2009年10月11日 09:30
 N響との第九を終え、次の日の飛行機でヨーロッパに飛びました。正直きついですね~。でも、時差もしっかり取りました。日本ではちょっと寝不足にしておいて、8時間差のあるヨーロッパに向けて夜更かしをするわけです。飛行機の中でも楽譜を見たり、映画も3本見ました。今回はパリ経由でマンチェスター入りしたのですが、乗り換えも入れると約16時間ぐらいの旅でしょうか。くたくたになって着いたところで、それでもまだ眠いのを我慢して、夜の11時頃まで待っておいて、がーっと寝る!いやぁ~、久しぶりに8時間睡眠をとりました。そうしたら、日本にいるときよりも調子がいいのです!やはり日本では、なんやかんやと忙し過ぎるのでしょうね。日本にいると、仕事はもちろんだけれど、友人もいるし、テレビも見るし、本も読みたい。美味い物も食べたいし、ゴルフにも行きたいし…。こっちに来ると、歩いて2分のオーケストラの練習場にリハーサルに出かけ、夕方からは勉強する時間が十分あり、一日がとてもシンプル。もちろん意志の強い人は、日本でも自分のペースで暮らせるのだろうけれど、僕の場合は弱い弱い…。指揮活動を本格的に始めたのがヨーロッパだったから、やはりこちらでのやり方が身についているんだろうと思います。
 時間がゆっくり進むと、いろいろ音楽以外のことにも触れる余裕ができます。今回の旅のお供は、故河合隼雄先生の講和集。生前、先生とは随分と親しくお付き合いをさせていただき、亡くなられてからも先生は僕にとっては大きな心の道しるべ。前からこの講話集も聞いていたのですが、自分にふっと深く届く時ってあるんですね。まさに今がそうかな。マンチェスターに来て、身体は疲れているはずなのに、先生の言葉で、また頑張ろう!と思える毎日を迎えています。

 

 さて放送は先週のちょっとマニアックなオーケストラの話から繋がって、実際にブラームスの交響曲第1番を兵庫芸術文化センター管弦楽団の演奏でお届けしました。両方の放送を見ていただいた方には、とても面白い企画だったのではないでしょうか?天才青島さんが扮するオタクブラームスはどうかと思いますが、彼が愛したクララ・シューマンに僕もとても興味があります。クララ・シューマンは、ドイツの100マルク紙幣にも描かれていた、とても偉大な人物ですが、シューマンの夫人であり、母であり、ピアニストであり、そして、最後の最後までブラームスに愛された人…。どれだけ魅力的な女性だったのでしょう。ブラームスにとっては随分と年上のクララですが、彼女が亡くなった後、直ぐにブラームスも後を追うように天に召されるのです。なんか胸がキュンとしません?そんなことを思いながら、ブラームスの交響曲に向かい合ってみるのも、またオーケストラの楽しみ方の一つかもしれません。

視聴者からのコメント
2009年10月15日 00:00
Miyabi

ブラームスの1番は、今春、兵庫で聴かせて頂いた時もとても感動しましたが、先週、今週と2週にわたる企画で、すっかり虜になりました。最近はCDを毎日のように聴いています。
ところで、幼い頃の指揮者になるという夢を実現させた佐渡さんは十分意志の強い方だと思います。

2009年10月13日 23:57
サドラー2号

予告を見て、ヲタクなブラームスっていうのは面白いな~と思っていたのですが、まさか「萌え~~~っ!萌え~~~っ!」と叫びながら登場されるとは、想定外でした。萌えまくる青島ブラームス氏に懐かれた佐渡さんの、なんとも情けない顔がとても面白かったです。ブラームスはすごく美しい旋律を作る人、と思っていましたが、心の中にクララへの秘めた思いがあったんですねぇ~。クララは、精神を病んでいったシューマンを最後まで支えた立派な音楽家であり妻であり母、というイメージでしたが、さらに女声としても魅力的だったんだろうな~と思いました。

2009年10月12日 09:05
K .Matz.

もしかして、あれは青島さんの「地」では(大笑)?

2009年10月11日 16:06
みみ

今日のブラームスのキャラクターは凄かったですね。現在に置き換えるとヲタクだったとは!急に身近に感じられました。みなさんのお書きになったように、最初のポイント整理のおかげで、演奏もあっという間に終わっちゃったという感じでした。出だしの部分は、先週のティンパニの方がお話しされていた危険な「片手打ち」でしたね。そんな見方もできるようになりました。

2009年10月11日 13:34
piapiaとその母

emiemiさんの意見に大賛成です!プレトークがあると、演奏がまた違って聞こえてきますね。おかげさまで、今回の素晴らしい!?!?プレトークに大笑い!?回を重ねるごとにうまくなっていく3人に脱帽です。もちろん、先週の記憶もある今、演奏が聴けて幸せな朝でした。

2009年10月11日 12:12
小暮

クララの大フアンです  日本にもこんな素敵な女性がいますか

2009年10月11日 11:05
通行人

毎度ながら青島さんのキャラクター作りには脱帽します!佐渡さんの思いが詰まった演奏は圧巻でした。

2009年10月11日 10:26
emiemi

作曲者を深く知ることで、曲の面白さが深まりました。実際の演奏会でも、プレトークがあると、聴き所がわかっていいですよね。

2009年10月11日 09:30
げ@一介のリスナー

いやはや。大作曲家ブラームスを21世紀の現代的な装いにするとまさにあんな感じ=ヲタになるとは何とも目から鱗。そういえば彼の女性への思いは私が初めて好きになったハンガリー舞曲集にも濃厚に影を落としています。これはクララ・シューマンとはキャラかぶりはありませんが。
つまり、男にとって女はいつの時代にも生き甲斐だと言えよう。みたいな。