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第4回

投稿日:2013年05月08日 21:50

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またお目にかかりました。え~私、月島中央署の仙堂卓巳です。だいぶ昔の話になりますが、私ね、学生時代は結構勉強ができたんですよ。勉強ができれば、こんな私でも女子に御贔屓にしてもらえるんじゃないかって、そりゃもう頑張りました。でもね…結局、モテるにはイケメン顔とか、ムダにそよ風が吹くような爽やかさがなきゃダメなんですよ! 私の学生時代、頑張れば頑張るほど、けたたましく閑古鳥の野郎が鳴きましてね…。切ないったら、ありゃしませんでした!

 

まぁ、どうしてこんな心寂しい思い出が今更蘇ったかと申しますと、この間、安西俊明という名門女子高のカリスマ数学教師が殺されたからなんですね。彼、エリート育成に力を注いでたらしいんですよ。だから、得意のサッカーに力を入れた末に大学受験に失敗した息子・安西和也とも、ずっと疎遠だったらしいです。一流大学に入れなかろうが、サッカーが得意なら女子にもモテて、華やかな人生が送れていいんじゃないかって、私なんかは思うんですけどね。

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で、この安西ですが、深夜の講師室においてカッターで首を切られて亡くなっていました。灰皿には何かを燃やした跡があり、被害者の手にも微量の灰が付着してたんです。刑事なら当然、一番にこの点が引っかかるはずです。なのに、糸村さんときたら…。講師室に置いてあった中国茶の茶碗の捜査を最優先したんですよ! 確かに講師室には中国茶の茶葉はなく、コーヒー豆が置いてあって、糸村さんの言う通り、被害者はコーヒー党だったみたいですけどね。別にいいじゃないですか、気まぐれに使いもしない中国茶の茶碗を買っていたとしても! 私も学生時代、弾きもしないギターを買ったものですよ。だって、モテの代名詞といえばギターでしょう!

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案の定、茶碗は事件とは直接関係がありませんでしたよ。結論から申しますと、犯人は教科書販売業者の久保栄司でした。彼はかつて安西によって高校を退学させられた元教え子。退学後にやっとの思いで現在の会社に契約社員として雇ってもらえ、努力の末に正社員への道が開けようとした矢先でした。ところが、取引先の学校に務める安西から、教科書の来年度契約をいったん白紙にしたいと言われた。一度ならず、二度までも人生をメチャクチャにされる…。自暴自棄になった久保は安西を殺しました。でもね、安西は落ちこぼれだった久保を退学させ、苦しい人生を歩ませたことを悔いていんですよ。だから、せめてもの罪滅ぼしに…と、物盗りの仕業に見せかけるため、灰皿の中で自らの現金を燃やしたんです。糸村さんがしつこく現場を調べたところ、凶器のカッターもコーヒー豆の中から見つかりました。これも安西による証拠隠滅だったんです。

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ただ糸村さんによれば、あの茶碗にも隠された物語がありましてね。糸村さんが茶碗の取扱店であるカフェに足を運んだところ、安西に落第させられた大橋香菜という生徒に遭遇したんです。実は彼女、親には内緒でパティシエになる夢を叶えるため、自ら安西に頼んで、落第させてもらったそうです。安西はそんな彼女に驚きを隠せず、バイト先に訪ねてきていたんですよ。そのバイト先というのが、遺留品の茶碗を取り扱っていたカフェです。茶碗は、安西がそのカフェのオーナー・雨宮玲子から買っていたものでした。安西は雨宮玲子から「人の幸せは他人が決めるものじゃない」と言われ、大橋香菜の夢を応援することを決意したそうです。実はその言葉、そもそも雨宮玲子が安西和也に言われたものでした。彼女は、現在フリースクールの教師をしている安西和也の元教え子だったんです。それを知った安西はいつかもう一度、息子と向き合って話をしたいと強く思った。その願いを託し、息子が好きな中国茶の茶碗を2つ購入したというわけです。

 

泣ける話じゃあないですか! 人の幸せは他人が決めるものじゃない…。私もね、モテない人生ではありますが、諦めずに自分の幸せを追求していきたいと思いますよ!!

 

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