考察モノ・社会派・日韓共同まで!韓国ドラマ2026年トレンドを徹底トーク|「林美桜のK-POP沼ガール」韓ドラ女子座談会・後編

「林 美桜のK-POP沼ガール」
K-POPガチオタク・林美桜テレビ朝日アナウンサーの沼落ちコラム
10月某日に開催された、林美桜・沼野チョロ子さん・miko 韓国ドラマ沼の住人さんの3人による韓国ドラマ女子座談会。
前編では、それぞれ「恋愛&胸キュン部門」「泣ける部門」「人生ドラマ部門」のオススメ作品を紹介しました。
後編は、最近公開された作品に共通するトレンドや、韓ドラが自分の人生をどう変えたのかを、深く語り合います。
韓国ドラマでも“考察モノ”が大流行中!
沼野チョロ子(以下:チョロ子) 3人でのトークは初めてなのに、すごい盛り上がりを見せています(笑)。
miko 韓国ドラマ沼の住人(以下:miko) なのに、まだまだ語り足りないですね!

林 美桜(以下:林) ここからは座談会の後半戦として、韓ドラ最新トピックを中心に、アレコレおふたりにお聞きしたいと思っています! 最近「個人的にヒット!」だった作品ってどんなものがありましたか?
miko 私はサスペンスやミステリー、ホラーのジャンルが大好きなのですが、人気作だと『殺し屋たちの店』(2024年)はよかったですね~。
チョロ子 はい、天才。
miko もうたまらなかったです。あと『家族計画』(2024年)というドラマがあって、あまり観ている人が多くないのですが、本当にみんな観てほしい!!
ペ・ドゥナが出ているノワールスリラーで、これがすごくよくできていて。私は考察するのも大好きだから、最近“考察モノ”が流行っているのがすごくうれしいんですよね。伏線がとにかく緻密に張り巡らされていて、2回観ても楽しめるところもすごさだと思います。
そういう意味だと、『ナインパズル』(2025年)は最初のシーンから伏線だらけで、ひたすら考察しまくって結局全部外れてる……みたいなことも(笑)。みんなで予想し合いながらワイワイ観るのがまた楽しいんですよね。
林 Xの反応見ながら「なるほど、そんな考察が……!」ってワクワクするのがいいんですよね。
チョロ子 わかる~。だいたい私たちのタイムラインがざわつくのって、考察か「あのシーンのこの人がカッコいい」の2択(笑)。
miko 最近、タイムラインを賑わせていたのは『北極星』(2025年)かな。恋愛モノなんですが、これに私たちはとにかく夢中になりました。私、“ボディガードもの”が大好きで、この作品も「大統領候補の女性を守るボディガード」という設定の物語なんです。
ボディガードもののよさって、恋が禁じられた関係にあるからなんですね。その要素があるだけでこの『北極星』はすでにもうオイシイのに、そのボディガードを演じるのがカン・ドンウォンなわけですよ。そんなのカッコいいに決まってますから……。
で、『北極星』が一番タイムラインを揺らしたのが「座席交換」のシーン。
チョロ子 (頭を抱えて)わあ~~!!!!!!
林 「座席交換」????
miko この座談会が終わったら、すぐに調べてみてください! ここでは詳しく言えないのですが、“伝説”ともいわれているシーンなんです。
チョロ子 林さんに絶対観てほしい!! 「座席交換」というワードが、こんなにセクシーに聞こえるようになるとは思いませんでした。
林 気になりすぎる!(笑)
韓国文化や人々の暮らしを知る「社会派ドラマ」の魅力
miko こんなふうにドラマを観ながら盛り上がれるのも、座談会の前半戦でチョロ子さんがお話ししていたように、まさに“日常を彩る楽しさ”が韓ドラにあるからなんですよね。
大統領とボディガードなんて、私たちの日常にまったく関係ないことのはずなのに、日々ふたりのことを話してキャーキャー言って……本当に不思議(笑)。
林 楽しい作品はもちろん、社会派な作品も議論を起こすという意味では、話し合いの機会を提供していますよね。
miko そうなんです。社会派ドラマの中でも特に労働問題を取り扱う作品も、最近増えているような気がしていて。
『テプン商事』(2025年)は、IMF危機(1997年、韓国経済が破綻寸前に陥り、IMFからの融資と引き換えに厳しい経済改革を強いられた出来事)に関する作品で、過去の出来事を描いてはいるんですが、その問題は今の労働環境にも引き継がれていることが観ていてわかるんです。
韓国では昔からこうした題材自体は多かったけど、日本で韓ドラが定着したことで、最近より積極的に配信されるようになったのではないかと思います。
林 「もっと韓国の文化や人々の生活が知りたい」という声が多くなったのも関係していそうですね。
miko そうですよね。労働問題については、『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』(2025年)や『労務士ノ・ムジン』(2025年)でも取り扱われています。
『労務士ノ・ムジン』については、ファンタジーでありながら労働問題などにも切り込んでいて、見せ方がすごく工夫されているから楽しんで観られるという。そうやって、社会問題が題材でありつつ、必ずしもすべてが重苦しいトーンではなく描かれているのも、多くの人の心を捉えるポイントだったりするのかなと思います。
林 「社会の見せ方」が上手ですよね。
チョロ子 労働問題ではないのですが、シリアスな要素もある作品として『ONE:ハイスクールヒーローズ』(2025年)はすごくよかったです。
イ・ジョンハ演じる高校生が過干渉な親を持っていたり、いじめや校内暴力に立ち向かったりするというアクションもので。物語が進むにつれ、主人公が「ケンカって楽しい」というマインドになってきて、ちょっと危うくなってしまい……。
今の時点では完結していないので、彼が内なる暴力性とどう向き合うのかは私も気になるところなのですが、とにかくイ・ジョンハの演技が素晴らしいのと、『弱いヒーロー』(2022年)と同じ制作会社が手がけているので、先の展開に注目しています。
林 韓ドラから多様な社会問題が見えてきますよね。『スカイキャッスル』(2018年~)では受験戦争が描かれていましたし、『人間レッスン』(2020年)では闇バイト、また『D.P. -脱走兵追跡官-』(2021年)を通じて、徴兵制度について改めてしっかりと知れて。
兵役義務から逃げようとする人の切迫した思いや、息遣いまで感じられる臨場感たっぷりの描写が、真に迫って伝わってくるんです。誰にでもある、奥深くに眠る「逃げたい」という感情を引き出して、ぐっと引き込まれたように感じました。
韓国はネットで何かの情報が広がったり、そこから何かのアクションにつながったりする速度が目まぐるしいから、新しい社会現象が起こるとそれがドラマの題材になるまでのスパンもすごく短いのも特徴だなと、今お話ししながら思いました。
『匿名の恋人たち』『グッドニュース』日韓共同ドラマも続々!
miko 最近の傾向でいうと、『匿名の恋人たち』(2025年)や『グッドニュース』(2025年)など、日韓共同でドラマや映画を製作することが増えてきているように感じます。お互いの文化的なよさを持ち寄って新しいものを作っていこうという状況は、すごく胸アツでうれしいですね。
『グッドニュース』に関しては、日本の「よど号ハイジャック事件」を扱う作品だけど、それを韓国側の視点で描く上で、日本人役を日本の俳優さん、しかも山田孝之さんや椎名桔平さんというトップクラスの方が演じられていて、リアリティもクオリティもすごく高いものになったのがいいことだなと。
チョロ子 本当ですよね。
林 日韓共同ドラマは昔も一時期ありましたが、それ以降そう多くは見られなかった状況だけに、変化が実感できます。
miko そうそう。日韓どちらのシーンも豊かになっているなと、心が温かくなります。文化差や複雑な歴史的背景もありつつ、私たちも過去のことを含め勉強し続けながら、この新しい現象がどんどん深まっていけばいいなと思っています。
林 こうやって常に新しい作品が生まれ続けて、シーンがアップデートしていって……という今の状況が、当たり前ではないと思っていたいですね。
自分にとって「韓国ドラマ」とは?
林 深いお話をしていただいたところで、そろそろ最後のトークテーマに移っていきたいと思います。ズバリ、おふたりにとっての「韓ドラとは?」を言い表していただけますか。そして、今一番行きたいファンミーティングも教えてください!
チョロ子 私にとっての韓ドラとは、「日常をちょっと楽しくしてくれるもの」です。毎日必ず幸せな時間を与えてくれる存在ですね。
そして今一番行きたいファンミは……ナム・ジュヒョクです! 除隊されたので、来日してくれたらうれしいな……。それから、ホン・ギョンにも会いたい!!!! ファンミをやらなそうな人だけど、だからこそ熱望しています!
林 挙げたらキリがないですよね(笑)。mikoさんはいかがでしょう?
miko まず私にとって、韓ドラは人生に欠かせないものになってきていて。そういう意味で「空気」でもあり「水」でもあり、ない生活が想像できないものという感じです。
今一番行きたいファンミは、イ・ソンミン! 50歳を過ぎた映画俳優の方って、なかなかファンミをやってくれる機会が少ないので……。
さっきチョロ子さんも挙げていたホン・ギョンもそうですが、「ファンミをやらなそうな人」のファンミに行きたいという思いがあります(笑)。若手はもちろんですが、いぶし銀のベテラン俳優さんを待っている日本の韓ドラファンは本当に多いということを、この場をお借りして伝えたいです!
林 ありがとうございました! 今日はとっても楽しかったですし、これからファンミやコンサートなど現場でおふたりとお会いする機会も多そうです……また、お声がけさせてくださいね。
チョロ子 わー! ぜひぜひ、今度は直接お話ししましょう。
miko トークが止まらなくなりそうです(笑)。
……もう、この座談会がドラマになりそうな勢いじゃないですか?
まるで台本が用意されていたかのような、トーク・相づち・間合いで
お話ししながらちょっと怖くなってしまうぐらい、完璧な時間でした。
mikoさんとチョロ子さんは以前からXで拝見していて
数多くの韓国ドラマの感想や見どころを、どうしてこんなに簡潔に、興味をそそるようにまとめられるんだろう、と感激していました。
最近の韓国ドラマはありがたいことに、観られる作品が数えきれないほどたくさん。
それゆえに、自分で探しに行くのは困難。
そんなときはいつもおふたりの投稿を参考に、自分にマッチする作品を選んでいます。
そうすると、本当にハズレがない。ありがとうございます。
今回はそんな、私の人生の韓国ドラマ師匠のおふたりからいろいろ伺えて、幸せでした。
深く伺うと、同じドラマでも観方(みかた)だったり、熱量を持つ箇所だったり、同じワードでも浮かぶドラマがそれぞれ違って、大変興味深かったです。
今回のコラム、韓国ドラマをどこから観たらいいかわからないという方にもぜひおすすめしたいです。また、よくご覧になる方には共感していただけるかも!
そして私はさっそく、mikoさん推しの『1%の奇跡』を観ました。
mikoさん……一気観でした。
韓国ドラマあるあるな展開かしら?と思いきや、全然クドくなく、スッとずっとキュンを届けてくれました。
とにかく、ハ・ソクジンさんが彼女を想ったときのニッコリがかわいすぎる。
今でも愛される理由がわかります。
次は、チョロ子さんおすすめの『九尾の狐とキケンな同居』を観ます!!
1時間半のリモート座談会でしたが、みっちりお話を伺わせていただきました。
充実感とはこのことか。
本当は、この様子をたくさんの方にリアルで観ていただきたいくらいおもしろすぎたかも……なんて(本気で思ってます)。
次は、お客様を入れてリアルイベントに!!
MCで参加させてください。
文=菅原史稀 編集=高橋千里