映画『90メートル』ヒロイン・南琴奈──「もっとかわいく」演出と向き合った日々

#22 南 琴奈(後編)
旬まっ盛りな女優やタレントにアプローチする連載『focus on!ネクストガール』。
南琴奈(みなみ・ことな)。2020年、Mr.ChildrenのMVなどへの出演から芸能活動を開始。ドラマ『舞妓さんちのまかないさん』(2023年/Netflix)への出演を契機に、俳優活動も本格的に始める。以降、映画『アイスクリームフィーバー』(2023年)、『ミーツ・ザ・ワールド』(2025年)、『終点のあの子』(2026年)やドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(2025年/フジテレビ)などへの出演を重ね、映画『夜勤事件 The Convenience Store』(2026年)では初主演を務める。今春公開される映画『90メートル』への出演を控えている。
“ガツガツ系”ヒロインは、アドリブもたくさん
──最新作の『90メートル』の話を聞かせてください。脚本をもらったときの印象はどうでしたか?
南 印象……んー、でも、すごく簡単な言葉になっちゃってイヤだな(笑)……なんだろう?
──役柄的には、普通っていうとあれですけど、さっき話されたみたいに、今回すごくキャラクターが濃いということでもないと思うんですよね。どんな感じなのかな?と思って、ストーリーを含めて。
南 そうですね……ストーリー、感動するなって思いました。

──たしかに。クランクインをして撮影していくなかで、印象に残っている出来事はありました?
南 私は基本的に「藤村佑(たすく)」くん(山時聡真)とのふたりのお芝居か、学校のバスケ部でのお芝居だったんですけど。基本的にはふたりのシーンが多くて。山時くんも現場で言っていたんですけど「昨日はお母さんとの撮影がすごく大変で。バスケ部のシーンを楽しみにがんばったんだよね」とか。私には(それを聞いて)もう想像することしかできないから「お疲れさま」と思って。実際に(大変だったという)そのシーンを観るのを楽しみにしていました。
中川駿監督からは「ここはふたりのアドリブでやってみて」と任せてもらえることが多かったです。なので、合間にもいろいろとコミュニケーションを取ったりして……「きっとこのふたりだったらこうするんじゃないか」みたいなのを、なんとなく考えながら。考えて、でも考えすぎもせず……とにかく楽しい空気感を出せたらいいなと思って、ニコニコしていました。
──アドリブのシーンが多いという感じですか? ふたりのシーンでは。
南 そうですね。ちゃんと台本はあるんですけど、台本にないところのセリフはもう全部、自分たちのアドリブで。そのときに思ったことを言っているんです。
──佑くんに、きっかけを与えるような、導くようなところもある杏花さんの役柄。もし実際に佑くんのような友人がいて、南さんが接するとしたら、どうしますか?
南 そうですね、まあ、佑の出方にもよるんですけど(笑)。向こうがどれだけ心を開くか……でも私だったら杏花みたいにはガツガツ聞けないような気もして。ガツガツって言い方もあれですけど……杏花は本当に純粋な気持ちで、本当に力になりたくて、本当に気になって聞いているとは思うんですけど。私だったら、逆にいろいろと考えすぎてしまって「あ、こうやって聞かれたらイヤかな……?」とか。そんなのは聞いてもいないからわからないのに勝手に想像しちゃって、あまり聞けなそうだなというのが、リアルなところなんですけど。だから杏花はすごいなと思っていて。話を聞くことにはけっこうな責任が伴う気がするし。人の私生活とかプライベートすぎることに……。
──わりと踏み込んでますもんね、杏花は……。
南 そうですね。だからもし私だったら、聞ける勇気があるのかなと思って。

──佑を演じた山時さんとのシーンで、監督からのアドバイスは何かありました?
南 監督からは、ずっと明るくて楽しくて支えになってあげるような、心のよりどころになってくれるようなキャラクターでいてほしいと。意識してやっていたんですけど、いざ撮影をすると、監督が「もっとかわいく」って。「もっとかわいらしくやって」って……ムチャブリな注文をしてきて(笑)。「私、けっこうかわいくやったんだよ」と思ったり(笑)。「えー、かわいくなかったのー?」って。
──これで満足いかないんですか?みたいなことですよね(笑)。
南 もっとあざとくやってほしいみたいな。
──(笑)もっとあざとく……あざとキャラ。
南 はい(笑)。私はバスケ部のマネージャーをしていて、自分のおうちにはあまりお金がなくて、でもその環境に負けたくないからがんばるという、ガッツのある感じの女の子だなと思っていたので……「私、大丈夫だよ」みたいな感じの。体育会系みたいな感じのキャラクターなのかな?って、撮影に入る前にはイメージしていたんですけど、監督からは「もっとかわいく」と(笑)。なので、がんばりました。
──じゅうぶん出ていた気はしますけど……共演者の方々との思い出はあります?
南 (一緒の撮影シーンがなかったので)菅野美穂さんと西野七瀬さんにはお会いする機会がなかったんです。山時くんと田中(偉登)くんとは、本当の高校みたいに、みんなめちゃくちゃ仲よくなって。撮影期間はけっこう短かったと思うんですけど。
バスケ部のみんなは、クランクインする前に(シーンのある)バスケの事前練習があったので、そこでもう仲よくなっちゃったんです。私は撮影から参加だったので、入る前はちょっと行きづらいかもと思っていたら、向こうからすごく話しかけてくださったりとか。みんなの明るさに助けられたな、と思いますね。

楽器、料理、陶芸──プライベートではあれこれ試したい
──今後やってみたい役柄ってあります?
南 そうですね……ちょっとまじめに答えると(笑)、今、楽器の練習をしているんですよ。練習をすると、特技が増えるじゃないですか、それが楽しい。自分がレベルアップしている気がして(笑)。
──何か技術を身につける役ということですか?
南 そういう専門の……たとえばバイオリンだったりとか。そういう楽器って、やっぱり楽しいなと思って。私、特技がないんですよ!
──でもプロフィールを見ると……。
南 一応書いているんです(笑)。
──でも、書道4段とかすごいじゃないですか。
南 (小声で)一応書いてるだけで……今できる特技が欲しいなと思っていて。
──今、一番身につけたい特技はなんですか?
南 え、錠剤……錠剤をうまく飲むこと!(笑) 私、錠剤を飲むのが下手すぎて。もうすっごい下手で。
──でもいますよね、たしかに。錠剤をうまく飲めない人って。
南 一回……こう(錠剤を)口に入れても、うわって吐いちゃうんですよ。そうすると、水に浸った錠剤をまた飲まなきゃいけないから(笑)。もうちょっとスマートに飲めるようになりたいですよね。

──(笑)プライベートなこともお伺いしたんですけど、最近ハマっていることは何かあります?
南 そうですね。スープの素を組み合わせて……何かおいしいものができるか、みたいな。いろいろな種類のスープを買って、今日はこれとこれを混ぜてみよう、って。
──(笑)それはもう……ガチャ的な感じ。
南 今日の気分はこれとこれだから!って。
──今まで、一番イケていたのは?
南 もずくと、玉子スープですかね。
──意外と王道な(笑)……普通に合いそうな感じ。
南 じゃあなしで(笑)。そうですねー、最近は自炊をしようかなと思って。そぼろ丼とかも作りました。
──料理教室で最初に作るやつ……。
南 えー(笑)、でもちょっと興味が出てきていますね、料理に。
──なるほど、では料理で。逆に今までで、すごくハマりましたみたいなものは……。
南 陶芸にハマっていたんです。花瓶をよく作っていたんですけど、最後に作った花瓶が自分の思ったようにはいかなくて、そこでやめちゃいました。
──陶芸を始めたきっかけって、なんですか?
南 きっかけは……友達が誘ってくれて。やったことないし、やりたいなと思って。
──なるほど。それでは最後の質問ですが、今後やってみたいお仕事はありますか?
南 ……なんだろう。それって、本当に来ちゃうかもしれないですもんね(笑)。
──可能性はあります(笑)。
南 海外にいっぱい行きたいです。いろいろなところに。
──海外ロケ! どのあたりに行きたいですか?
南 ちょっと過酷なのはイヤですけどね。でも……自分では選ばなそうなところ。んー、国名はパッと出てこないんですけど……そうですね、過酷でもやります!(笑)

取材・文=鈴木さちひろ 撮影=時永大吾 ヘアメイク=Kanako(TRON) スタイリスト=池田ミレイ 編集協力=千葉由知(ribelo visualworks) 編集=中野 潤
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南 琴奈(みなみ・ことな)
2006年6月20日生まれ。埼玉県出身。2020年、Mr.ChildrenのMVなどへの出演から本格的に芸能活動をスタート。以降、俳優としてドラマ『舞妓さんちのまかないさん』(2023年/Netflix)や映画『アイスクリームフィーバー』(2023年)、『ミーツ・ザ・ワールド』(2025年)、『終点のあの子』(2026年)、ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(2025年/フジテレビ)などに出演。映画『夜勤事件 The Convenience Store』(2026年)では初主演を務める。今春公開される映画『90メートル』では、主人公「藤村佑」の同級生でもあるバスケ部のマネージャー「松田杏花」を演じている。