2010年05月09日 09:30

 ベルリンからの帰りは、久しぶりに鞄の中に楽譜を入れず、機内ではずっと映画を楽しんで、のんびりと帰ってきました。ベルリンは勉強がしたくなる街です。それは、僕が子供の頃からベルリン・フィルという、この街にある世界の宝物に憧れ続けてきたからなのかもしれません。この街で様々な時代に、世界を代表する音楽家が努力をし続け、彼らに惜しみない拍手が贈られてきた音楽の歴史がここにはあるのです。
 「ピッチャーの球が止まって見える」と言ったのは、読売ジャイアンツ元監督の川上哲治氏が現役バッターとして全盛期の頃だったと思います。止まっているボールならば、誰だって打つことが出来るわけです。音は動くわけではありませんが、オーケストラの指揮者用の楽譜(スコア)は20種類以上の楽器の楽譜が同時に進んでいきますから、指揮する時には20段くらいの楽譜を瞬時に頭の中で3段くらいに整理するような作業が必要になります。その作業が上手くいく時は、何というか全ての音を、手で掴むことが出来るような感覚になります。止まっているボールを打つような感覚かもしれません。ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と演奏したルトスワフスキー交響曲第3番はかなり難解な曲でした。その前に日本で演奏したグヴァイドゥーリナの箏協奏曲も、更にその前、2月にトリノで指揮したブリテンのオペラ「ピーター・グライムス」もそうでしたが、かなり複雑な音の組合せの世界です。指揮をするというのは、腕を動かす運動ではあるのですが、自宅でその運動を練習することはありません。稽古場でオーケストラとのリハーサルが数日間あり、そして本番を迎えるわけですが、その最初の練習に至るまでに、どれだけ自分の中で楽譜を消化しているのかが最も大事なことなのです、出来ることならば、まるで自分が作った曲かのように、全ての音が自分の血となり肉となるまでアイデアを読み込み、オーケストラに伝える準備をしたいものです。もちろんそこまで準備をしたからといって上手く演奏会が終えられるというわけではなく、その時その時のオーケストラとのコミュニケーション次第で曲が出来上がり、そして本番の一回性に賭ける度胸が必要なわけですが、とにかく、複雑なスコアと向き合い、自分のものに出来るような感覚を求めて日々格闘しています。
 ベルリンはいまだに生々しく戦争の歴史と向き合っている街でもあります。わずか20年前にこの街を舞台に壁は崩壊したのです。ベルリンの友人である中村真人君が書いた「素顔のベルリン」という本が最近出版されました。ベルリンを愛し、僕と同じようにこの街に惹かれた彼が、長年この街に住み、街の隅々の魅力を深く届けてくれる素晴らしいガイドブックです。ベルリンに来られる方も、旅行気分を味わいたい方も、ぜひ読んでみてください!

 

 さて今日の放送は、将来有望というより、すでに現在若くしてとんでもなく素晴らしい演奏活動をしているゲストを迎えました。皆もう演奏家としての経験もしっかりあり、すでに夢はかなってしまったと言っても良いくらいでしょうけれど夢って、どんどん形を変えていくものだし、掴んだかと思うと、またどこかに行ってしまう…。そしてだからこそ長い時間かけて追いかけるのが面白いものなのではないでしょうか。僕も彼らに負けずに、ワクワクしながら夢を追いかけ続けたいと思います。

 

視聴者からのコメント
2010年05月15日 00:54
いざぁりん

フルートのI先生門下の、そして、佐渡先生からは10歳年下の、いざぁりんでございます。
はじめまして。
佐渡先生は、いつも尊敬させていただいております。
このたびは、ベルリンフィルとの共演のご決定、おめでとうございます。
佐渡先生が、ベルリンフィルを振られるまでの、ドキュメント番組なんかがあると、ファンとしましては、嬉しいです。
その時は、DVD化も、お願いいたします。
今から楽しみです。
良いコンサートになりますように!

2010年05月14日 09:25
かおさやママ

ベルリンフィル、おめでとうございます!
昨日は一日出掛けており、今朝になってビックニュースを知りました。TVに向かって、”やったぁ~”と叫んでしまいました。
小学生からの夢を叶えられた佐渡さんに、またひとつ元気を戴きました。

日曜の朝9時は、私にとって欠かすことのできないリフレッシュの時間になっております。
お身体を大切に、ますますのご活躍をお祈りしております。

2010年05月13日 23:47
 ようよう

お誕生日おめでとうございます。

今朝、小倉さんとの映像に クギズケでした。
嬉しい朝でした。
ちなみに私は、12日が誕生日でした。還暦です。
佐渡さんと一日違いで、ハイテンションです。
益々のご活躍と更なる夢を掴んでください。 

2010年05月13日 21:37
K.Matz.

本当に、おめでとうございます。同じ新聞に、小澤先生復帰の記事もありました。重ねて、おめでとうございます。

2010年05月13日 21:12
ぶうりん

遅ればせながら、おめでとうございます!先ほど家事を終えて新聞を広げて初めて知りました。うれしそうな佐渡さんの笑顔を拝見して、こちらも1日の疲れが吹き飛ぶようです。ニッポンの誇りです!頑張って下さい!

2010年05月13日 20:59
Vino

佐渡先生
お誕生日おめでとうございます!
そして、大きな夢が叶われることほんとうに
おめでとうございます♪

ニュースがお誕生日の日にかけめぐるなんて
神さまのすてきなプレゼントみたいだなぁと
思いました。

題名で、兵庫芸文で、大阪城ホールで いろんなところで
先生の音から「生きてるっていいで」っていう
元気をいつもいっぱいいただいています。
ありがとうございます。

これからのいっそう大きなご活躍を心から
お祈りします。そしてもちろん応援しています!

機会は少なくなることがあるかもしれませんが
今までのようにこれからもすてきな音楽を
直に教えていただければうれしいです。

2010年05月13日 17:53
サド美加子

 佐渡さん、49歳のお誕生日並びにベルリン・フィルの指揮者就任本当におめでとうございます!!
 
10日オペラシティで題名の公開録画の時、プログラムが終了しても金聖響さんが去らないので、ひょっとしてアンコール?かとのわくわくの後には佐渡さんサイズの花束と誕生日ケーキ登場。 いつもとは逆に観覧席の私たちからステージの佐渡さんへハッピーバースデイの合唱を「発信」出来たこと、本当に光栄でした。(スタッフの皆様の粋なはからいに感謝!です)

 小学校の卒業文集に20年後の夢はベルリン・フィルの指揮者になることと書かれていたそうですが、夢が実現し何より佐渡さん自身がその喜びをかみしめておられると思いますが、私たちも題名ファンとして、サドラーとして、そして日本人として佐渡さんのことを誇りに思います!

 今後、益々ご多忙になられることと思いますが、どうか一緒に音楽の新しいページをめくる先導役もひき続きよろしくお願いいたします。

2010年05月13日 16:23
みよさん

ベルリンフィル お誕生日おめでとうございます。子供(大阪の高校で以前佐渡さん指揮で星条旗をさらせていただきました)家族皆大ファンです。子供は昨夜先生のメールを転送で頂いて大事にしてこれからも頑張るって言ってます。佐渡さんも体を大事になさってくださいね。応援しています。

2010年05月13日 14:55
博多マッキー

TSUKEMENという名前もインパクトがありましたが、メンバーにも驚きました!

さて、もう皆さん書かれていますが、僕も今朝の他局番組の生電話で知りました。
ベルリンフィル指揮、おめでとうございます!
昨年の1万人の第九でも、小倉さんと「指揮が振れるわけでもないけど、とにかくベルリンに住んだ」という話をされていたのが強く印象に残っています。

そして、49歳の誕生日、おめでとうございます!
先日の公開収録で、火のついてないろうそくのエアーふぅも見ましたよ(笑)。
同日、芸人のコマツさん(5/23放送のゲスト)に似た人をお見かけしたのですが、僕の見間違いでしょうか?

2010年05月13日 13:14
シエナ

BPOを振るマエストロのご尊顔を来月の5日のコンサートで拝することができ光栄です。
BPOのデジタルコンサートがあるので、リアルタイムで聞けることを楽しみにしております。

2010年05月13日 12:50
桃象

来年、ベルリンフィルの定演を指揮されるとの記事を、さきほど読みました。おめでとうございます!
佐渡さんのことは、ここ十数年、東京で棒を振られるときに、時々、足を運ばせていただいています。音楽が持つ、人を癒し、元気付けるという力を最もストレートに感じさせてくださる指揮に、いつも感謝しています。
私は佐渡さんとひとつ違いで、同世代がだんだん先が見えてくたびれてくるなか、大きな1歩を踏み出されること、こころから祝福いたします。
本当におめでとうございました。来年のベルリンでのご活躍も期待しています。

2010年05月13日 12:43
いしかわ

ベルリン・フィルでのお仕事決定、それにお誕生日おめでとうございます。

今日は佐渡さんの誕生日だな~と思いながらHPの演奏会予定のところみたら、下のほうにちょろっとベルリン・フィルって書いてあったので、あれ?ベルリン・フィルってあのベルリン・フィル?と我が目を疑い(大失礼)ベルリン・フィルで検索かけたら、ベルリン・フィルはどうやらこの世にただひとつの楽団であるということが判明し(まずそこから調べた)、ていうかよく調べたら佐渡さんが振ることめっちゃニュースになっててびっくりしましが、よく考えたら時間とタイミングの問題だったかと思い直しました。

これからも世界中に生きた音をお届けください。

でも水を差す様であれですが、日本での演奏も頑張ってください。具体的にほのめかすとキャンディードです。ものすごい楽しみにしています。私が生きてきて最も感動した曲は「我々の畑を耕せ」です。初めて佐渡さんの指揮を目の当たりにしたのはほんの二年位前ですが、あの曲は、あのYPCは私の人生を揺さぶるほどの衝撃でした。おれってこんなに泣けるのかと思いました。

2010年05月13日 12:23
Micfy

ベルリンフィル、そしてお誕生日おめでとうございます。心からお喜び申し上げます。

日曜日の放送に出演された若い演奏家のみなさまは素晴らしい演奏でしたが、でもまだ勉強の途中でもっともっと大きな夢を持って精進していってほしいと思います、佐渡さんのように。。。

2010年05月13日 11:23
ひそかなファン

ベルリンフィルの指揮者就任本当に、おめでとうございます~☆
新聞で拝見致しました。佐渡さんの素晴らしいお人柄と、緻密で大きな愛を含んだ音の広がり・・魂の演奏をドイツまで聴きに行きたいです~。
本日はお誕生日なのですか? イラストも素敵ですね!

2010年05月13日 09:36
トクちゃん

佐渡さん、ベルリンフィルの指揮とそしてお誕生日おめでとうございます!
これからもお元気で、音楽のすばらしさを世界に届けられることをお祈りしてます!!

2010年05月13日 09:12
maki

ベルリンフィルの指揮者就任、おめでとうございます!

ニュースで見て、感動致しました。49歳のお誕生日を前に、小学生の頃からの夢を叶えるなんて、とても素敵です。
私は、いま仕事をしながら夜間の法科大学院に通い、弁護士を目指しています。佐渡さんと辻井さんのラフマニノフが私の元気の源です。佐渡さんの夢が叶ったのを見て、私ももっと頑張ろうと思えました。

これからも応援させて頂きます。番組も楽しみにしていますので、お身体に気をつけて頑張ってください。

2010年05月13日 09:10
あると・まま

ベルリン・フィルで指揮なさるとのこと!本当におめでとうございます。 昨夜から今朝にかけての報道を観るたびに感激しております。ベルリンに引っ越そうと奥様がおっしゃった話もジーンと来ました。やはり佐渡さんは、音楽の神様に選ばれて導かれているんだなぁ、と思いました。素晴らしいステージになりますように!!できましたら「題名…」でもベルリンのお話をきかせて下さい。

2010年05月13日 09:01
とむちゃん

5/12日に佐渡裕さんがベルリン・フイルの指揮をされるニュースで歓び今朝・・フジテレビで電話で生の喜びの声・・昨日はお誕生日と二重のお喜びおめでとう御座いました。
先日の放送は若い方々の力の入った演奏でたのしかったあ!!デモでも先日
公開録画の落選ハガキ2日分送られてきました落選ハガキ沢山(泣き)
次は当選ハガキ来てね。

2010年05月13日 08:42
くらくら

ベルリンフィル指揮&49歳のお誕生日おめでとうございます!!

今朝、他局ですが生電話ききました。
子供の頃の夢が叶ったのですね!
小学校の先生に、どんな少年だったのかきいてみたいですね。
やっぱり「タイガーマスク」でしょうか~笑
これからも楽しみにしています!

番組と関係ない書き込みでスミマセン(^_^;)

2010年05月13日 01:06
ジュピトリス

素晴らしい一報が入ってきました。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は12日、ベルリンで2011年5月に開かれる定期公演で、指揮者の佐渡裕さんを起用すると発表した。公演は5月20日~22日の予定で、演目は日本の現代音楽作曲家、武満徹の現代曲、旧ソ連の現代作曲家ショスタコービッチの交響曲第5番。

ヨミウリオンラインからの転載ですがまさに「世界のサド」ですね。公開録画でベルリンフィルの話題を期待しています。

2010年05月13日 00:15
pisapon

報道ステーションで佐渡さんがベルリンフィルを指揮されるとのニュースを聞きました。本当におめでとうございます。子供のころからの夢が実現できたことを、お祝い申し上げます。

2010年05月12日 22:25
おめめ

佐渡裕様、こんばんは!
「題名」とは直接関係ないですけど、今ニュース見てとても感激してしまったので…。
本当におめでとうございます。ベルリンフィルの指揮者だなんて…。凄いです。
明日がお誕生日だそうで、この素晴らしいニュースが1日早いお誕生日プレゼントだったそうで…。本当にダブルでおめでとうございます。素敵なお誕生日を迎えられそうですね。
本当に本当におめでとうございます。
ただの「題名」ファン、でも、時々しか見れないのですが…。こんな嬉しいお知らせはありません。本当におめでとうございます。これからがますます楽しみです。(日本と海外の往復の回数が更に増えて大変でしょうけれど。)
ご無理なさる事のないよう頑張って下さい。

2010年05月11日 21:42
ぶうりん

日曜日の朝からなんて贅沢なひとときでしょう。3組の若手音楽家の演奏はそれぞれに力強いというか、新鮮というか、感動的でした。
ただ、うちの娘は「お母さん、あんなにカッコイイ演奏するのに、つけめんはないよね~」と不満そうです。

2010年05月09日 23:43
サド美加子

 複雑なスコアを瞬時に読み取り整理していく能力、何があろうと同時進行していく力、己の準備が万端であっても相手あってのことゆえ、その都度に臨機応変なコミュニケーション能力が要求される・・・・佐渡さんの文章を読んでいくうちに感じたのですが、スコアを「人間関係」に置き換えてみれば、これって、まさに「人生」そのものについて語っているような気がします。  
 本番の一回性に賭ける度胸が必要・・・ うなりました。   人生にはここ一番!という勝負どころがたしかに存在しますよね?
 なんだかこれらの言葉からあらたな希望を与えられた気がします。佐渡さんが すべての音を手でつかむような感覚でオケと一体感を得られ、その活躍の場が今後益々、世界に広がることを期待しています!!

 小林愛美さんの演奏を聴いていると音楽に年齢はあまり関係ないのでは?と感じました。ショパンの遺作は小学3年生から弾き続けているというので驚きです。その時どのようなイメージで弾き始めたのか知りたいと思いました。
 私自身は「戦場のピアニスト」を観てから弾き始めました。エイドリアン・ブロディの物憂げな横顔や全体にグレーがかったトーンの映像が思い浮かんできます。
 切なく甘く勇壮でまた切なくなる美しい旋律に毎回ひきこまれます。
 
 14歳の愛美さんが今後どのような演奏をしていくのか(どのように変化していくのか)が、とても楽しみです。

2010年05月09日 21:14
ようよう

どんなコトでもその先に凡人には、見えないものがあるのですね。 
平成生まれは「落ち着き」が無い・・・なんていわれていましたが、
素晴らしい
明るい未来がそこにありました。
生で演奏を聴いていました。
これからのご活躍が楽しみです。

2010年05月09日 17:42
モーツァルト

毎週見て、勉強してます。!!
これを見ないと、僕の1日が始まらないからです。僕は、音楽愛好家です。
クラシックは、大変僕のお気に入りです。N響の番組も、必ず見てます。
よろしくお願いします。

2010年05月09日 15:05
mimio

今朝の若い3くみの方々ありがとうございました
少し落ち込んでいたのですが すかっと 吹き飛ばしてくださいました
音楽の力 毎週いただいています

2010年05月09日 10:24
目黒のめじろ

毎週楽しみに観ています。
今日のTSUKEMEN迫力のある演奏カッコよかったです。当日ホールで聴きましたがアッと言う間の2曲でしたので録画して聴きかえしています。
音楽界でも若い方が活躍されて将来が大いに楽しみです。

2010年05月09日 09:57
emiemi

汗がほとばしるかのように溢れ出す音楽。清々しい風を感じるかのように思えるのは、やはり奏者が若いから!?
素晴らしい才能を認め、育て上げた大人もスゴイ!!