2010年04月11日 09:30

4月9日から今日までの週末3日間、この桜の美しい季節にぴったりのプログラムで、兵庫県立芸術文化センターでの定期演奏会を行います。そして13日の火曜日には東京のオペラシティーで、東京公演も行います。どうしてぴったりかというと、大変めずらしいお箏の為の協奏曲を2曲演奏するからです。一つは、グバイドゥーリナ作曲「樹景にて」、NHK交響楽団の為に委嘱された曲で、楽譜には「沢井一恵さんの為に」と明記され、作曲者から今回のソリストでもある沢井一恵さんに捧げられた曲です。もう10年以上前のことだと思いますが、僕はこの曲の初演の時の放送を、たまたまテレビで見ていて、その曲の素晴らしさと、そして沢井さんが奏でる、お箏の音の魅力に大変感動しました。オーケストラの半分のグループは、最初から4分の1音、チューニングが下げられており、通常のピッチ側のグループと2面の日本のお箏が光を表します。そして、ピッチが4分の1下げられた側は、中国のツェンというお箏を伴って影を表現します。まあ、とっても複雑な曲ですが、興奮しますよ~!

 

そして、もう一曲は、世界の坂本龍一による新作です!もちろん世界初演になるわけで、この公演は世界的に注目されていると言っても良いでしょう。坂本教授と僕は1997年に、彼のオーケストラプロジェクト「f」で指揮をさせてもらったのが初共演でした。北海道から九州までツアーをして、公演後にはしょっちゅう教授と一緒に飲みに行ったり、とっても楽しい全国ツアーを御一緒させてもらいました。そうそう、僕がパソコンを97年から触っているのは、実は教授のお陰なのです。ある日、僕が滞在するホテルに教授からパソコンが届き、しかも当時の日本マイクロソフト社長自ら、僕の為にPCの家庭教師に来ていただいたのをよく覚えています。さて、その注目の新作、坂本龍一作曲箏コンチェルトですが、この桜満開の4月にふさわしく、日本の美を深く感じる作品が誕生しました。4つの楽章から出来ており、楽譜と共に教授から届いたメッセージには、「冬から始まり、それぞれの楽章が四季です。また人生でもある…。」と、わぁ~い!これはまさに坂本龍一です!
1つの演奏会で、お箏の協奏曲を二曲も演奏することは、相当珍しいことだとは思いますが、この箏奏者沢井一恵という、凄い音楽家がいるからこそ実現したプロジェクトなのです。そして二人の天才作曲家の世界を通して、沢井さんのお箏は深い深いところで、歌い、叫び、心を震わせ、西洋の楽器では決して作れない、お箏だけの特別な音の世界、またオーケストラと東洋の楽器の新しい融合を実現してくださると確信しています。東京公演は4月13日、オペラシティーに聴きに来られる方、どうぞ楽しみにしていてください!

 

お箏の協奏曲も珍しいけれど、今日の放送で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた池上英樹君とは2004年に東京都交響楽団の定期演奏会で石井真木さんの打楽器協奏曲「アフロコンチェルト」を演奏しました。これもかなり珍しい曲で、何十種類もの打楽器をオーケストラ前に並べて、彼がフルオーケストラをバックに叩きまくるわけですが、まるで楽器を演奏することが、人間の証明であるかのような舞台でした。ま、台所用品で演奏しちゃうのはもっと珍しいけれど。アコーディオンの御喜さんにしても、音楽教室にある身近な楽器で、あんなに凄いことが出来るものなのですね。指揮者は自分で音を鳴らさないけれど、楽器が出来ることって本当に素晴らしい!

視聴者からのコメント
2010年04月17日 22:49
サド美加子

4月15日のオペラシティの公開録画に行きました。沢井さんのその小さな身体からはとても想像出来ない程の迫力ある渾身の箏の演奏と兵庫芸術還元楽との素敵な融合でした。 夏の佐渡さんの指揮がとても印象的でした。身体が左右にたゆたう様は観ているこちら側も一緒に揺れてしまいました。 トーク時に沢井さんに渡したマイクの不具合のハプニングがあった時、すかさず佐渡さんが、先日四季の4つの箏のうち、演奏していない箏の弦がきれたエピソードをされていました。沢井さんはとてもチャーミングな女性だと思います。 佐渡さんは、明日からヨーロッパへでかけますと言っておられましたが、アイスランドの火山の噴火でどうなったのかとても気になります。

2010年04月17日 22:31
obasan

今日は17日。あすの放送予定を見ようと思ったのですが…。  先週、見逃していたのですが、琴の演奏があったのですね、残念!! もうずっと前、沢井忠夫さん・一恵さんの演奏会に行ったことを思い出します。ぜひ聴きたいと思うのですが、何か方法はないものでしょうか。逃した魚は大きいです。

2010年04月17日 21:04
 ようよう

佐渡さんの大ファン1月は直ぐ目の前でお会いできて感激
これからもハガキだしまくります。
お体に気をつけてください。
応援しています。

2010年04月16日 22:25
もこママ

この春、次男が大学に入学し西宮市で一人暮らしを始めました。佐渡さんが芸術監督を務める、兵庫県立芸術文化センターのすぐ近くです。公開録画を、ぜひ芸術文化センターで計画して下さい。東京だけでなく、関西でもよろしくお願いいたします。

2010年04月14日 02:07
M。

オペラシティのコンサート素晴らしい時を過ごさせていただきました。「箏とオーケストラの饗宴」まさしくその醍醐味を堪能しました。番組で拝見するのも楽しいのですが、やはり生の迫力は格別。昨年残念はがきの山で、今年はまだ応募する気力がなかったのですが、また往復はがきを買いこまねば。
池上さんは何度か生で聴かせて(観せて)いただいてますが、いつも驚きの手さばきに感心するばかりです。そして御喜さんとのピアソラはヨーヨーマのチェロ版以来の興奮でした。

2010年04月11日 20:34
K.Matz.

昨日は黛さんの命日でした。私は帰宅してから、この番組や某NHKによる追悼の録画を見ました。明日は休日なので今夜は、フルスコアを見つつ、「涅槃」を聴き明かします。
思えば、確かにバーンスタインの「ウエストサイド・ストーリー」も、「饗宴」の影響を感じさせる部分があります。そして、もし黛さんが「涅槃」を書かなかったら、おそらく武満さんも「ノヴェンバー・ステップス」を書かなかったと思えてきます。
来月の初め、京響で「涅槃」を生で聴きます。できる事ならば、佐渡さんの「涅槃」を聴きたいものです。

2010年04月11日 18:09
トクちゃん

コメントを読んでいたら、日にちがタイムリープしてました。気持ちばかり焦っている自分がわかります。9日の定演へ行きました。舞台へ上がった坂本教授が佐渡さんと同じくらいの背格好で驚きました。ちなみに箏の沢井さんはプログラムに「巨人佐渡さん」と書いてました!

2010年04月11日 14:37
yoshikoskz

4月13日のオペラシティーの公演に行く予定です。「箏コンチェルト」どんな曲なのか楽しみです。
1997年の「f」のとき、限定で作られたMLに参加していました。このとき、佐渡さんから思いがけずメールの返信を頂いたことは、今も覚えている嬉しい思い出です。

2010年04月11日 11:34
トクちゃん

私も16日にPACの定期演奏会を聴きに行きました。演奏が始まる直前に坂本龍一さんが座席に来られたのを発見。箏とオケのコラボは新しいのになぜか心になじむ感じでした。後半の佐渡さんの十八番、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」も良かったです♪
今日の打楽器の池上さん、すごいですね~!来週の小曽根真さんも楽しみです!

2010年04月11日 10:15
emiemi

芸文の定期演奏会に行ってきました。
2曲の箏コンチェルトは、私にはちょっと難解!危険な睡魔とのバトルになりましたが、不思議な音空間を体感しました。

感情や感覚を音で表現する作曲者や演奏家って凄い!

2010年04月11日 09:49
サドラー2号

池上さんの演奏はいつ聴いても(見ても?)楽しいですね!
佐渡さんを追いかけていろいろな打楽器奏者の方の演奏を聴く機会がありましたが、ドラマー、パーカッショニスト、そしてオーケストラの打楽器奏者と、同じ打楽器なんだけどやっぱり全然演奏スタイルが違う。でも、演奏できる楽器はかぶっている・・・。打楽器って本当に奥が深いなあ~と思います。
兵庫の定期演奏会は昨日聴きましたが、沢井さん、本当にすごい方でした!坂本教授の曲の最初の音を聴いたときにゾクゾクゾクッと背筋を電気が走って、後はもう、聞きほれるばかり・・・。しかも、中腰の姿勢でずっと弾いておられて、演奏することにすべてをかけておられるように感じました。でも、演奏を終えられるととっても可愛らしい印象の方で、まるで少女のまま年齢を重ねられたかのような、とってもステキな方でした!今日も聴きに行く予定なので、楽しみにしています。