2008年08月31日 09:30

 僕の夏、シエナとの長い全国ツアーも終わり、残すところスーパーキッズ・オーケストラのコンサートだけとなりました。彼らとは河口湖で合宿を行ったのだけれど、そのバーベキュー大会の余興が凄く面白かった。メンバーの中でもお兄ちゃんになってきたケイタとヒロヒトの漫才は腹を抱えるほど笑ったし、ドボルザークの弦楽四重奏「アメリカ」を立派に演奏してくれたのも素晴らしかったけど、お遊びでそれを指揮したシュウガも、そのお調子振りにはビックリ。そうそう普段は一生懸命に、自分の楽器を弾いている彼らが、一心不乱にダンスを踊ったのにも驚いた!子供と過ごすことは、本当に刺激的だ。

 
僕は子供の頃一番最初に触れた楽器がピアノだった。ピアノにはなかなか辛い思い出も多い。今から思えばとても良い先生に習っていたのに、何しろ嫌々やっていた。というのも、その当時僕の中の優先順位は、野球をしに行くこと、友達と遊びに行くこと、テレビを見ることだったので、出来ることならピアノの練習は一番後回しにしたかった。でも当時、とても厳しかった母親は、僕が小学生の間は学校から帰って毎日30分、ピアノの練習をしてからでないと外に出させてくれなかったので、よく野球のグローブを持った友人達が、僕が母に怒られながらピアノの練習している姿を、後ろのソファから「かわいそぅ」と同情的な表情で眺めつつじ~っと待っていてくれていたのだ…。
 
さて、今回は「ピアノ大喜利」。その場で出されたお題にピアノを弾いて音楽をつけるという、即興性と感性を両方とも持ち合わせ、且つピアノ職人でないと出来ない技のぶつかり合いだ。今日の出演者たちはそれぞれどんなピアノとの出会いがあったのだろう?やはり子供の頃はハノン(音階中心の教則本)とかやったのだろうなぁ。きっと野球よりピアノが大好きだったのに違いない!ただ僕も嫌々ながらピアノを続けたお陰で、楽譜が読めるようにはなったし、何かにじっくりと向かい合う習慣も幼い頃に身についた。でも、自分の鳴らすピアノの音が何かを創造するという発想がなかったんだねぇ。これに気が付いていたらきっと面白かったのに。ただよくファンの方から言われるのが「うちの子は、なかなかピアノを練習しないんですよ」ということ。そうなんです、でもそれで普通なのです。ピアノの練習が好きな子供がいたら、それは大きな才能です。どこまでも親がピアノを弾かせることを諦めないなら、楽譜が読めるようになり、一つのことに向き合う力はつきます。そしてそれは大きな宝になります。そして将来趣味でやるにしても職業にするにしても、ギターを弾いたり、トランペットを吹いたりすることへの入り口になります。ピアノを弾けるようになることは、音楽を友達に出来る鍵を手に入れることなのです。
 
最近はそろばん塾に行く子や、習字を習いに行く子をあまり見かけなくなった気がします。今の子供は、何か1つのものにじっと向き合う機会が少ないのかもしれません。子供達は楽しいことが大好き。「楽しい」という言葉は本当に奥が深いですね。楽しい場所というのは、やはり自分で作らなくてはならないのです。そして大人がその場へ導いてやらないといけないのでしょう。