2010年11月28日 09:30

  紅葉の美しい季節になりましたね。ほとんど毎年、何かの縁で訪れているのが長野県は松本です。来年はテレビ信州の開局30周年記念でBBCフィルハーモニックと松本を訪れることも決まりましたが、それ以前からテレビ信州の皆さんとお約束をしていたのが「指揮クリニック」で松本を訪れることでした。このクリニックのため、特別に編成された学生達による選抜バンドを地元の先生方に指揮してもらい、佐渡裕流音楽の作り方を公開にしてお客様にもお見せしよう、というものです。少しでも生徒のためになることなら多く吸収しよう、という熱心な先生方ばかりでした。最後は、短い時間でしたが、僕が直接バンドと一緒に練習を行い、「アルメニアンダンス」を通して演奏しました。質問タイムも設けられ、とても有意義な時間を持つことができました。

 長年にわたって一つの街を定期的に訪れていると、顔馴染が出来てきて楽しいことがあります。その一つが、「洋菓子の『マサムラ』さんのシュークリームが美味しい!」と公演中のトークで話したことがきっかけで、今回も「マサムラ」さんからたくさんのシュークリームを届けて頂いたことです。特別バンドのメンバーにも配れるほどの数をいただき、終演後には僕もお店を訪ねたのですが、そこでまた素敵なお土産をいただいてしまいました。本当に、人との縁を大事にされるお店だなぁと恐縮しました。また、昔訪れたフランス料理屋さんの壁には僕のサインを飾って頂いているのですが、お店を駅前に引っ越されたにも関わらず、その壁ごと新しいお店にもサインを飾って下さっていて、またまた感激…。

 しかし、この季節の松本は美しい…。秋晴れの真っ青な青空に、真っ赤に染まった山々、そして更にその上には雄大な北アルプスがそびえ立ちます。いつまでも変わらないこの美しい風景が、この街に住む人の心が、温かく、人情に溢れ、僕の心を掴むのでしょう。

 さて、放送は出光音楽賞の後半。チェロの宮田さんとピアノの河村さんの登場でした。カバレフスキーのチェロ協奏曲は、僕は初めて指揮をしましたし、きっとオーケストラメンバーの中にも、初めて演奏される方が多かったのではないかと思います。それほど、とても珍しい曲だと思うのですが、宮田さんは「小学校の頃から大好きな曲」と仰るように、チェロ特有の音色の素晴らしさや、雄大さを、思う存分発揮してくれたと思います。巨匠を思わせる堂々とした弾きっぷりで魅せてくれました。

 そうして思うと、今年の出光音楽賞は第20回目にふさわしく、本当にレベルが高いですね。ピアノの河村さんも、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」という難曲が持つ独特のスリル感をいっぱいに表現してくれ、オーケストラも興奮しました。時折、関西人らしいサービス精神が顔を出し、僕も楽しくやり取りさせていただきました。「協奏曲の協という字は、ソロの力と、指揮者の力、そしてオーケストラの力三つがプラスされること」という名言、これからも色々なところで使わせていただこうと思います!                                     

視聴者からのコメント
2010年12月01日 23:31
けいこ

こんばんはぁ。

『マサムラ』さんのシュークリーム、おいしいですよねぇ~!!!佐渡さんもお好きでしたかぁ!もう何年も食べていないので食べたくなりましたぁ。

今回の放送は出かけていたので、まだ見ていないのです。楽しみに拝見いたします。
食べ物ネタですみませんでしたぁ。

2010年11月29日 10:17
市川美江

ラフマニノフの”パガニーニの主題、、、”は、私の一番好きな曲のひとつです。滅多にTVでやらないので、嬉しかったです。子供の頃に聞いていたレコードが、とても良かったのですが、最近は、早弾き競争みたいな演奏が多く、好きになれませんでした。河村さんの弾き方は、私の好みぴったりです。18番だけでなく、良いところをピックアップして聞かせてくれて、久し振りに楽しめました。
宮田さんのチェロも素晴らしかったです。
流石、出光音楽賞受賞者は、レベルが高いですね。
これからも番組、楽しみにしています。