixオリジナルドラマ『全裸監督 シーズン2』(2021年)のニューヒロイン役でも話題に。現在配信中の新作・Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス シーズン2』に「ヘイヤ」役として出演。後編では、今まで歩んできた来歴やプライベートな話を中心に伺った。

インタビュー【前編】

「focus on!ネクストガール」
今まさに旬な方はもちろん、さらに今後輝いていく「ネクストガール」(女優、タレント、アーティスト等)を紹介していく、インタビュー連載。

7歳でデビューして、数多くの作品を経験

──恒松さんがデビューに至った最初のきっかけはなんですか?

恒松 小学生になる前、6歳ぐらいのときに、両親が子役のオーディションを見つけて応募して。それに受かったことが最初のきっかけですね。

──なるほど。その当時から、恒松さんの中ではこういう世界があるという認識はありました?

恒松 ……してた、んですかね? いつの間にか入っていて、あんまりそのころの記憶がないんですよね。なので、いつの間にかこの世界にいたという感じです。

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──事務所に入られてから、一番初めにした仕事はなんですか?

恒松 最初にした仕事は、たぶん7歳のときの『瑠璃の島』(2005年/日本テレビ)というドラマです。ドラマの中で出てくる、娘時代の写真とか、あるじゃないですか。その写真とか、ちょっとした回想シーンだったような気がします。

──恒松さんの中で「私、女優の仕事をしている」と最初に意識したタイミングは、その後?

恒松 本当に、いつ意識したんですかね?私(笑)っていう感じなんですけど。本当に子供だったので。小学生のときに出たドラマ『ハガネの女』(2010年/テレビ朝日)が、まわりにたくさんの子役の子たちがいて、皆でお芝居をするという意味では、初めての仕事だったんですね。皆、作品に向き合っているんだなということを、撮影していくなかで思ったんですけど。その当時はまだ、仕事という意識がちょっと足りなくて、迷惑をかけたりはしていたと思います。

──その当時共演した子役の方とは、今も仲よくしてらっしゃいます?

恒松 そうですね、杏花……柴田杏花です。『トラベルナース』(2022年/テレビ朝日)でも第7話で杏花が出演していて、現場で会ったりとか、もともと『くちびるに歌を』という映画で一緒だったんですけど。あと吉田里琴ちゃん。今は改名して……吉川愛ちゃんも『虹色デイズ』(2018年)という映画で一緒になったりとか。あのころのメンバーとたまに会うことは、すごくうれしいなと思います。

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──『ハガネの女』以降、参加した作品の中で、印象に残っている仕事は、何になります?

恒松 そうですね。子供から大人になる転機になった作品は、15歳のときに出演した映画『くちびるに歌を』で、それはオーディションだったんです。この作品では、学生の役の中で一番メインの役を頂いて、一日中撮影するシーンがあったりとか、セリフがたくさんあったりとか、ずっと現場に関わっているなかで、以前より多く、プロの人たちの仕事を間近で見られた気がしました。この作品の前までは、ゲストだったり子役時代の回想シーンだったり、現場が2~3日で終わってしまう作品が多かったので。まわりの大人たちが命がけでがんばっている仕事なんだということに、やっと気づいたというか……目の前で見てかっこいいな、って。しっかりと、この仕事をがんばりたいなと思うきっかけになった作品でしたね。

──そのとき、三木孝浩監督からは、いろいろ教わったりしました?

恒松 三木さんはオーディションの時点で選んでくれたってこともあって、その人たちが持っている素質に見合った役をくださっていたので、当時の私に近かったし、皆が自然体で演じられるような雰囲気づくりをしてくださっていましたね。

──なるほど。今まで出演した作品の中で、すごく手応えがあった、やったな!という作品はありますか?

恒松 そうですね。手応え……どれくらいの年代がいいんだろう? 15歳からでも、もう9年くらい経っている(笑)! それこそ『今際の国のアリス シーズン2』は、手応えとか、やってやったぞ!という気持ちはある作品ですし、高校生くらいのころだと、映画『散歩する侵略者』(2017年)は、やっていてすごく楽しかった作品でしたね。

──『散歩する侵略者』での役づくりは、どんな感じで……。

恒松 あれは自分が宇宙人だと思って役づくりしていましたね(笑)。

──宇宙人、そうですよね(笑)。

恒松 撮影現場へ行く電車の中とかで、自分が宇宙人だと思って、人間を、いろいろな人たちを観察していましたね。

“すべてが完璧”な、中井貴一さん

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──今まで会ってきた俳優の中で、この人はすごかったなという方はいました?

恒松 最近だと『トラベルナース』での中井貴一さんがすごかったですね。生でお会いするともうすごすぎて……。目からつま先からすべてが完璧に制御されていて、しかもユーモアにあふれていて、とてもおもしろくて。こんな俳優さんになりたいって、現場にいた誰もが思ったんじゃないかと。

──『トラベルナース』の現場は、どんな感じでしたか?

恒松 本当に先輩の皆さんがずっとおもしろい話をしてくださって、私はそれを聞いて過ごしていました。耳がすごく楽しかったです!

──連続ドラマって、担当回がありますよね。自分の役がフィーチャーされる回。『トラベルナース』のその回は、特別感があったりしました?

恒松 私が演じた役(向坂麻美)の場合、けっこういろいろなことが起こる回だったので、その波に飲み込まれていくというか……でもやっぱり自分の回ということもあるので責任も感じますし。ナースとしては2年目で、やろうとしてもできないこともたくさんある役だったので、一生懸命さを大切に撮影に臨みました。

──主演なさっていた映画『きさらぎ駅』。ああいうホラー系はどうでした?

恒松 ホラー映画は、すごく楽しく撮影していました。やっぱり撮影は楽しいものなので、皆で変な格好をしたりして。あと、『きさらぎ駅』は、ワンカット長回しのカットが多くて……。

──撮り方が独特でしたよね。

恒松 そうなんですよ。なので、撮影に入る前に皆でちょっとリハーサルをして、このタイミングでこうするとか、舞台みたいに皆で決めながら、カメラマンさんや音声さんも一緒に動きながら組み合わせてやっていたので、それはそれですごくおもしろかったです。

──ラストも、まさかこう来るんだ!という……。

恒松 はい。ちゃんとエンディングのあとまで、お話がつながっているという(笑)。

──たとえば『きさらぎ駅』はホラーですよね。ほかにコメディタッチの作品とか、ストレートプレイとか、いろいろとやられていて、恒松さんが肌に合うと思う……やりがいがあって楽しいなというジャンルはどのあたりですか?

恒松 そうですね……どれもすごく楽しいんですけど、2022年の夏はストレートプレイ(舞台『ザ・ウェルキン』)に出演させていただいて。私は、子供のころに芝居のレッスンへ通っていたころから、何回も何回も芝居を皆でつくり上げていくのがすごく好きだったので、それを舞台だと、1カ月半くらいかけて皆で理解して、芝居をつくり上げていけるじゃないですか。その工程がやっぱりすごくおもしろくて。映像だと、そこまで会話できない間にクランクインして、初めましてでもう撮影します、みたいな作品も多いので……そういうことができたというのはすごく贅沢だなというか、舞台のつくり方って、やっぱりいいよなって思いました。

──お客さんの前で演じるのはどうでした?

恒松 すごく楽しいですね。私、あまり緊張しないタイプなので。お客さんの前というのはありますけど、でも結局、起こっているのは舞台の上のことなので、そこに集中して楽しんで芝居していました。

観たい海外ドラマが多すぎて「忙しい!」

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──なるほど、“演じる”という意味では、同じということですね。プライベートの話もお伺いできればと。最近何かハマっていることはありますか?

恒松 そうですね。海外ドラマがすごく好きなんですけど、最近ちょっと時間があったので、観れていなかった作品を一気に観たりとか。あとは、けっこう物を作ることが大好きで、ビーズアクセサリーを作ったりとか。あ、ここ最近ハマったのはLEGOです。LEGOのセットを買ってクリスマスリースを作ったりとか、あと自分で想像して組み合わせるキットじゃないほうのレゴを買って、壁にLEGOで……iPhoneのケーブルを持たせてみたりとか、LEGOのキャラクターに。あとキーチェーンをLEGOにつけて、ちょっとおしゃれな鍵にしてみたりとか(笑)そういうことを……。

──じゃあLEGOミュージアムなんかにも(笑)。

恒松 そうですね(笑)ちょっと行きたいかもしれないです、今。

──海外ドラマとおっしゃっていましたけど、海外ドラマで具体的に好きな作品はありますか?

恒松 最近は、本当に目白押しですよね。『ウェンズデー』が配信されたのを観たりとか。あとは『ザ・クラウン』の新シーズンが配信されたのを観たりとか、あと今WOWOWで『キリング・イヴ』という海外ドラマがあるんですけど、その最終話が配信されたりとか盛りだくさんで……ちょっと今、全部を観きれてはいないんですけど(笑)観たいものがたくさんあって、もうすぐ『エミリー、パリへ行く』も新シーズンが出て、みたいな。「ああ忙しい!」ってなっています。幸せな忙しさですけど。

──Netflix作品が、わりと多い……?

恒松 そうですね。たまたま秋冬にかけて、大きな作品の新シーズンが出ているんだと思います。ディズニープラスの作品とかも、たくさん観ています。映画も『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022年)とか。でも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のドラマ……ディズニープラスオリジナルの作品が出たので、それを観るのが楽しみです。

──あー、クリスマススペシャルのやつ!

恒松 はい。クリスマスになってから観ようかなと(笑)。(※取材は2022年12月上旬に行われた)

──マーベル作品、観てるんですね。

恒松 マーベル大好きです。私の父が好きで、それが遺伝して私も好きで、私の友達も好きで、その子と私と父で、いつも映画を観に行きます。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』も、その組み合わせで。

──マーベルのキャラクターで、好きなキャラクターはいます?

恒松 ええ~! 誰ですかね……やっぱりガーディアンズメンバーは皆ふざけていて好きなので。キャラクターというか、デザインで好きなのは「グルート」です。もう癒やしという感じですね。でもやっぱり全作品を観ると「アイアンマン」が一番欠かせない存在だなって、結局思っちゃいますけど……もう時間は戻らないので、前に進んでいきたいと思います。最近の作品に出てくる皆さんは、全員好きですね。いろいろな要素が出てきたし。

──映画もあるし、ディズニープラスオリジナルもあるし……。

恒松 オリジナルだと「ロキ」にはがんばってほしいですね。「ロキ」大好きなんで。トム(・ヒドルストン)が好きなんで。

──じゃあディズニープラスの『ロキ』も全部観られて。

恒松 はい。全部観ています。

──あれも、本当にラストどうなるの……?って(笑)。

恒松 どうなるのかって感じですよね(笑)……なんとなく「アントマン」につながりそうですけどね。

──女優とは別に、やってみたい仕事やチャレンジしたいことはあります?

恒松 そうですね。本当に長い目で見て……私は海外ドラマで育ってきたので、いつか海外の作品に出演できたらいいなと、子供のころから思っています。

──海外作品! 英語の勉強とかも?

恒松 そうですね、英語は、英語で芝居をすることを教えてくれるところへ行っています。

──いつか観てみたいです。ほかに、宣伝などでバラエティ番組に出演することもあると思うのですが、たとえばバラエティ番組でやってみたいことってあったりします?

恒松 えー……なんだろう(笑)。やっぱり仲のいい友達と旅行へ行くみたいな企画は楽しいですよね! 葵わかなと仲がいいので「ふたりでいつかそういうのやりたいよね」って、いつも話していて。ロケとかも楽しそうだなと思いますし、食べることもすごく好きなので、私。おいしいものを食べたいです!

──何かにチャレンジするバラエティとかはどうですか?

恒松 チャレンジだと……なんですかね? でも運動神経がそこまでいいわけじゃないので。どういうチャレンジがあります?

──『今際の国のアリス シーズン2』でやっていたアーチェリーとか。

恒松 アーチェリー、ですよね……絶対外す気がする! だってアクション用しかやってないですもん。でも、やるぶんには楽しめますね。スタジオでゲームとしてやるぶんには楽しそうだなと思うので。チームの皆さんに、最初にごめんなさい!と言ってから楽しみたいですね(笑)。

──今までロケものに出演したことは?

恒松 ロケものは、昔『くちびるに歌を』の宣伝で、五島でイカを釣るみたいな地方ロケはありましたけど……ないですね、最近は。

──イカ釣り……ハードですね。

恒松 イカ釣りしたりとか、ロケ地巡ったりとか……何か楽しい企画があったら、よろしくお願いします(笑)。

取材・文=鈴木さちひろ 撮影=時永大吾 編集=中野 潤

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恒松祐里(つねまつ・ゆり)

1998年10月9日生まれ。東京都出身。子役としてデビューしたのち、『女子高生の無駄づかい』(2020年/テレビ朝日)、『おかえりモネ』(2021年/NHK)など、数々のドラマに出演。映画『くちびるに歌を』(2015年)など、ムービーにも多数出演、映画『きさらぎ駅』(2022年)では映画初主演を果たした。近年では、Netflixオリジナルドラマ『全裸監督 シーズン2』(2021年)のニューヒロイン役が話題に。現在配信中の新作・Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス シーズン2』に「ヘイヤ」役として出演。2023年1月からスタートした連続ドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ)に出演中。

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