2009年02月01日 09:30
  先週の日曜日(25日)に、パリのシャンゼリゼ劇場でパリ・ラムルー管弦楽団の定期演奏会無事に終わりました。僕は15年間この楽団の首席指揮者をしてきたのですから、阿吽の呼吸で音楽が出来上がるのですが、僕がハッピーじゃない顔をしてしまうと、逆にすぐにメンバーにはばれてしまう。オケの音が曇り「どうしたらいいの?」とみんなの表情が不安げに暗くなる。そう!僕はリーダーなのだから、この120年の歴史があるオーケストラと音楽のために、健康的に一杯提案をして、みんなが舞台の上でお客様から見て最高に映ることをお膳立てしてあげなければならない。だから胸を張って正々堂々と立つということが、とても大事なことなのです。お客様の熱狂。「メルシーYUTAKA !」など様々に客席から掛けられる声。こんな嬉しい事ってどこにも無いよね。やはり15年もやってきた街なんだなぁと思いました。
 
そんなことを思いながらも、今週はなんとパリからベルリンに引越しをしました!子供の頃から住みたかった街だし、いよいよこれからドイツの地に足をつけて、じっくり勉強をするためのベースになります。また新しい一歩が始まったなぁという感じです。このベルリンでも正々堂々と指揮台に立てるように頑張りたいと思います。と、決意も新たにベルリンに降り立った最初の夜、ベルリンの日本食レストランに晩飯を食おうと出かけたら、なんと!偶然にもそこに現れたのは、今回の番組中でもインタビューをさせてもらった、我らが師匠小澤征爾!しかもご一緒されていたのが、この2月にベルリン・フィルのコンサートマスターを引退される安永徹さん!凄いでしょう?結局2日間連続で飯と酒を山盛り御馳走になってしまいました。子供の頃から憧れて指揮者を目指した小澤征爾さん、そして同じく子供の頃からベルリン・フィルに憧れて「日本人でもこのスーパー楽団のリーダーになれるんだ!」と大きな希望を与えてくださった安永徹さん。自然の流れなのか、無理やり引き寄せたのか!?・・ベルリンに辿り着いた僕の最初の夜にこのお二人に会えて、僕は本当に運の強い男だなぁとつくづく思いました…。
 
さて今回は、黛敏郎さんの特集。僕がこの番組を引き受けて、必ずやりたいと思っていた特集です。45年の歴史あるこの番組の初代司会者黛敏郎さんを、僕は毎週見て育ったのだし、彼の業績に心からの敬意を払い、代表的な作品をめちゃくちゃカッコよく紹介したいと思っていました。この作品にちなんだ小澤征爾さんとバーンスタインとの深い縁を、小澤先生の口から直接語られている今回のインタビューは、物凄く貴重な映像になったのではないでしょうか?また黛さんの御子息である黛りんたろうさんに、この曲を生で舞台の上で届けられたことも大きな出来事だったと思います。この「日本の巨匠」シリーズ、今後山本直純さんなのか、武満徹さんなのかわかりませんが、佐渡裕が取り組む日本現代音楽シリーズは、きっと見逃せない特集になると思います。いつかベルリンのオーケストラで「饗宴」を取り上げられたら、カッチョいいな!と心底思います。
 
 
視聴者からのコメント
2009年03月20日 18:24
はあとすていしょんなるみ

いつも楽しく拝見しています。
この30分という短時間に、よくまとめられるものと、感服しています。
できれば、45分番組にすることを切望しています。
検討は可能でしょうか。
よろしくお願い申し上げます。

2009年02月17日 00:32
hiro

実は初めてだったんです。黛さん。
作曲されたのがつい最近のようなそれでもちゃんと時間を経ている不思議な曲でした。小さな頃に聴いていたら斬新だったのでしょうか?どんな風に聴こえたのかなあ。
日本の巨匠と呼ばれる人の曲って実はほとんど聴いたことがないのでこれからも楽しみにしてます♪

2009年02月15日 20:57
saty

黛さんの饗宴を昔LPで持っていました。結婚してこちらに持ってきていないのですが、とても懐かしかったです!演奏も最高!
日本人の作曲家でもいい曲が多いので、是非、特に間宮芳生さんも扱って欲しいです!

2009年02月09日 16:59
いしかわ

あの加速するテンポのところは日本人としてはカッコいいとしかいいようがないです。その後のジャズっぽいところに移るのがまたスゴい。実は「饗宴」を金聖響さん指揮、東京シティフィルの皆さんの演奏でこの間初めて聴いたのですが、なんというか、始まりから終わりまで圧倒されっぱなしで、なんじゃこのキョクー!?って感じでよく覚えていませんでした。でも最初のあの印象的な、ぱーぱらぱらーぱぱーぱぱーっていうのは覚えていました。解説を聞いてから聴いてみると色んな国の音楽が混ざって凄いことになってんだなーと思いました。国と国との饗宴とも協演とも競演ともとれる気がします。でも結局やっぱり、めちゃカッコよかったです。

小澤さんのインタビューはちょっと笑ってしまいました。かなり衝撃を受けているように見受けられました。そりゃこれだけ長い間ずっと自分が世界初演した曲だと思っていたら驚きますよねえ。そしてこの放送のタイミングで佐渡さんと小澤さんがベルリンで会ってしまうところもまた凄い!しかも安永さんまで!ほんとに凄い。

2009年02月02日 14:43
40年来のファン

山田耕作氏は、日本のグリンカたらんと言った由。ならば、三人の会は、五人組と思った
ものでした。その発表会で、涅槃(於コマ劇場)、曼荼羅を聴いたものでした。
饗宴を小沢氏が指揮したのを、テレビで見ていました。その指揮ぶりは今も残って
います。バーンスタインが出てきて賞賛、お株を取られたと思ったのではという感じ。
ニューヨーク・フィルのメンバも大喝采。昭和29年作曲といえば、まだ、戦後。
その雰囲気を私は感じます。将に、黛氏の才能が饗宴している感じ。
当日のプログラムに、ベルクの作品6がありました。私は、新ウィーン楽派、ストラヴィン
スキー十分把握していたと思います。私はどうゆう訳か、饗宴のスコアを、600円で入手
していて、森正指揮、東響のLPで聴き続けてます。ついでに、涅槃は、C.F.PETERSの
スコアを7000円で買って基を取ろうと聴いてます。
佐渡さんの指揮、小沢さんを彷彿させるものありますが、佐渡さんならではの、今日の
演奏であったと思います。

2009年02月02日 14:30
K.Matz.

昨日から今日にかけて、今回の録画を10回くらい見ました。
今回の放送は、黛さん本人と彼の作品を知らない人たちにも知る機会を与えたという意味でも、大変意義深いものだったと思います。黛さんの作品に興味を持たれた方は、是非CDをお買い求めいただいて聴いてほしものです。
今後このシリーズにおいては、「涅槃」とか「BUGAKU」とか黛さんの他の作品を取り上げてほしい気もあります。しかし、直純さん 武満さん 伊福部さん 芥川さん 團さん・・・といったわが国が世界に誇る巨匠たちを一人でも多く紹介してほしいとも思います。
黛さんの死後、岩城さんはオール黛のプログラムを数回されていました。佐渡さんも「金閣寺」や「KOJIKI」の再演とか、是非やっていただきたいものです。

2009年02月02日 12:19
アルト・ママ

私も黛さん司会の「題名のない…」を見て育ちました。今は大好きな佐渡さんを毎週観る(聴く)ことができ、幸せです。しかも番組ではバーンスタインやら小澤さんやらのお話がバンバン出てきて、本当に楽しいです。
今後の山本直純さん、武満徹さんの特集を楽しみにしております。できれば岩城宏之さんも取り上げて下さい。
佐渡さん、お体大切にご活躍下さいね!

2009年02月01日 11:05
emiemi

初めて「饗宴」を聴きました。この迫力を我が家のTVで再現するのには限界があります。ホームシアターが欲しくなってしまいました・・・!
そして、ライブでも是非聴きたいです。

2009年02月01日 10:16
もりもり

引越しおめでとうございます(?)
ベルリンで小澤征爾さんに会うなんてすごい偶然ですね。いぇ、偶然でなくてこれは縁ですよね。

2009年02月01日 09:48
通行人

佐渡さんの指揮する「饗宴」は凄い迫力でした!きっと不思議な縁が導いた重みも加わっているのかと思います。番組の歴史の厚さを感じる企画でした。

2009年02月01日 09:30
げ@一介のリスナー

最先端であると同時にユーモラスでとても色っぽいクライマックスを見せつける黛敏郎さんの音楽。理屈だおれではないその抜群のセンスは決して色あせるものではありません。
佐渡さんの演奏でこれからももっともっと、本当にもっと聴かせていただきたいと切に願ってやみません。