2009年02月15日 09:30
2月9日の月曜日まではハンブルグで演奏会でした。ハンブルグの国立歌劇場管弦楽団とのメインプログラムは、メンデルスゾーンの交響曲4番「イタリア」。これもなかなか大変なシンフォニーですが、前半で演奏したフランスの作曲家デュティユーのヴァイオリン協奏曲「夢の木」これが大層難しく、リハーサルを終えてホテルに帰ってからも、毎晩ずっと楽譜を見ていました。他の誰も創ったことのないような「色」がこの曲にはあります。ただただ美しい…。本当にデュティユーさんは、素晴らしい作曲家です。そして火曜日の朝にはドレスデンに移動して来ました。ハンブルグから見るとドイツのずっと東、もうすぐそこはチェコという感じです。ここでは第二次世界大戦末期の「ドレスデン大空襲」記念演奏会をやります。こちらもなかなか大変なプログラムで、メインはバーンスタインの交響曲3番「カディッシュ」。ただしドイツ語版。僕は今までこの曲を、英語で2バージョン、イタリア語版、日本語版とやってきました。どこまで伸びるのでしょうかこの記録!他にはやはりバーンスタインの「ミサ」から”三つの瞑想曲“。確かこの曲は初めて『題名』に出演させてもらった時にも指揮をした記憶があります。それとショスタコーヴィチの「室内交響曲」。めちゃくちゃ難しいけれど、どれも素晴らしい曲ばかりです。ドレスデンには「小倉」という、とても美味しいお気に入りの日本レストランがあって、体調管理もバッチリです!
 
さて今回の放送はちょっと変化球。宮本さん、沼尻君、聖響と、僕の家に遊びに来た感じで「運命」を題材に色々語ってもらいました。実際に、先週小澤先生とベルリンのレストランで偶然会ったようなことは本当に例外的で、こんなに何人も指揮者が一緒に集まるというのはなかなかない事なのです。だって指揮者って演奏会には普通一人しか必要ではないし、それぞれの考え方も独自のものがありますから。まあ、学生の頃はお互い楽曲に対しての意見交換もしたけれど、それぞれが活動し出すと時間もなかなか合わないものです…。だから今回は僕らもある意味、腹の探り合いもありつつ、そんな中でそれぞれの本気が見えると結構嬉しく、何となく懐かしい気分でもあったのです。特に年齢的にも先輩にあたる宮本さんが、演奏者の立場からオーケストラのメンバーが指揮者に何を求めようとしているのか、腹を割ってしゃべってくださったことは、本当に貴重な言葉だったと思います。
「指揮者によって演奏が変わるのですか?」これは指揮者に関して、一般的に最も多い質問だと思いますが、あんなに作曲意図がはっきりしている「運命」ですら、それぞれの指揮者によって、これだけ演奏時間が違い、解釈が違うということが分かってもらえたでしょうか?また指揮者の心の内には、音楽に向かう純粋な思いと、現場を仕切る難しさが混在します。そして何より、指揮者の世界もオーケストラも常に人間臭さが漂い、だからこそ、演奏家がどういった人生を送っていくかによって、それぞれに違う演奏になっていくのだと思います。今回の番組は、放送的にもとても冒険でしたが、たまにはこういう角度から音楽を眺めてもらうのも面白いかなと思います。好田タクトさんのようなマニアックな芸人を生むのも、指揮者という職業が謎だらけで、どこか可笑しくて、どこか神聖な感じがあるからなのでしょう。まあ自分の仕事でありながら、不思議な職業ですね…。終盤のゲームでは負けず嫌いのところを見せましたが…、何でも、まだまだ負けていられません!!
 
 
視聴者からのコメント
2009年02月23日 22:19
素人みっちゃん

すっごく面白かった!
でも、指揮者以上にわからないのがコンマスです。
コンマスが変わるとどうなるの?
コンマスと指揮者の関係って?
この企画でコンマス編をぜひお願いします。

2009年02月17日 22:45
SAI

はじめて観た動くトスカニーニに「おっ」と思いました。ビデオで映画を観た事があるのですが、「過去の偉大なる作曲家達のために一生を捧げる。私は彼らの僕(しもべ)になる」っていうような台詞があったのが印象的で。
おこたにみかんっていいですねやっぱり、和む感じが。楽しかったです。
むかーし、コンクールの課題曲で、どアタマに全員で「じゃん!」と3回鳴らすのがあって、ここ決め損なうともう残り誰も聞いてくれねーぞーといわれてその3小節ばっかやってたときのこととか思い出しました(本番はそこが終わってみんなしてほっとしすぎたのか次のなんでもないとこで崩れた・笑)。

2009年02月17日 20:11
ゆ@若葉マーク

この番組はこれまでは「時々」程度に見ていた音楽素人ですが、佐渡さんが司会になられてから、毎回引き付けられるように時間になると必ずチャンネルを合わせるようになりました。特に、今回の企画は本当に面白くて、その後、佐渡さんと宮本さんの本まで読んでしまいました!
これからも音楽の楽しさを心に伝えてくれる企画を楽しみにしています。

2009年02月17日 00:55
hiro

みかんでまったり…かと思いきや過去の指揮者の映像が流れると皆さん真剣な顔。聖響さんは今年ベートーベンのチクルスされるんだったなあとか思いつつ見てました。
奏者もされている方はやはり奏者のツボも押さえてらして。でも結局指揮者が何を要求するか、奏者がその指揮者に演奏を任せられるほどのものを感じられないと良い演奏にはならない。
プレーヤーとマエストロも手をぎゅっと握りながら演奏するんですね(^^)
さすがにWiiの第九はお見事でした♪
同じデータで振ってるのに…やっぱり個性ってあるんですね。

2009年02月17日 00:13
M。

うん十年前の高校の音楽の授業で、「運命」冒頭の聴き比べをしました。
レコードの音だけなので、さらに違いが際立ち驚きを感じたものです。
映像だと音よりも指揮ぶりの違いに興味深いものがありました。
ただ「こんなに違うのですよ」というだけでなく、現役第一線の日本の指揮者が4名も集まり、感想を言い合い、さらに宮本さんの奏者としての意見が加わりと楽しいプログラムでした。
数年前「第九」を覚えるために4枚のCDの第4楽章を繰り返し聴いていてその違いもおもしろかったです。(現在は8枚ほどに)
佐渡さんの指揮で歌うためなので、最後は佐渡さんのCDだけにしました。

2009年02月15日 23:00
yue

今回の企画は、かなり真剣に見、聴かせていただきました。
こんなに一度にたくさんの指揮者による演奏を聴けるなんて!あぁ楽しい~!宮本さんの演奏家としての指揮者や演奏に対する熱い思いも、なるほどなるほどと。
私は演奏者ではないけれど、学校の先生と生徒、クラス委員長と級友等、いろいろな場面でも言えることではないかなぁと思いました。
宮本さんと佐渡さんの握手が印象的でしたね。佐渡さんがクラス委員だったらいいクラスができるだろうなと・・単純に自分の次元で語ってしまいました、スミマセン。
夢の樹は聴いたことがないので、是非聴きたいです!

2009年02月15日 19:30
まっつぁん

巨匠の映像に、佐渡さんとゲストのお茶の間トークに、「こんな番組が見たかったぁ~!」の思い。続編を熱望します。
今日は録りためていた「日本の巨匠:黛敏郎さん」「さだまさし&さどゆたか」と合わせて3本見ました。贅沢な時間でした。
ドレスデン・フィルとの公演の日、デュティユー「夢の樹」を佐渡さんの古巣ボルドー・アキテーヌ管(指揮ハンス・グラーフ)のCDで聴いてました。
日本の演奏会でも聴いてみたいです。

2009年02月15日 19:02
いしかわ

一人一人の音楽の捉え方が本当に違うんですね。あんなアットホームな感じなのに、真剣さがにじみ出る所もあったりして、見ごたえがありました。

宮本さんが言っていましたが、オケの人たちが指揮者のなにを感じ取っているかというと、指揮者の体中からにじみ出る「なにか」なんですね。やっぱりそうですよね。わたしも佐渡さんの音楽がこんなにも好きになった理由って、テレビを通してでも伝わってくる「なにか」、気のようなものがビシビシ伝わってきたのが一番の理由だと思うんですよ。これがきっとオケで増幅されたり+αされたりして、客席にも伝わって、会場全体が凄いことになるんでしょうね。やっぱ音楽って、すんごい。

しかし、佐渡さんの日記見てると、ほんとに海を越えて音楽を聴きに行きたくなります。デュティユーさんの「夢の木」、ただでさえ色とりどりで楽しくて美しいフランス音楽の、また違った「色」って、いったいどんななんだ!気になる!

ところで、「小倉」さんってもしや佐渡さんのHPの日記にも書いてある、意地でも毎晩違う料理をお任せで出してくれたとか何とかいうあのお店ですか?いいなー。食べてみたいです。またおいしくて面白いメニュー紹介してほしいです。

2009年02月15日 12:51
40年来のファン

大物指揮者(佐渡さん抜けてましたね。)の映像、その演奏時間データ。よく集めたものです。
いずれも、どこか違い、うーんという感じ。全体のテンポ、及び、各部分のテンポ。
加えて、全体の、及び、各パート音の強さに違いがでるのでしょうか。
こうしたものを踏まえ、あるいは超えたところに感動が生まれるのでしょうか。
一流指揮者の皆さん、さすが、ポイントとらえていらっしゃる。
宮本さんの指揮を受ける側の見解、迫力ありました。みかん美味しかったことでしょう。
一個いくらだったのか。
好田タクトさんの、ラトル、チェリビダッケそっくりでした。寄席でやってるんでしょうか。

2009年02月15日 11:19
よっこ

今回はなかなか見れない場面でとっても面白かったです。ぜひシリーズ化してください。
好田タクトさん、初めて拝見しました。
マニアにはたまらない・・・ねたでしたね。ちょっと分からないところありましたけど。(笑)
ぜひぜひシリーズに・・・お願いします。

2009年02月15日 09:56
momo

いつも楽しみにしています☆
が…今回の企画は特に楽しかったです!!
今回の企画のなんて贅沢なこと…!!素晴らしい指揮者・演奏家の方たちが4人も一堂に会して本音で話し合う。しかも『運命』の名演奏を聞き比べ放題!
是非!第2回もお願い致します!♪

2009年02月15日 09:30
げ@一介のリスナー

いやはや、まったり感に満ち溢れた指揮者たちの囲炉裏端談義(みかん+Wii付き)という稀有な特集で面白かったです。楽譜がなければ始まらないけれど、奏者全員の総意がこもってはじめて表現としての音楽になることがよく分かりました。

次回のパリ編も楽しみです。