DJとオーケストラ。ぜんぜん別世界のもののようでいて、実は親和性は高いのかもしれません。今週の「オーケストラで高揚する音楽会」では、ジェフ・ミルズがDJとオーケストラのコラボレーションを披露してくれました。オーケストラの重厚なサウンドをまとったジェフ・ミルズの楽曲が、新鮮な躍動感を生み出していました。
オーケストラの演奏中にDJがなにをしているのか、一見、わかりづらいかもしれませんが、龍さんの解説にもあったように、これもライブ・パフォーマンスであり「演奏」だったんですね。一種の即興演奏のようなものと理解すればよいのでしょうか。
ビートが生み出す陶酔感は、クラシックの名曲にも共通する音楽の本質的な魅力だと思います。ハチャトゥリアンの「剣の舞」はまさにその好例でしょう。この曲はバレエ「ガイーヌ」の一場面のために書かれた音楽ですが、強烈なリズムは、いかにも民族舞曲風に聞こえます。民族衣装をまとった剣士が情熱的に踊る様子が目に浮かんでくるかのよう。
「剣の舞」には、バレエ初演の前日に大急ぎで書きあげられたという逸話が残っています。急遽舞曲が必要になったのですぐに一曲書いてくれと頼まれたハチャトゥリアンは、机をいろいろなリズムで叩きながら、なにか剣舞にふさわしい新しいリズムはないかと考えます。これというリズムが思いつかず夜通し悩み続けたところ、ようやく明け方近くになって「剣の舞」のリズムを考え出して、「これだ!」と一気に曲を書きあげたといいます。考えに考え抜いて作り出したリズムが、あたかも古くからの民族舞曲のように聞こえるというのがおもしろいところ。
ひとたび「剣の舞」を聴くと曲が耳にこびりついて離れないのですが、ジェフ・ミルズの The Bells も同じように頭に残りませんか。中毒性があるといいますか、クセになるといいますか……。この両者、やはりどこかでつながっているのかも。
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オーケストラで高揚する音楽会
投稿日:2016年09月11日 09:30